6.58 危機対応 — 何にすまないのかを、名指しする — Epoché
この課で言えるようになること ★ 何にすまないのかを名指し して謝れる。 ★ 原因が分からない段階で言える三つ が言える。 ★ 約束できないことを約束しない 。 ★ 次の連絡の時刻 を言って切れる。 前提 : 6.57 まで。 場面と話し手 ★ 取引先への電話 です。★ 出荷した品に不具合が出ました 。★ 原因は まだ分かっていません 。 ★ いちばんやってしまうのは 「分かってから連絡する」 です。★ 分かるまで待つあいだに、 相手は不具合を先に知ります ——★ そこで失うのは 品の信用ではなく、こちらの信用 です。 ★ 日本語では 「このたびは申し訳ございません」 で始められます 。★ 英語では、これが 謝罪として働きません ——★ 何にすまないのかが入っていないから です。 ★ 英語の謝罪は 名指し です。★ I am sorry のうしろに 何を認めるのかを付けます ——★ 付けないと、 丁寧にしただけで何も認めていない と受け取られます 。 ★名指しの謝罪 通らない言い方 通る言い方 ★ I am sorry ★ I am sorry that we shipped the wrong part [1] ★ We apologize ★ We apologize for the two days you lost There was a problem Our test missed this, and we shipped it ★ 右は、どれも 主語と動詞が入って います 。★ だれが何をしたのか が 言葉になっている ので、★ 認めたことが残ります 。 ★ 左のような言い方は、 相手の被害に触れずに丁寧にする 形 です。★ 日本語では成り立ちます が、★ 英語では 逃げたように聞こえます 。 対話 A 話者 英文 日本語訳 学習者 I am calling about the units we shipped on Monday. [2] 月曜に出荷した品のことで、お電話しました。 学習者 I am sorry that we shipped the wrong part. [3] 誤った部品を出荷してしまい、申し訳ありません。 相手 How many of the units are affected? [4] 何台に影響がありますか。 学習者 Two of the ten units have the wrong part. [5] 十台のうち二台に、誤った部品が入っています。 ★ 一行めで 用件を先に 言って います。★ 挨拶と近況から入ると、 相手は悪い話だと気づくのが遅れます 。 ★ 二行めが 名指しの謝罪 です。★ 四行めで 数を一つ 出して います——★ 「十台のうち二台」 。★ 数を先に渡すと、 相手は自分の側で動けます 。 ★分からない段階で言える三つ 何を言うか 声でどう言うか ★ 分かっていること ★ 一つだけ、数で言う ★ 分かっていないこと ★ 「まだ分かりません」と言い切る いましていること いま進んでいる形で言う ★ この三つは 原因が分からなくても言えます 。★ 言わないと、 沈黙が「隠している」に見えます 。 ★ 二つめがいちばん言いにくい ものです。★ 「まだ分かりません」と言うのは 無能に聞こえる と思われがち ですが、★ 推測を言って取り消すほうが、 ずっと高くつきます ( 5.39 聞編 )。 対話 B 話者 英文 日本語訳 相手 What caused it? We need to tell our customer. [6] 原因は何ですか。こちらのお客様に伝えなければなりません。 学習者 We do not know yet how it passed our test. [7] 検査を通ってしまった理由は、まだ分かりません。 学習者 We are checking every unit still in the plant. [8] 工場に残っている品は、いま全部調べています。 学習者 I cannot give you a date for the cause. [9] 原因が分かる日は、お約束できません。 学習者 I will call you again at ten tomorrow. [10] 明日の十時に、もう一度お電話します。 ★ 一行めで 相手が急いで います。 ★ その先に 相手のお客様がいる ので、★ 「調べています」だけでは足りません 。 ★ 四行めが この課のいちばん難しいところ です。★ I cannot give you a date for the cause ——★ 押されている場で 「できません」と言う のはつらい ですが、★ ここで日を口にすると、 それが約束になります 。 ★ 五行めが 代わりに置くもの です。★ 原因の日は約束できなくても、 次に話す時刻は約束できます ——★ これがあると、 相手は待てます 。 ★声だから危ないこと やってしまうこと 何が起きるか ★ 謝りだけを重ねる ★ 何を認めたのかが伝わらない ★ 原因を推測で言う ★ あとで取り消すことになる 期日をぼかす 相手が最悪の場合で動く ★ 紙なら書く前に読み返せます が、★ 声は 出した瞬間に残ります 。★ だから電話の前に、 言わないことを決めておきます ——★ 原因・責任の範囲・補償 。 ★ この三つは 紙で出す ものです ( 11.21 商編 )。★ 電話でするのは 知らせることと、次を決めること だけです。 言い換えと丁寧さ 角の立つ言い方 戻れる言い方 ★ Send the units back ★ Could you send the units back Can you wait until Friday Could you wait until Friday ★ We found two bad units ★ We have found two bad units ★ 一行めは 命令から依頼へ です( 3.49 型編 )。★ 非があるのはこちら ですから、★ ここで命令の形になると、 謝罪そのものが消えます 。 ★ 三行めは 時制で立場が変わります 。★ 単純過去の We found は 終わった調べ に聞こえます 。★ 現在完了の We have found は いま分かっているところまで という意味 になり、★ この先も続くことが伝わります ( 3.9 型編 )。 言い回し 英文 日本語訳 危機の五つ I have some bad news. [11] 残念なお知らせがあります。 ★ 悪い知らせだと先に言う I am to blame for it. [12] 私にその責任があります。 ★ 責任を引き受ける I don't know what went wrong. [13] どうしたんだろうね。 ★ まだ分からないと言う I need to find out exactly what went wrong. [14] 何が旨く行かなかったのか突き止めなければならない。 ★ これから調べると言う I will let you know in advance. [15] 私は前もってあなたに知らせる。 ★ 次の連絡を約束する ★ 二つめは 段のいちばん上 です。★ 責任の範囲が決まる前に言うと、 言った以上の責任を負うことがあります ——★ だれの落ち度かが分かってから です。 この課で使う型 型の名 この課での出方 戻る課 依頼 Could you send the units back 3.49 型編 丁寧な否定 I cannot give you a date for the cause 3.55 型編 予定 I will call you again at ten tomorrow 3.52 型編 現在完了 We have found two bad units 3.9 型編 報告 We do not know yet how it passed our test 3.53 型編 練習 対話 A・B を音読 する。3 周する。★ 四行めの 「できません」を、速さを落とさずに 言う。 ★ 名指しにする 。 I am sorry だけの謝罪を三つ書き、 何にすまないのかを足した形 に直す。 ★ 三つを書き出す 。自分の仕事で起きうる不具合を一つ想像し、 分かっていること・分かっていないこと・いましていること を書く。 ★ 言わないことを決める 。その電話で 口にしないこと を三つ書く。 この課のまとめ ★ 英語の謝罪は、何にすまないのかを名指しする ——付けないと、丁寧にしただけで何も認めていないと受け取られる。 ★ 分かってから連絡するのでは遅い ——待つあいだに相手が先に知り、こちらの信用が落ちる。 ★ 原因が分からなくても三つ言える ——分かっていること・分かっていないこと・いましていること。 ★ 「まだ分かりません」と言い切る ——推測を言って取り消すほうがずっと高くつく( 5.39 聞編 )。 ★ 約束できないことを約束しない ——押されている場で日を口にすると、それが約束になる。 ★ 代わりに、次に話す時刻を約束する ——これがあると相手は待てる。 ★ 原因・責任の範囲・補償は紙で出す ( 11.21 商編 )——電話でするのは、知らせることと次を決めることだけ。 ★ 現在完了は「いま分かっているところまで」 ( 3.9 型編 )。 次の課へ 次の課は 6.59 、 異文化の摩擦 です。★ ここまでの五課は 相手が英語の使い手だという前提 で書いてきました。 ★ 次は 相手もたいてい母語話者ではない という話です——★ 直さず、確かめる 。 答え ★ 音読したとき。 ★ 「できません」で 速さが落ちた はずです。 ★ ここをゆっくり言うと ためらいに聞こえます ——★ ふつうの速さで言い、 そのあとに代わりのものを置きます 。 ★ 名指しにしたとき。 ★ 三つとも 主語と動詞が増えた はずです。 ★ 増えた分が 認めた中身 です——★ 増えないなら、 まだ何も認めていません 。 ★ 三つを書き出したとき。 ★ 二つめがいちばん長くなった はずです。★ ふつうです ——★ 初日は 分かっていないことのほうが多い のが当たり前 で、★ それを言うのが仕事 です。 ★ 言わないことを決めたとき。 ★ 三つに 「いつ直るか」 が入っていましたか。 ★ これがいちばん聞かれ、 いちばん答えてしまう ものです ——★ 答える代わりに、 次に話す時刻を言います 。 参考文献 Epoché の作例(出荷した品に不具合が出た日の電話)。CC BY 4.0。★会社も人も架空、数はすべて仮。https://epoche.app/ Epoché の作例です。 Epoché の作例です。 Epoché の作例です。 Epoché の作例です。 Epoché の作例です。 Epoché の作例です。 Epoché の作例です。 Epoché の作例です。 Epoché の作例です。 Tatoeba 文 #2360317(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/2360317 Tatoeba 文 #42404(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/42404 Tatoeba 文 #3455645(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/3455645 Tatoeba 文 #25101(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/25101 Tatoeba 文 #259122(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/259122