7.4 訳さずに音読で理解する — 三度読む — Epoché
この課でできるようになること 同じ文章を三度、 違う目的で 読める。 一度目で意味が半分しか取れなくても 止まらない 。 自分の読む速さを、語数 ÷ 分で測れる。 訳編の道具を、いつ外すかを自分で決められる。 前提 : 7.3 まで。 なぜ訳す(訳さない)か 第 1 期から三課かけて、 訳さずに読む 道具を作ってきました。切って、置いて、進む。この課で、その道具の 使い方の仕上げ をします。 仕上げとは、 何度読むか を決めることです。一度で済ませようとするから、訳したくなるのです。訳文を作れば、一度読んだあとに何度でも見返せます。つまり訳は、 一度しか読まない人のための道具 です。 何度も読むつもりなら、訳は要りません。一度目に取れなかったところは、二度目に取ればよい。そして 二度目のほうが速い ので、三度読んでも訳すより短く済みます。この課は、その勘定が本当に合うことを確かめる課です。 手順 三度、違う目的で読む 何度目か 何をするか 取れなくてよいもの 一度目 切るだけ 。切れ目に印を付けながら通す 細かい意味・知らない語 二度目 声に出して読む 。塊ごとに日本語を置く 速さ 三度目 速く読む 。切れ目を意識しない 何も。ここで全部取る 一度目でいちばん大事なのは、 止まらないこと です。知らない語が出ても、辞書を引かずに通します。切れ目に印を付けるだけなので、意味が半分でもかまいません。 半分でよいと決めておく と、本当に止まらなくなります。 二度目は声に出します。口は、目よりも正直です。分かっていない場所では 必ずつかえます 。つかえた場所に印を付けてください。そこが、この文章で自分が弱いところです。辞書を引くのは、ここで初めてです。 三度目は速く読みます。切れ目はもう見えているので、 意識しないでも切れます 。ここで初めて、文章全体が一つのまとまりとして入ってきます。一度目には見えなかった筋が見えるはずです。 なぜ三度なのか 二度では足りず、四度では飽きるからです。二度目までは 部分 を見ています。切れ目も、つかえた場所も、部分です。全体が見えるのは三度目からで、そこまで行かないと 読んだ実感 が残りません。 そして四度目には新しい発見がほとんどありません。同じ文章を四度読む時間があるなら、 別の文章を一度読んだほうが得 です。三度で切り上げて次へ行ってください。 読む速さを測る 速くなったかどうかは、 測らなければ分かりません 。測り方は簡単です。 やること どうやるか 気をつけること 語数を数える 篇の語数は読編の各課に書いてある 自分で数えなくてよい 時間を計る 三度目を読むときにだけ計る 一度目・二度目は計らない 割る 語数 ÷ 分 = 一分あたりの語数 端数は切り捨てでよい 計るのは 三度目だけ です。一度目と二度目は目的が違うので、速さを計っても意味がありません。三度目の数を、篇ごとに書き留めてください。 自分の数を持つこと が目的です。 他人の数と比べる必要はありません。比べるのは 先月の自分 とだけ。同じくらいの長さの篇で数が上がっていれば、速くなっています。上がらないときは、 篇が難しくなっている 可能性もあります。数だけで判断せず、つかえた場所の数も一緒に見てください。 実例 実際の文で、三度の違いを見ます。行を押すと音が鳴ります。 同じ文を三度、違う読み方で 通してみてください。 英文 日本語訳 どの度で使うか This is the key which I have been looking for. [1] これが私がずっと捜していたカギです。 一度目は塊で切るだけ。意味は半分でよい This is the book that you're looking for, isn't it? [2] これがあなたのさがしている本でしょう。 二度目は声に出す。口が止まる場所が弱点 This is the book you are looking for. [3] これが君の探している本です。 三度目は速く。切れ目を意識しない The people whom I meet are kind. [4] 私が出会う人々は親切だ。 主語が長い文は、二度目でつかえやすい He never takes into account the fact that I am very busy. [5] 彼は僕がとても忙しいという事を全然考慮してくれない。 長い文。三度読むと差がはっきり出る You must take into account the fact that he is too young. [6] あなたは彼が若すぎるという事実を考慮に入れなければならない。 同じ形。書き言葉でよく出る 一度目 — 切るだけ He never takes into account the fact that I am very busy. [5] を一度目の読み方で通します。この文には知らない言い回しが入っているかもしれませんが、 引かずに通します 。やるのは切れ目に印を付けることだけ。動詞の後ろ、 that の前、その三か所で切れれば十分です。 この段階で分かるのは「誰かが何かを考慮していない」というくらいです。 それでかまいません 。一度目の目的は、文の形を見ることであって、中身を取ることではありません。 二度目 — 声に出す 同じ文を声に出して読み、塊ごとに日本語を置きます。ここでつかえた場所があれば、それが弱点です。この文でつかえやすいのは、動詞の後ろに長い目的語が来るところと、 that が何をつないでいるかが見えないところです。 つかえたら、 そこで初めて辞書を引いて ください。一度目に引くと、引くこと自体が目的になって読み進めなくなります。二度目に引けば、 引くべき語が三つか四つに絞れて います。 三度目 — 速く 切れ目も、語の意味も分かった状態でもう一度読みます。今度は 切れ目を意識しません 。意識しなくても切れるはずです。そして、ここで初めて文全体が一つの意味として入ります。 この三度目の感じを覚えておいてください。 読むとは、この感じのこと です。一度目と二度目は、そこへ行くための準備でしかありません。準備は速く済ませて、三度目に時間を使ってください。 やってみる 二つやります。どちらも 三度通す ところまでやってください。一度で終わらせると、この課をやった意味がありません。 第 2 期の読編(8.17 以降)から一篇選び、 三度読む 。一度目は切るだけ、二度目は声に出して置く、三度目は速く。三度目だけ 時間を計り 、語数 ÷ 分を書き留める。 二度目でつかえた場所を 数える 。そして、その場所が①知らない語 ②切れていない ③日本語が置けないのどれかを一つずつ決める。①なら辞書、②なら 7.3 訳編 、③なら 7.2 訳編 に戻る。 練習 「実例」の 6 文を、行を押して音を聞いてから続けて 音読 する。3 周する。3 周目は 5 番めと 6 番めの 2 文を、音声に重ねて シャドーイング する。この 2 文は長いので、三度読みの効きめがはっきり出る。 5 番めの文だけを 三度、違う読み方で 通す。一度目は切るだけ、二度目は声に出して置く、三度目は速く。三度目に 一度目には見えなかったもの が見えたかを書く。 第 1 期からの訳編四課(7.1〜7.4)を振り返り、 自分がもう要らない道具 があるかを確かめる。切らなくても読める文が増えていれば、その長さの文では道具を外してよい。 道具は外すために覚えるもの です( 7.3 訳編 )。 この課のまとめ ★ 一度で全部取ろうとしない。三度に分ける。 一度あたりの負担が三分の一になり、合計の時間はむしろ減る。 一度目は 切るだけ 。知らない語が出ても引かずに通す。意味は半分でよい。 二度目は 声に出す 。口は目より正直で、分かっていない場所で必ずつかえる。辞書を引くのはここで初めて。 三度目は 速く 。切れ目を意識しない。ここで全体が一つの意味として入る。 三度で切り上げる。 四度目には新しい発見がほとんどない。別の文章を読んだほうが得。 読速は測らないと速くならない。 語数 ÷ 分。計るのは三度目だけ。 比べるのは他人ではなく 先月の自分 。数だけで判断せず、つかえた場所の数も一緒に見る。 訳は 一度しか読まない人のための道具 。何度も読むつもりなら要らない。 次の課へ 第 11 編「訳」の第 2 期はこの課で終わりです。第 2 期の学習順では、訳の次は読です。次の課は 8.17 、題は 平明な本物を読む I 。第 1 期の読編は、上位 600 語と第 1 期の型だけで Epoché が書いた 統制作文 でした。第 2 期からは 本物の英文 を読みます。書き手は学習者のことを考えていません。そのかわり、この四課で作った道具がそろっています。切って、置いて、三度読む——それで読めます。 答え 三度目の数を書き留められたなら、これから測り続けられます。最初の一篇の数は 比べる相手が無い ので、速いか遅いかは分かりません。それでかまいません。二篇目からは比べられます。 測り始めること が、この問いの目的です。 つかえた場所を三つに分けられたなら、 次に何をすればよいかが決まって います。①が多いなら語彙、②が多いなら切り方、③が多いなら置き方。どれが多いかは人によって違い、 自分の弱点は自分で測るしかありません 。 三度目に何か見えたなら、この課は働いています。見えなかった場合、三度目が速くなっていません。三度目は 速く読むことが目的 なので、少し速すぎるくらいで通してください。取りこぼしても、一度目と二度目で土台ができています。 外せる道具があったなら、それがこの課程の狙いです。道具を使い続けるのが目的ではありません。 短い文から順に外れていきます 。長い文で道具が要るのは、第 5 期の学術の文まで続きます。そこまでは持っていてください。 参考文献 Tatoeba 文 #56224(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/56224 Tatoeba 文 #9052501(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/9052501 Tatoeba 文 #1477253(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/1477253 Tatoeba 文 #246824(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/246824 Tatoeba 文 #303731(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/303731 Tatoeba 文 #69040(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/69040