14.24 六行で一つの連 — 最後の二行が閉じる — Epoché
この篇でできるようになること ★ 六行の連の型 ( ababcc )が聞き取れる。 ★ 最後の二行が連を閉じる 働きが分かる。 ★ 弱強四歩格 が数えられる。 ★ 詩の途中で時が変わる のに気づける。 前提 : 特別編に門はありません。第 5 期まで済んでいれば、どこからでも読めます(目安は 3.40 まで/4.60 まで)。 読む前に ★ 特別編は どの篇から読んでもかまいません 。★ 前の篇を読んでいなくても通じるように書いてあります。 ★ これは 千八百七年 の詩 です。★ 書いた人は 「詩はふつうの人が使う語で書くべきだ」 と唱えた 人で、★ この詩にも 難しい語がほとんどありません ——★ 帯の外の語は 21 語だけ です。 どちらのことか 確かめること ★ 文学のこと ★ この時代のイギリスで何が書かれていたか( 12.11 知編 ) ★ ことばのこと ★ やさしい語がどこから来た語か( 12.1 知編 ) ★ 12.1 知編 で、 英語はゲルマンの骨にラテン・フランスの肉 だと置きました。 ★ この詩の語は ほとんど骨のほう です——★ 短くて、 日々の暮らしの語 です。 原文 原文は別の文書にあります(作品ページの「原文」)。★ 韻文なので 一行が一段落 です。本文は 155 語、行は 24 行、一行の語数は平均 6.5 語です。 ★ 文は 3 本だけ です。★ 24 行を 3 文 で書いている ので、★ 一文が 連をまたいで続き ます。 全訳 原文の全訳です。この課程のために、原文に沿って訳しました。番号は原文の段落の番号で、原文と行き来できます。 雲のようにひとりでさまよっていた、 谷や丘の上高くに浮かぶ雲のように。 そのとき突然、私は群れを見た、 おびただしい、金色の水仙の群れを。 湖のほとり、木々の下で、 そよ風に揺れ、踊っていた。 輝く星々のように絶え間なく、 天の川にまたたく星々のように、 水仙は終わりのない列となって 入り江の岸に沿って伸びていた。 ひと目で一万を見た、 頭を振って軽やかに踊るのを。 そばの波も踊っていた。だが水仙は きらめく波にもまさって楽しげだった。 詩人なら心が晴れずにはいられない、 こんなにも陽気な仲間といては。 私は見つめた——そして見つめた——だがほとんど思わなかった、 その眺めが私にどんな富をもたらしたかを。 というのも、しばしば寝椅子に横たわり、 うつろな、あるいは物思う気分でいると、 水仙はあの心の目にひらめくのだ、 ひとりでいることの至福である、あの目に。 すると私の心は喜びに満たされ、 水仙とともに踊るのだ。 語釈 帯の外の語は 21 語しかありません。★ 多くが 動きと気分の語 です—— Fluttering ・ Tossing ・ sprightly ・ jocund 。★ 花の名( daffodils )と、 心の目( inward )だけ覚えれば足り ます。 語(品詞) 意味 注 Fluttering en 動 ひらひら揺れている Fluttering leaves danced across the yard in the light wind. ひらひら揺れる葉が、軽い風の中で庭を横切って舞いました。 Tossing en 動 揺すっている The boat kept tossing gently on the calm evening waves. 穏やかな夕方の波の上で、その船はゆっくり揺すり続けました。 bay en 名 入り江 Fishermen brought their boats into the quiet bay at dusk. 漁師たちは夕暮れに静かな入り江へ船を入れました。 bliss en 名 至福 Pure bliss filled the room when the baby finally smiled. 赤ちゃんがついに笑ったとき、部屋は純粋な至福で満たされました。 breeze en 名 そよ風 A cool breeze drifted through the open kitchen window. 涼しいそよ風が開いた台所の窓を通り抜けました。 couch en 名 長いす She fell asleep on the old couch before dinner was ready. 彼女は夕食の準備ができる前に、古い長いすで眠り込みました。 daffodils en 名 ラッパ水仙。春に黄色い花をつける Bright daffodils lined the garden path every spring morning. 明るいラッパ水仙が、春の朝ごとに庭の小道に並びました。 glee en 名 はしゃぎ The children shouted with glee when the fair finally opened. 縁日がついに開いたとき、子どもたちははしゃぎながら叫びました。 inward en 形 内なる。 inward eye で心の目 He kept his inward fears hidden behind a calm smile. 彼は内なる恐れを穏やかな笑顔の裏に隠していました。 jocund en 形 うきうきした The jocund crowd sang cheerfully as the parade passed by. うきうきした群衆は、行列が通るあいだ楽しげに歌いました。 lonely en 形 ひとりきりの The old lighthouse keeper led a quiet, lonely life. 老いた灯台守は静かでひとりきりの暮らしを送りました。 milky en 形 乳色の。 the milky way で天の川 A milky mist covered the valley just before sunrise. 乳色の霧が、日の出の直前に谷を覆いました。 o'er en 前 〜の上を。 over を一音節に詰めた形 The old bridge stretched o'er the narrow, rushing stream. その古い橋は、狭くて速い流れの上にかかっていました。 oft en 副 しばしば。古い言い方 She oft walked alone through the quiet evening streets. 彼女はしばしば静かな夕方の通りをひとりで歩きました。 pensive en 形 もの思いに沈んだ He sat pensive by the window, watching the falling rain. 彼はもの思いに沈んで窓辺に座り、降る雨を見ていました。 solitude en 名 ひとりでいること After years in the city, she craved simple solitude. 何年も都会にいたあと、彼女は素朴なひとりの時間を求めました。 sparkling en 形 きらめく Sparkling frost covered every branch on that cold morning. きらめく霜が、その寒い朝すべての枝を覆いました。 sprightly en 形 はねるように軽い The sprightly puppy raced circles around the tired old dog. はねるように軽い子犬は、疲れた老犬の周りを走り回りました。 twinkle en 動 きらきら瞬く Stars began to twinkle as the last light faded away. 最後の光が消えていくと、星々がきらきら瞬き始めました。 vacant en 形 うつろな The old house next door has stood vacant for years. 隣の古い家は、何年もうつろなまま立っています。 vales en 名 谷(複数) Mist settled quietly over the vales below the mountain. 霧が山の下の谷々に静かに広がりました。 六行で一つの連 ★ 行末の音を数えました。 ★ 四つの連が、 どれも同じ型 です——★ ababcc 。 どの行か 型の記号と行末の語 ★ 一・三行 ★ a : cloud / crowd ★ 二・四行 ★ b : hills / daffodils ★ 五・六行 ★ cc : trees / breeze ★ 前の四行は 交互 、★ 最後の二行は 続けて 揃います。★ この差が 働きの差 です。 どの部分か 何をしているか ★ 交互の四行 ★ 場面を開く。次の行へ引っぱる ★ 続けて揃う二行 ★ 連を閉じる。ここで言い切る ★ だから、 連の最後の二行にいちばん大事なことが来ます 。★ 第一連なら 花が踊っている 、★ 最後の連なら 心が踊る です。 Fluttering and dancing in the breeze. And dances with the daffodils. ★ danc で始まる語が 4 回 出ますが、★ 主語が変わり ます——★ はじめは 花 が踊り、 終わりは 心 が踊り ます。 弱強四歩格 ★ 行の音節を数えました。 ★ 数えられた 22 行のうち 20 行が 八音節 です。★ 八音節= 弱と強の組が四つ で、★ これを 弱強四歩格 と呼び ます。 I wandered lonely as a cloud ★ I が弱く、 wan- が強い ——★ 弱・強が四回 です。★ 14.23 英語の名文 の「とら」は 強・弱 で、★ 順が 逆 でした。 どちらの詩か 組の順 聞こえ方 ★ 14.23 英語の名文 ★ 強・弱 ★ 太鼓のように打つ ★ この篇 ★ 弱・強 ★ 歩くように進む ★ 14.21 英語の名文 と 8.195 読編 の十音節も 弱・強 です。★ 違いは 組の数 ——★ 五つなら長い詩や芝居、 四つなら歌に近い詩 になります。 後半で時が変わる ★ この詩は 見た話 で始まり ます。 I gazed--and gazed--but little thought ★ 過去のことです 。★ ところが第四連で 時が変わり ます。 For oft, when on my couch I lie They flash upon that inward eye どの連か 動詞の時 ★ 一〜三連 ★ 過去。あの日に見た ★ 四連 ★ いまもくり返し起きること ★ oft (しばしば)が合図 です。★ ここから 「いつも起きること」の時 になります( 3.7 型編 )。★ だから 詩の主題が花から記憶に移り ます ——★ that inward eye (心の目)という語が、 そこで初めて出てき ます。 ★ いちばん最後の二行が、 その答え です——★ 思い出すと いまの心が踊る 。★ daffodils が本文に 2 回しか出ないことにも気づいてください ——★ 四行めと、いちばん最後の行 です。★ 同じ語で 開いて閉じて います。 訳 ★ 難しいところだけ訳します。 原文の要 日本語 I wandered lonely as a cloud ★ 雲のようにひとりで さまよっていた Ten thousand saw I at a glance ★ ひと目で 一万を見た A poet could not but be gay ★ 詩人なら 心が晴れずにはいられない Which is the bliss of solitude ★ それが ひとりでいることの至福 である ★ 二つめの語順に注意してください。 ★ saw I —— 動詞が主語の前 です( 3.29 型編 )。★ なぜ崩すのか 。★ Ten thousand を 行の頭に置きたい からです( 3.58 型編 )。★ それと、 glance を行末に置いて dance と韻を踏むため でもあります。 ★ 四つめの solitude が要 です。★ 一行めの lonely と 同じことを言っているのに、気分が逆 です——★ lonely は さびしい 、 solitude は ひとりでいられる幸い 。★ 詩は この二語のあいだを動いて います。 音読 三周します 。★ 一周めは第一連だけ 、★ 二周めは各連の 最後の二行だけ (四組を続けて読みます)、★ 三周めは通して 読みます。判定は次の 2 文でします。 I wandered lonely as a cloud And dances with the daffodils. 一文めは、★ 強く読むところを 四つ にしてください。★ wandered ・ lonely ・ cloud に山が来ます 。★ 五つ打つと 十音節の詩に聞こえ ます。 二文めは、★ いちばん最後の行なので はっきり下げて ください。 ★ 直前の行と韻を踏んでいます ので、★ 二行を 一つの締めとして 読み ます。 この篇で使う型 型の名 この篇での出方 戻る課 倒置 Ten thousand saw I at a glance 3.29 型編 語順の焦点 Continuous as the stars that shine 3.58 型編 進行と習慣 For oft, when on my couch I lie 3.7 型編 比喩 lonely as a cloud 3.61 型編 関係詞 Which is the bliss of solitude 3.13 型編 考える ★ この詩で比べる相手に選ばれているのは、 ぜんぶ空のもの です。 何にたとえたか 本文 ★ 語り手 lonely as a cloud ★ 花の列 Continuous as the stars that shine ★ 考えてほしいのは、 なぜ空のものばかりなのか です。★ 手がかりは 数 ——★ Ten thousand です。 ★ 地上のもので 一万を言えるもの は少ない のです。 動画で見る この課の内容に近い解説動画です。押すと再生されます(再生は YouTube に接続します)。「