3.40 節の圧縮 — 主語と接続詞を落とす — Epoché
この課でできるようになること ★ 分詞構文 を読める・書ける。 ★ 落としてよいとき が分かる。 ★ Having + 過去分詞が 前に起きたこと だと分かる。 ★ 同格 を見分けられる。 前提 : 3.39 まで。第 5 期の型編の総まとめ。 例文で見る 10 文を並べます。行を押すと音が鳴ります。 右の列は、何が起きているか です。 英文 日本語訳 何が起きているか Looking up, I saw him come in. [1] 見上げると彼が入って来た。 ★ 分詞構文 。 同時に起きている Being young, he can work all day long. [2] 若いから彼は一日中働ける。 ★ 同じ形で、理由 。★ 形では区別できない Having done his work, he went out. [3] 仕事をしたあとで外出した。 ★ Having + 過去分詞。 先に起きたこと Having seen him before, I knew him at once. [4] 以前会った事があったので、すぐに彼がわかった。 同じ形。★ 理由も兼ねている Having heard the story before, she didn't want to hear it again. [5] 彼女はその話を以前に聞いたことがあったので、それをまた聞きたくなかった。 同じ形。 長い Seeing that it is late, we should go home. [6] もう遅くなったから、私たちは家に帰らなければならない。 ★ Seeing that 。 理由だと印を付けた形 Compared with the old model, this is far easier to handle. [7] 古い機種に比べてこちらのほうがずっと扱いやすい。 ★ 過去分詞で始める 。 比べる形 ( 3.38 型編 ) Compared to those around him, he looked really happy. [8] 周りの人達と比べると彼は本当に幸せそうだった。 同じ形。 前置きが長い ( 3.34 型編 ) He sat there with his eyes closed. [9] 彼は目を閉じてそこに座っていた。 ★ with 構文 。 目を閉じた状態で He was thinking about his work with his eyes closed. [10] 彼は目を閉じて自分の仕事のことを考えていた。 同じ形。★ 主節が長い 骨組み ★圧縮とは、落とすこと ★ 二つの文があります。 ★ 「私は見上げた」と「私は彼が入ってくるのを見た」。 ★ つなぐときに、接続詞と主語を落とすと —— Looking up, I saw him come in. [1] になります。 何が落ちるか 何が消えるか どうなるか ★ 接続詞 ★ 理由か、時か、同時か ★ 読む人が決める 主語 誰がしているか ★ 主節と同じだと決まっている 時 いつのことか Having があれば前、無ければ同時 ★ いちばん上が大事です。 ★ 接続詞を落とすと、関係が消えます。 例文の一つめと二つめを見比べてください。★ 形はまったく同じ です。★ けれども、一つめは「同時」、二つめは「理由」 です。 ★ どうやって決めるのか。 ★ 中身で決めます。 ★ 形は、何も教えてくれません。 ★ だから、はっきり言いたいときは落とさないでください。 ★ 落とすのは、関係がどうでもよいとき です。 ★落とせるのは、主語が同じときだけ ★ これが、いちばん大事な決まり です。 主語は 落とせるか なぜ ★ 主節と同じ ★ 落とせる ★ 読む人が主節から補える ★ 主節と違う ★ 落とせない ★ 補うと、別の人の話になる ★ 落としてはいけないところで落とすのが、有名な誤り です( 3.34 型編 でも挙げました)。★ 読む人は、必ず主節の主語を補います。 ★ だから、犬が歩いていることになってしまいます。 ★ Having は、前に起きたこと どの形 いつのことか 例文 -ing ★ 主節と同時 一つめ・二つめ Having + 過去分詞 ★ 主節より前 三つめ・四つめ・五つめ 例文の三つめ—— Having done his work, he went out. [3] 。★ 「仕事を終えてから、出かけた」。 ★ 順番が決まっています。 ★ これが、 Having の働き です。★ 形一つで、時の前後を示します。 ★ 接続詞を落としても、時だけは残せる のです。 ★ with 構文は、抜け道 ★ with 構文だけは、主語が違ってもかまいません。 例文の九つめ—— He sat there with his eyes closed. [9] 。★ 座っているのは彼、閉じているのは目 です。★ 主語が違います。 ★ けれども、 with が付いているので通ります。 ★ 「〜した状態で」 と読みます。 ★ だから、主語が違うときは with を使ってください。 ★ 分詞構文で書こうとして詰まったら、 with に逃げる ——★ これが実用の手 です。 ★同格 — 名詞に名詞を並べる ★ もう一つの圧縮が、同格 です。★ 「〜という〜」を、コンマで挟んで並べます。 8.103 読編 から—— The teacher, Absa Ndiaye, said [11] 。★ 「その教師、アブサ・ンジャイ、が言った」。 ★ 元は二文 です——★ 「その教師が言った」と「その教師はアブサ・ンジャイという」。 ★ 二文目が、コンマの中に入りました。 ★ 3.27 型編 の非制限の関係詞と、同じ作り です。★ コンマで挟んだところは、指で隠しても文が通ります ( 3.34 型編 )。 ★ 報道の文では、この形で人の肩書きと名前を渡します。 ★ だから、コンマに挟まれた名前を飛ばして読めば、筋だけが速く取れます。 日本語ならどう言うか ★ 日本語は、接続詞を落としません。 日本語 英語 何が違うか 見上げる と 、彼が入ってきた Looking up, … ★ 日本語は「と」が残る 若い ので 、一日中働ける Being young, … ★ 日本語は「ので」が残る 目を閉じ て 、座っていた with his eyes closed 日本語の「て」は何でも兼ねる ★ 日本語の「て」は、英語の分詞構文にいちばん近い です。★ 理由も、時も、同時も、全部「て」で言えます。 ★ だから、この型そのものは分かりやすいはず です。★ 難しいのは、主語をそろえるところ です。 ★ 日本語では、主語が違っても「て」でつなげます ——★ 「雨が降って、試合が中止になった」。 ★ 英語では、これができません。 ★ ここが、いちばんの落とし穴 です。 丁寧さの段 ★ 圧縮は、書き言葉のもの です。★ 話すときに使うと、通じません。 どこで使うか 圧縮するか なぜ ★ 書き言葉 ★ する ★ 読み返せるから ★ 話し言葉 ★ しない ★ 聞き手は戻れないから ★ 3.34 型編 で「書き言葉は長くてよい」と置きました。 ★ 同じ理由 です。★ 読む人は戻れますが、聞く人は戻れません。 ★ ただし、決まり文句になった圧縮は話し言葉でも使います —— Compared to yours, my car is small. [12] のような形です。★ これは、一つの言い回しとして覚えられています。 よくある誤り 三つ挙げます。下の誤文は Epoché の作例です。 主語が違うのに落とす。 Being tired, the work was stopped. → Being tired, I stopped the work. の形に。★ 疲れているのは仕事ではありません。 with 構文に動詞を入れる。 with his eyes were closed → with his eyes closed の形に。★ with のうしろは、節ではありません。 能動なのに過去分詞で始める。 Seen the movie, I cried. → Having seen the movie, I cried. の形に。★ 過去分詞で始めるのは、受け身のとき です。 実文で通す 読 D の記事二篇から、圧縮を五つ引きました。 どの篇から 原文 何を落としているか 8.103 読編 one 13-year-old student, Aissatou Barry ★ 同格 。「〜という名の」を落とした 8.103 読編 five-year-old students were heard singing ★ 知覚 + 分詞 ( 3.21 型編 ) 8.104 読編 based in Oregon [13] ★ which is を落とした 8.104 読編 a nonprofit group based in Minnesota 同じ形。★ 名詞のうしろに付く 8.104 読編 Monarchs west of the Rocky Mountains ★ that live を落とした ★ 三つめから五つめは、分詞構文ではありません。 ★ 名詞のうしろに付いて、その名詞を説明しています。 ★ 元は関係詞節 です——★ which is based in Oregon 。 ★ which is を落とすと、残りがそのまま名詞にくっつきます。 ★ これが、報道と学術の文でいちばん多い圧縮 です。★ 3.34 型編 で「入れ子は括弧だと思う」と置きました。 ★ この形も、括弧 です。★ 名詞のうしろに付いたかたまりは、全部その名詞の説明 です。 ★ 五つめを見てください。 ★ Monarchs のうしろの west of the Rocky Mountains は、動詞ではありません。 ★ ここを動詞だと思うと、文が壊れます。 動画で見る この課の内容に近い解説動画です。押すと再生されます(再生は YouTube に接続します)。「画面に固定して見る」を押すと、本文を読みながら見られます。 Learn English Correctly: Reducing Relative Clauses ESLgold.com (7:07, 2023) 関係詞節の圧縮。★CC BY(再利用可) 練習 「例文で見る」の 10 文を 続けて音読 する。3 周する。3 周目は音声に重ねて シャドーイング する。★ コンマで一拍おく。 ★ 一つめと二つめを、接続詞を戻して言い直す。 ★ 一つめは When 、二つめは Because 。 ★ 形が同じなのに、戻す語が違います。 ★ 「実文で通す」の三つめから五つめに、 which is や that live を戻す。 ★ 10.11 作編 で書いた経験のエッセイを読み返し、分詞構文を探す。 ★ あったら、主語が主節と同じか確かめる。 ★ 違っていたら、 with に直すか、二文に分ける。 この課のまとめ ★ 圧縮とは、節の主語と接続詞を落とすこと。 ★ 落とせるのは、主節と主語が同じときだけ。 ★読む人は必ず主節の主語を補う。 ★ 接続詞を落とすと、関係が消える ——理由か、時か、同時か。★形は何も教えてくれない。★はっきり言いたいときは落とさない。 ★ Having + 過去分詞は、主節より前に起きたこと。 ★接続詞を落としても、時だけは残せる。 ★ with 構文だけは、主語が違ってもよい。 ★分詞構文で詰まったら with に逃げる。 ★ 同格はコンマで挟む ( 3.27 型編 の非制限と同じ作り)。★報道では、肩書きと名前をこの形で渡す。 ★ いちばん多い圧縮は which is を落とした形 ——名詞のうしろに付くかたまり。★これを動詞だと思うと文が壊れる。 ★ 日本語の「て」は主語が違ってもつなげる。英語はつなげない。 ★ここがいちばんの落とし穴。 ★ 圧縮は書き言葉のもの。 ★読む人は戻れるが、聞く人は戻れない( 3.34 型編 )。 次の課へ 第 5 期の型編は、この課で終わりです。★ 八課でそろえたのは、学術の文の部品 でした—— 名詞化・長文の解剖・受動・ヘッジ・定義・分類・因果・圧縮 。★ 次の課は 4.49 、第 4 編「語」の第 5 期 です。★ ここから語表が変わります ——★ NAWL(学術語彙表) です。★ 型がそろったので、次は語をそろえます。 答え 「練習」の四つの答えです。 ★ コンマで一拍おくと、どこまでが前置きかが聞こえます。 ★ 置かずに読むと、主語がどれか分からなくなります。 ★ 書くときにも、コンマを忘れないでください。 ★ 一つめは「見上げたとき」、二つめは「若いので」。 ★ 形が同じで、戻す語が違います。 ★ これが、圧縮したときに失われるもの です。★ 書く側は、失っても困らないときだけ圧縮します。 ★ 戻すと ——「オレゴンに拠点のある(その団体)」/「ミネソタに拠点のある非営利団体」/「ロッキー山脈の西に住む(蝶)」。★ 三つとも、名詞の説明 です。 ★ 自分の書いたものに分詞構文があったら、たいてい主語がずれています。 ★ 日本語で考えて書くと、必ずそうなります ——★ 日本語の「て」が、主語の違いを許すから です。★ 見つけたら、二文に分けてください。 ★ 分けたほうが、たいてい読みやすくなります。 参考文献 Tatoeba 文 #239320(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/239320 Tatoeba 文 #265695(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/265695 Tatoeba 文 #245409(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/245409 Tatoeba 文 #28322(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/28322 Tatoeba 文 #311446(