6.36 물레방아(水車) — Epoché
前提 ぜんてい : 6.35 まで。 この 篇 へん でできるようになること 呼びかけ よびかけ と 文末 ぶんまつ から 話者 わしゃ と 聞き手 ききて を 確かめ たしかめ 、 上下 じょうげ 関係 かんけい が 揺らぐ ゆらぐ 場面 ばめん を 示せる しめせる 。 古い ふるい 台詞 せりふ の 約束 やくそく ・ 問い とい ・ 推量 すいりょう を 読み よみ 、 同じ おなじ 用件 ようけん を 今 いま の 形 かたち で 言える いえる 。 筋 すじ と 語り手 かたりて の 説明 せつめい を 分け わけ 、 短い みじかい 文 ぶん でまとめられる。 この 文章 ぶんしょう について 羅 ら 稻香の 小説 しょうせつ です。 李 り 芳 かおる 源 げん は 申 しん 治 おさむ 圭 けい の 家 いえ に 住み すみ 、 土地 とち を 耕し たがやし て 妻 つま と 暮らし くらし ています。 物語 ものがたり は 水車 すいしゃ の 音 おと から、 申 しん 治 おさむ 圭 けい と 芳 かおる 源 げん の 妻 つま の 会話 かいわ へ 進み すすみ ます。 段落 だんらく ごとに、 誰 だれ が 誰 だれ に 向かっ むかっ て 話し はなし ているかを 確かめ たしかめ ましょう。 作品 さくひん には 暴力 ぼうりょく と 殺人 さつじん 、 自死 じし が 描か えがか れます。 人物 じんぶつ の 言葉 ことば と、それを 説明 せつめい する 語り手 かたりて の 言葉 ことば を 分け わけ 、どんな 関係 かんけい の 中 なか で 行動 こうどう が 起こる おこる かを 読み よみ ます。 語釈 ごしゃく — 家 いえ と 立場 たちば 語 ご 本文 ほんぶん の 意味 いみ 물레방아 ・ 방앗간 水車 すいしゃ ・ 粉 こな をひいたり 穀物 こくもつ をついたりする 小屋 こや 。 상전 ・ 머슴 ・ 막실 主人 しゅじん ・ 下男 げなん ・ 下働き したばたらき の 者 もの が 住む すむ 部屋 へや 。 순검 ・ 주재소 ・ 출옥 巡査 じゅんさ ・ 駐在 ちゅうざい 所 しょ ・ 出獄 しゅつごく 。 捕まる つかまる 場面 ばめん とその 後 あと の 語 ご 。 임자 夫婦 ふうふ の 会話 かいわ で 相手 あいて を 指す さす 呼び よび 方 かた 。 있에요 ・ 더우기 ・ 으례히 ・ 녜 ・ 살류 ・ 똑바루 ・ 머춤하고 底本 ていほん の 字 じ 。ふつうは 있어요 ・ 더욱이 ・ 으레 ・ 네 ・ 살려 ・ 똑바로 ・ 멈칫하고 。 文法 ぶんぽう メモ — 呼びかけ よびかけ と 主語 しゅご 主人 しゅじん は 芳 かおる 源 げん を 呼びつけ よびつけ 、 命じ めいじ ます。 芳 かおる 源 げん は 頭 あたま を 下げ さげ て 丁寧 ていねい に 返し かえし ます。やがて 互い たがい をののしる 応酬 おうしゅう へ 変わり かわり 、 語り手 かたりて は 同じ おなじ 人 ひと として 向かい合う むかいあう と 書き かき ます。さらに 巡査 じゅんさ の 前 まえ では、 芳 かおる 源 げん が 再び ふたたび 丁寧 ていねい に 返す かえす 姿 すがた に 注目 ちゅうもく してください。 얘 という 音 おと だけを 親しい したしい 「ねえ」と 取ら とら ず、その 後 あと の 命令 めいれい と、 相手 あいて が 頭 あたま を 下げ さげ て 答える こたえる 動作 どうさ を 合わせ あわせ ます。この 場面 ばめん では、 主人 しゅじん が 下 した の 者 もの を 呼びつけ よびつけ ています。 - ㄹ 터이니 は「〜するつもりだから」、- ㄹ 터이요 は「〜するつもりなのか」。 約束 やくそく する 言葉 ことば にも、 生活 せいかつ の 見通し みとおし を 問いつめる といつめる 言葉 ことば にもなります。 今 いま の 言い いい 方 かた は 型 かた 編 へん 9 課 か で 学ん まなん だ 意志 いし と 予定 よてい の 形 かたち に 対応 たいおう させられます。 남이 보면 수상히 알게요 は「 他人 たにん が 見 み たら 怪しく あやしく 思う おもう でしょう」。 判断 はんだん するのは 남 、つまり 他人 たにん です。 話し はなし ている 本人 ほんにん が 何 なん かをすると 約束 やくそく する 文 ぶん と、 主語 しゅご が 違い ちがい ます。 説明 せつめい の- 음이다 は、ここでは「〜だからである」、- 는 것이다 は「〜なのである」。 会話 かいわ から 一歩 いっぽ 離れ はなれ 、 語り手 かたりて が 理由 りゆう や 解釈 かいしゃく を 加える くわえる 部分 ぶぶん を 見つける みつける 手がかり てがかり です。 期間 きかん は 型 かた 編 へん 7 課 か の 数詞 すうし と 助 じょ 数詞 すうし を 組み合わせ くみあわせ ます。「 三 さん か月 かげつ 」を 二 に 通り とおり で 言い いい 、 固有数詞 こゆうすうし と 漢数詞 かんすうし の 組 くみ を 区別 くべつ しましょう。 対訳 たいやく がらんがらんと 樋 とい に 入っ はいっ て、また 注ぎこぼれ そそぎこぼれ て 流れる ながれる 水 みず が、ずっしりした 水車 すいしゃ をひょいと 持ち上げ もちあげ てから、どんと 臼 うす の 中 なか へ 投げ落とす なげおとす とき、 下男 しもおとこ たちの 鼻歌 はなうた は、 白い しろい 糠 ぬか の 粉 こな が 幾 いく 重 え にも 積もっ つもっ た 水車 すいしゃ 小屋 こや の 中 なか から、 もの悲しく ものがなしく 漏れ出し もれだし てくる。 ざあ、ざあ、ざあ、 玉 たま になっては 銀 ぎん の 粉 こな になり、 竹 たけ の 茎 くき のように 伸び のび てはまたがんがんと 注ぎこぼれ そそぎこぼれ て 青い あおい 龍 りゅう になり 白い しろい 龍 りゅう になり、 湧き返っ わきかえっ て 流れる ながれる 水 みず が、 向こう むこう の 山 やま かどを 十 じゅう 里 り も 回り まわり 、またこちらの 野 の の 真ん中 まんなか を 五 ご 里 り ほど 貫い つらぬい たあと、 李 り 芳 かおる 源 げん (イ・パンウォン)の 住む すむ 村 むら の 前 まえ の 裾 すそ をかすめて 過ぎる すぎる ところ、その 上 うえ に 水車 すいしゃ が 一 ひと つ 置か おか れている。 水車 すいしゃ から 見る みる と、 東北 とうほく のほうに 大きな おおきな 村 むら があって、この 村 むら でいちばんの 富者 ふしゃ 、いちばん 勢力 せいりょく のある 人 ひと として、 名 な を 申 しん 治 おさむ 圭 けい (シン・チギュ)と 呼ぶ よぶ 。 李 り 芳 かおる 源 げん という 人 ひと はその 家 いえ の 幕 まく 室 しつ 住まい すまい をしながら 彼 かれ の 土地 とち を 耕し たがやし 、 自分 じぶん の 妻 つま と 二人 ふたり でその 日 ひ その 日 ひ を 過ごし すごし ていく。 ある 秋 あき の 夜 よる 、ことのほか 明るい あかるい 月 つき が 静か しずか なこの 村 むら をひっそりと 照らす てらす とき、その 水車 すいしゃ 小屋 こや のそばで、ある 女 おんな 一人 ひとり とある 男 おとこ 一人 ひとり が 立っ たっ て 話 はなし をする 声 こえ が 聞こえ きこえ た。 その 女 おんな は 芳 かおる 源 げん の 妻 つま で、いまの 年 とし は 二十 にじゅう 二 に 歳 さい 、 盛り もり の 情熱 じょうねつ に 燃える もえる 胸 むね でいちばん 幸福 こうふく であるはずの 年ごろ としごろ の 若い わかい 女 おんな であり、その 男 おとこ は 五十 ごじゅう の 半ば なかば を 越え こえ 、 人 ひと として 生き いき てくる 道 みち をすべて 生き いき てしまって、そろそろ 滅び ほろび の 溝 みぞ へ 向かっ むかっ ていく 老人 ろうじん である。 彼 かれ の 声 こえ はまるでその 女 おんな をなだめるように、 「おい、 俺 おれ の 言う いう ことに 少し すこし も 間違っ まちがっ たところはないだろう。シェンネ 婆 ばあ さんからも 詳しい くわしい 話 はなし を 聞い きい たはずだが、おまえ、 考え かんがえ てみろ。おまえが 承知 しょうち さえすれば、 何 なん でもおまえがしたいということを 俺 おれ がぜんぶしてやろうというんだ。あんな 芳 かおる 源 げん の 奴 やつ と 何百 なんびゃく 年 ねん 暮らし くらし たって、いつまでも 幕 まく 室 しつ の 隅 すみ を 抜け出せん ぬけだせん のだから……はは、 人 ひと というものは 若い わかい うちに 贅 ぜい を 味わっ あじわっ てみないと、 一生 いっしょう に 一 いち 度 ど もしてみないまま 死ぬ しぬ ことになるじゃないか。 俺 おれ の 言っ いっ ていることに 少し すこし も 間違い まちがい はないぞ。おおよそおまえの 気持ち きもち はシェンネ 婆 ばあ さんから 聞き きき はしたが、それでもおまえに 直接 ちょくせつ 聞く きく のには 及ば およば ないので、ここで 会おう あおう と 言っ いっ たのだ。おまえの 心 こころ はどうだ。はは、 俺 おれ の 前 まえ だからと 少し すこし も 構え かまえ ずに、 話し はなし てみろ、うん。」 この 老人 ろうじん は、 言う いう までもなく 申 しん 治 おさむ 圭 けい である。 彼 かれ は 貪欲 どんよく な 目 め で 芳 かおる 源 げん の 女房 にょうぼう をのぞきこみながら、 片手 かたて で 背中 せなか を 叩く たたく 。 つんと 澄まし すまし た 顔 かお が 青白く あおじろく 、 長い ながい 眉 まゆ と 黒ずん くろずん だ 両 りょう の 目 め の 縁 えん に 美しい うつくしい 口 くち 、とがった 頬 ほお に 鼻筋 はなすじ がすっと 高い たかい うえに、すらりとした 背 せ に 張っ はっ た 尻 しり ( 腰つき こしつき )が、どう 見 み ても 恐ろしく おそろしく 理知 りち 的 てき であると 同時 どうじ に、また 娼婦 しょうふ 型 がた にできているのである。 女 おんな は 何 なん も 言わ いわ ずに 立っ たっ て、わざと 恥じる はじる そぶりをつくり、 魅惑 みわく 的 てき な 笑い わらい をにこりと 笑っ わらっ て 顔 かお をそらした。その 笑い わらい がどれほど 獣 けもの のような 申 しん 治 おさむ 圭 けい の 満足 まんぞく を 買い かい 、また 心 こころ を 揺り動かし ゆりうごかし たのか、 白い しろい ものの 混じっ まじっ た 髭 ひげ がほとんど 女 おんな の 頬 ほお に 触れる ふれる ほど、もっと 近く ちかく に 来 き て、 「うん。なぜ 返事 へんじ がないんだ。 恥ずかしい はずかしい のか。そんなに 恥ずかし はずかし がるようなことではないのに。」 と 言っ いっ て 女 おんな の 手 て を 取り とり ながら、 「 手 て もこんなに 美しい うつくしい とは、 今 いま まで 知ら しら なかったな。まったく 白粉 おしろい のようだ。こんなに 上品 じょうひん な 子 こ が 芳 かおる 源 げん のような 卑しい いやしい 奴 やつ の 女房 にょうぼう になって、 一生 いっしょう このまま 腐っ くさっ ていくというのは、あまりに 哀れ あわれ で 惜しく おしく はないか。おい。」 女 おんな は 体 からだ をそらそうともせず、 旦 たん 爺 じい のするままに 任せ まかせ て、 目 め で 地面 じめん ばかり 見下ろし みおろし て 立っ たっ ていたが、やっと 口 くち を 開く ひらく ようにして、 「 私 わたくし のことはみなシェンネ 婆 ばあ さんが 申し上げ もうしあげ たんでしょう。 私 わたくし には 分 ぶん 不 ふ 相応 そうおう なお 言葉 ことば ですから。」 「おや、とんでもないことを 言う いう ものだ。それが 何 なん の 話 はなし だ。おまえも 知っ しっ ているとおり、 俺 おれ がおまえを 遊び あそび 半分 はんぶん でこうしているわけでもないし、 後継ぎ あとつぎ がいなくてこうしているのだから、おまえが 俺 おれ の 息子 むすこ を 一人 ひとり 産ん うん でくれ。そうすれば 俺 おれ のものがみなおまえのものになるじゃないか。さあ、そう 言わ いわ ずに 今日 きょう 承知 しょうち をしろ。そうすれば 明日 あす にでも 芳 かおる 源 げん という 奴 やつ を 追い出し おいだし て、おまえを 呼び入れる よびいれる から。」 「どうやって 追い出せる おいだせる んですか。」 「はあ、それが 何 なん の 難しい むずかしい ことがある。 俺 おれ が 出 で ていけと 言う いう のに、あいつが 出 で ていかずに 済む すむ と 思う おもう か。」 「でも、あまりにひどくないでしょうか。」 「なんだ、そんなことを 考える かんがえる からおまえがこの 様 よう でこれまでいたのだ。どうしたというのだ。そんなことは 少し すこし も 心配 しんぱい せずに。さあ、また 亭主 ていしゅ に 見つかる みつかる ぞ、 早く はやく 入ろう はいろう 。」 「 先 さき にお 入り はいり ください。」 「なぜ。」 「 人 ひと が 見 み たら 怪しむ あやしむ でしょう。」 「なんだ、 俺 おれ と 一緒 いっし