3.48 数量・比率・変化 — 前置詞が意味を決める — Epoché
この課でできるようになること ★ by と to を使い分けられる。 ★ 割合の動詞 を合わせられる。 倍数と分数 を言える。 ★ 数に付ける評価の語 を選べる。 前提 : 3.47 まで。第 6 期の型編の総まとめ。 例文で見る 10 文を並べます。行を押すと音が鳴ります。 右の列は、何を言っているか です。 英文 日本語訳 数の言い方 Today only 10 percent is covered. [1] 今日では10%の陸地しか覆われていないのである。 ★ 割合 。 動詞は中身に合わせる Over ten percent of them can do the work. [2] 彼らのうち1割以上がその仕事をすることができる。 割合。★ of のうしろが複数 She has a 10 percent interest in the company. [3] 彼女はその会社の株を10%所有している。 ★ 数を名詞の前に置いた形 。 単数のまま ( 3.46 型編 ) You're twice as strong as me. [4] あなたは私の2倍の力がある。 ★ 倍数 。 twice を as の前に This is twice as large as that. [5] これはあれの2倍の大きさがある。 倍数。 大きさを比べる The exports increased by 30 billion dollars. [6] 輸出は300億ドル増加した。 ★ by は 差 The members decreased by 50 to 400. [7] 会員は50人減り、400人になった。 ★ by と to が一文に 。 差と、着いた先 As many as a thousand people were there. [8] 千人もの人がそこにいた。 ★ as many as 。 多いと言っている More than a third of the world population lives near a coast. [9] 世界人口の三分の一が、沿岸部に住んでいる。 分数。★ 動詞は of のうしろに合わせる At best I can do only half of what you did. [10] 私にはせいぜいあなたの半分しか出来ない。 half of 。 比べる相手を置く 骨組み ★ by は差、 to は着いた先 ★ これが、この課でいちばん大事な一つ です。★ 同じ「増えた」でも、前置詞で言っていることが変わります。 どの前置詞 何を言うか 例の形 by ★ 差 increased by 30 — 30 増えた to ★ 着いた先 increased to 30 — 30 になった from … to … 両端 ★ 始まりと終わりの両方を言う at 止まっているところ remained at 30 — 30 のままだった of 全体 30 percent of them 例文の七つめを見てください—— The members decreased by 50 to 400. [7] 。★ 一文の中に by と to が両方あります。 ★ by 50 が 減った量 、 to 400 が 減ったあとの数 です。★ つまり、もとは 450 いた ということです。★ この一文だけで、三つの数が分かります。 ★ 日本語では、どちらも「〜に」で言えてしまいます ——★ 「五十 に 減った」と「五十 だけ 減った」。 ★ 助詞が近いので、日本語話者はここをよく取り違えます。 Wikipedia の都市化の記事に、 両端を言った形 があります—— jumped from 17% in 1801 to 54% in 1891 [11] 。★ from … to … で、 始まりと終わりの両方 を置いています。 ★ この形がいちばん誤解されにくい です。 ★割合の動詞は、 of のうしろに合わせる ★ 割合や分数が主語になると、動詞をどちらに合わせるか迷います。 ★ 規則は一つ ——★ of のうしろの名詞に合わせる 。 例文の一つめと二つめを見比べてください。★ 一つめは 10 percent が 陸地 を指すので単数、二つめは of them が 人びと なので複数 です。 ★ 数のほうを見てはいけません。 ★ ten が複数だから複数、ではない のです。★ 割合は 中身の一部を切り出したもの なので、 中身の数に従います 。 九つめも同じです—— More than a third of the world population lives near a coast. [9] 。★ a third は単数のように見えますが、 of the world population が単数扱いなので、動詞も単数 です。 ★倍数と比率 ★ 倍数は、 as … as の 前 に置きます。 This is twice as large as that. [5] ——★ twice が先、そのあとに as large as 。 ★ 語順は変えられません。 ★ 三倍からは times を使います ——★ three times as large as 。 ★ 二倍だけが twice という別の語になります。 ★ 比率の言い方も、順が決まっています。 読 E の記事から引きます—— the ratio of rural to urban population 。★ the ratio of A to B ——★ of が先、 to が後ろ です。 ★ この順は、 書く順がそのまま比の順 になります。 ★ rural to urban なら「農村 対 都市」で、逆に書けば逆の比 です。★ 図表を説明するときは、ここを必ず確かめてください ( 11.3 商編 )。 ★数に付ける語で、評価が入る ★ 同じ数でも、前に置く語で 書き手の見かた が入ります。 どう書くか 数は 言っていること ★ as many as 1,000 同じ ★ こんなに多く ★ only 1,000 同じ ★ これだけしか 1,000 同じ 評価を入れない 例文の八つめ—— As many as a thousand people were there. [8] 。★ 千人という数は変わりませんが、 as many as を付けたことで 「多い」と言ったことになります 。 ★ これは 9.9 論編 で「数は比べる相手と一緒に読む」と置いたことの、書く側 です。★ 読むときは、この語を見つけたら 書き手の評価が入っている と気づいてください。 ★ 論文では、この種の語を避けるのがふつう です。★ 多いか少ないかは、 比べる相手を示して読む人に決めさせる から です( 9.12 論編 )。★ 逆に、仕事の文書や記事では積極的に使います ( 11.3 商編 )。 日本語ならどう言うか 日本語との差を三つ挙げます。 何が 日本語では 英語では 差と着いた先 ★ どちらも「〜に」で言える ★ by と to で分ける 割合の動詞 変わらない ★ of のうしろに合わせる 数の評価 「も」「しか」で示す ★ 数の前に置く語で示す ★ いちばん上が、実害のいちばん大きい差 です。★ 取り違えると、 数そのものが間違って伝わります 。 ★ 覚え方を置きます ——★ by は「 どれだけ 」、 to は「 どこまで 」。 ★ to は行き先を言う前置詞なので、 着いた先 を言うのは自然 です。 ★ 真ん中も、日本語話者が外すところ です。★ 日本語では「十パーセントが覆っている」も「十パーセントが出来る」も、動詞の形が変わりません。 ★ いちばん下は、逆に日本語のほうが便利 です。★ 「千人 も 」「千人 しか 」と、助詞一つで評価を入れられます。 ★ 英語では、 as many as や only という語を足さなければなりません。 ★ 足す語なので、 消すこともできます ——★ それが、論文で評価を外すやり方 です。 丁寧さの段 ★ 数の言い方には、 どれだけ言い切るか の段があります。 どの段 どう書くか どこで ひかえめ ★ about ・ approximately ★ 論文 ふつう そのままの数 報告・図表の説明 強い ★ as many as ・ only 記事・提案 ★ 論文でひかえめな語を使うのは、遠慮ではありません。 ★ 測った値には幅があるから です( 3.36 型編 )。★ 幅があるものを言い切ると、 測り方を知らない人だと思われます 。 ★ 仕事の文書では逆で、ひかえめすぎると 自信が無いように読まれます ( 11.5 商編 )。★ 交渉の場では、数を言い切れるかどうかがそのまま信用になります。 ★ つまり、同じ数でも 場所によって書き方を変える ということ です。★ ここまでの期でくり返してきた「読む人を選ぶ」が、数の書き方にも及びます ( 10.13 作編 )。 よくある誤り 三つ挙げます。下の誤文は Epoché の作例です。 by と to の取り違え。 Sales increased by 500 last year, up from 300. は、★ 500 増えて 800 になった という意味です。★ 500 になったのなら increased to 500 。 倍数を as のうしろに置く。 as large twice as → twice as large as の形に。★ 倍数は必ず先頭 です。 割合の動詞を数に合わせる。 Ten percent of the students is absent. → Ten percent of the students are absent. の形に。★ of のうしろに合わせます。 ★ 一つめは、 誤りだと気づかれない のがこわいところ です。★ 文としてはどこも壊れていません。 ★ 読む人は、書いてあるとおりに受け取ります。 ★ 数の誤りは、文法の誤りと違って 直してもらえません 。 ★ だから、数を書いたら 前置詞だけをもう一度見る 習慣を付けてください。 実文で通す 読 E の都市化の記事から、数の言い方を三つ引きました。★ この一篇だけで、この課の形がほとんど全部出てきます。 どの篇から 原文 何を言っているか 8.127 読編 the proportion of total population or area in cities or towns [12] ★ 割合を定義している 8.127 読編 jumped from 17% in 1801 to 54% in 1891 ★ 両端を言う 。 年まで付けた 8.127 読編 the ratio of rural to urban population ★ of が先、 to が後ろ ★ 二つめが、この課でいちばん手本になる書き方 です。★ 始まりと終わりの数、そのそれぞれの年—— 四つの値が一句に入って います。 ★ しかも、動詞は jumped です。★ increased ではありません。 ★ この語の選び方には、 書き手の評価 が入っています ——★ 「大きく上がった」と言っている のです。 ★ 数そのものは動かせません が、★ 動詞と、前に置く語は選べます 。★ 9.9 論編 で「数は比べる相手と一緒に読む」と置きました が、★ 比べる相手だけでなく、 数を運ぶ動詞 も見てください。 ★ 三つめは、この記事が 比の向きをはっきりさせている ところ です。★ rural to urban と書いてあるので、 農村が先、都市が後ろ だと決まります。 ★ この順を確かめずに数だけ写すと、 比が逆になった表 ができます ( 11.3 商編 )。 動画で見る この課の内容に近い解説動画です。押すと再生されます(再生は YouTube に接続します)。「画面に固定して見る」を押すと、本文を読みながら見られます。 Explaining data and trends in English | Business English ABC Education (8:29, 2022) 数と傾向の言い方。豪 ABC の教育チャンネル 練習 「例文で見る」の 10 文を 続けて音読 する。3 周する。3 周目は音声に重ねて シャドーイング する。★ 数と前置詞を、両方とも強く言う。 ★ 七つめの文から、 もとの人数 を出す。 ★ 出したら、 from … to … の形で言い直す。 ★ 10.13 作編 で書いた要旨四文を読み返し、数の入っている文を見る。 ★ 前置詞が正しいか、評価の語が入っていないかを確かめる。 この課のまとめ ★ 数を言う英語では、前置詞が意味を決める。 ★ by は「どれだけ」、 to は「どこまで」。 ★ from … to … がいちばん誤解されにくい。 ★始まりと終わりの両方を置くから。 ★ 割合の動詞は、 of のうしろの名詞に合わせる。 ★数のほうを見ない。割合は中身の一部を切り出したもの。 ★ 倍数は as … as の前。 ★二倍だけが twice という別の語。 ★ the ratio of A to B の順は、そのまま比の順。 ★逆に書けば逆の比になる( 11.3 商編 )。 ★ 数の前に置く語で、書き手の評価が入る。 ★ as many as と only は、数を変えずに見かたを変える。 ★ 論文では評価の語を外し、比べる相手を示して読む人に決めさせる ( 9.12 論編 )。★仕事の文書では逆( 11.3 商編 )。 ★ 日本語は助詞一つで評価を入れられるが、英語は語を足す。 ★足した語だから、消すこともできる。 ★ 数の誤りは、文法の誤りと違って直してもらえない。 ★数を書いたら、前置詞だけをもう一度見る。 次の課へ 第 6 期の型編は、この課で終わりです。★ 八課でそろえたのは、 文章を組み立てる部品 でした—— 時制・焦点・標識・並列・句読法・名詞句・照応・数 。★ 次の課は 4.57 、第 4 編「語」の第 6 期 です。★ NAWL の続き (481〜963)を入れます。★ 第 5 期で 480 語、この期でもう 483 語 ——