8.3 My Town — わたしの町 — Epoché
この篇でできるようになること 英語だけで書かれた 230 語の文章を、辞書を引かずに最後まで読める。 on ・ by ・ over ・ under のような場所を表す語から、町の地図を頭に描ける。 230 語を 1 分あたり 120 語(1 分 55 秒)で読み切れる。 前提 : 8.2 まで。 読編「読」の第 3 篇です。語り手は 8.1 読編 ・ 8.2 読編 と同じケン。こんどは町の話で、230 語あります。前の篇は 200 語でしたから、30 語ぶん長くなりました。第 16 篇では 350 語ほどになります。 この篇には、前の 2 篇と違うところが 1 つあります。 帯の外の語を 5 語だけ宣言しました。 park 657 番・ station 709 番・ river 1,176 番・ mountain 1,245 番・ bridge 1,546 番——この 5 語です。読 A の規則では、題の語——その篇の題材そのものを指す語——は帯の外でも宣言してよいことになっています(1 篇あたり 15 語まで)。町の話をするのに駅も川も橋も出せないのでは、書けるものが無くなってしまうからです。 宣言するとき、順位を調べてみて分かったことがあります。町の語のうち帯 600 の中に残ったのは school 146 番・ area 204 番・ market 219 番・ building 221 番・ city 269 番・ town 364 番・ shop 437 番・ road 521 番・ street 598 番——この 9 語でした。並べてみると、 残った語の多くに「物ではない使い方」がある ことに気づきます—— market は市場経済、 building は「建てること」、 road は「道のり」、 area は「分野」、 school は「学派」。いっぽう外へ出た 5 語は、目の前の物しか指しません。頻度の表は書かれた文章を数えて作るので、比喩や抽象の使い方を持つ語ほど上に来ます。「生活で大事かどうか」の順位ではないのです。 しかも、外に出た 5 語はどれも カタカナで日本語に入っている語 です。CEFR-J の段でもいちばんやさしい A1 に置かれています。つまり、順位が 600 の外だということと、読み手にとって新しい語だということは、別のことなのです。ここが 2.1 橋編 以来この課程が使いつづけている足場です。宣言した 5 語は、読み手にとっては新しい語ではなく、 すでに持っているのに英語では使っていなかった語 です。 park en 帯の順位 657 番 カタカナとの差 パーク → ● (3 拍を 1 音節に) The park is by the river, on the other side of the bridge. 公園は川のそば、橋の向こう側にあります。 May I park my car here? [1] ここに車をとめてもよろしいですか。 station en 帯の順位 709 番 カタカナとの差 ステーション → ●○ (5 拍を 2 音節に) There is one river, one station, and one long street between them. 川が一本、駅が一つ、そしてそのあいだに長い通りが一本あります。 The station is old, and only two trains an hour stop there. 駅は古く、一時間に二本しか電車が止まりません。 river en 帯の順位 1,176 番 カタカナとの差 リバー → ●○ (3 拍を 2 音節に) The mountains stand close on both sides, so the town can only grow along the river. 両側に山がすぐそこまで迫っているので、町は川に沿ってしか広がれません。 The street runs from the station to the river. その通りは駅から川まで通じています。 mountain en 帯の順位 1,245 番 カタカナとの差 マウンテン → ●○ (5 拍を 2 音節に) But when I walk home / over the bridge / at night, / with the mountains black on both sides / and the water under me, / I always know / where I am. でもわたしが歩いて帰るとき / 橋を越えて / 夜に / 両側に山が黒いまま / そして足の下に水があるまま / わたしはいつも分かっている / 自分がどこにいるか But when I walk home over the bridge at night, with the mountains black on both sides and the water under me, I always know where I am. でも夜、橋を渡って歩いて帰るとき、両側に山が黒く立ち、足の下を水が流れているとき、わたしはいつも自分がどこにいるか分かっています。 bridge en 帯の順位 1,546 番 カタカナとの差 ブリッジ → ● (4 拍を 1 音節に) The park is by the river, on the other side of the bridge. 公園は川のそば、橋の向こう側にあります。 But when I walk home / over the bridge / at night, / with the mountains black on both sides / and the water under me, / I always know / where I am. でもわたしが歩いて帰るとき / 橋を越えて / 夜に / 両側に山が黒いまま / そして足の下に水があるまま / わたしはいつも分かっている / 自分がどこにいるか 右の列は、カタカナで言うときの拍の数と、英語の音節の数の差です。黒丸が強く言う音節、白丸が弱く言う音節を表します。日本語では三つから五つに割れる音が、英語では二つ、あるいは一つにまとまります。読むだけならこの差は問題になりませんが、音読のときは効きます。音読の節でもう一度戻ってきます。 読む前に 語り手はケン、二十歳。小さな市で母・父と三人で住み、通りの本屋で働いています( 8.1 読編 ・ 8.2 読編 の続きです)。父は隣の市の会社へ電車で通い、母は町の学校の先生です。この篇では、その三人が住んでいる町そのものを見ます。 町は山にはさまれています。両側からすぐそこまで山が迫っているので、町は横に広がれず、川に沿って細長く伸びています。川が一本、駅が一つ、そのあいだを一本の通りが通っている——これが町の全部です。日本の地方の小さな市を思い浮かべてください。読み手が知っている風景を選んであるので、内容ではなく語と形に気を向けられます。 ここでも何も起こりません。朝、生徒たちが駅に集まる。通りの店の半分は閉まっている。公園では子どもが遊び、年をとった男たちが黙って座っている。駅の近くに新しい建物が建ちつつあって、これで若い人が戻ってくると言う人がいるが、父はそれを信じていない。それだけです。 最後の段落でケンは「自分も出ていくかもしれない」と言います。そのうえで、夜に橋を渡って帰るとき、両側に黒い山があり、足の下を水が流れていると、 いつも自分がどこにいるか分かる と言って終わります。町を出るかどうかとは別に、この地図はもう体の中に入っている——そういう終わり方です。読み取るのはここだけで十分です。 この篇の読みどころは 場所を表す語 です。前置詞が 11 種類、のべ 21 回出てきます。日本語は場所を言うときに「〜の上に」「〜のそばに」と名詞を借りますが、英語は前置詞 1 語で決めます。とくに on は 1 篇で 6 回出て、この篇でいちばん多い前置詞です。読みながら、前置詞が出るたびに頭の中の地図に印を打っていってください。なお、この篇には過去形が 1 つも出てきません。使われている型は型編の 8 課の範囲だけです。 原文 原文は別の文書にあります(作品ページの「原文」)。6 段落・230 語。冒頭はこう始まります。 My town is a small city. There is one river, one station, and one long street between them. 先に原文だけを、辞書も訳も見ずに最後まで読んでください。分からないところがあっても止まらず、最後まで行ってから戻ります。それが済んでから、下の「語釈」「構文の骨」「訳」を見ます。この順を守ってください。訳を先に見ると、訳を読んで英語を読まない癖がつきます。 語釈 この篇に範囲外の語は 0 語です。下の 14 語は 知っているのに文の中で意味が動く語 で、どれも帯 600 の中にあります。「この文ではこの意味」という形で確かめてください。 stand en 動詞 立っている・そびえている。 the mountains stand close で「山がすぐそこまで迫っている」 In the morning the students stand together on the same side, and my father waits at the far end with the other men who work in the next city. 朝、生徒たちは同じ側にかたまって立ち、父は隣の市で働くほかの男たちと一緒に、遠いほうの端で待っています。 Don't stand in my way. [2] 私の邪魔をするな。 close en 形容詞・副詞 近い。 stand close の close は「近く」で、同じ綴りの動詞(閉じる)とは別の語。この篇には are closed (閉まっている)も出る Half of the doors are closed. 戸の半分は閉まっています。 Don't get close to me. [3] 俺に近寄るな。 side en 名詞 側。 on both sides (両側に)・ on the same side (同じ側に) The mountains stand close on both sides, so the town can only grow along the river. 両側に山がすぐそこまで迫っているので、町は川に沿ってしか広がれません。 But when I walk home over the bridge at night, with the mountains black on both sides and the water under me, I always know where I am. でも夜、橋を渡って歩いて帰るとき、両側に山が黒く立ち、足の下を水が流れているとき、わたしはいつも自分がどこにいるか分かっています。 far en 形容詞 遠いほうの。 at the far end で「遠いほうの端で」 In the morning the students stand together on the same side, and my father waits at the far end with the other men who work in the next city. 朝、生徒たちは同じ側にかたまって立ち、父は隣の市で働くほかの男たちと一緒に、遠いほうの端で待っています。 end en 名詞 端。 both ends of the town で「町の両端」。「終わり」だけの語ではない It is not big, but from there you can see both ends of the town. 大きくはありませんが、そこからは町の両端が見えます。 There's no end in sight. [4] 収まる気配が一切ない。 run en 動詞 (道が)通じている。 the street runs from the station to the river は「通りが駅から川まで走っている」ではなく「通じている」 The street runs from the station to the river. その通りは駅から川まで通じています。 half en 名詞 半分。 half of the doors で「戸の半分」 Half of the doors are closed. 戸の半分は閉まっています。 that en 関係代名詞 〜する(もの)。 a market that opens on Sunday で「日曜に開く市場」。同じ篇の people say that の that (〜ということ)とは働きが違う There is also a food shop, a market that opens on Sunday, and the school where my mother works. ほかに、食べ物の店と、日曜に開く市場と、母が働く学校があります。 A new building is going up near the station, and people say that it will bring the young back. 駅の近くで新しい建物が建ちつつあって、これが若い人を呼び戻すと言われています。 where en 関係副詞 〜する(場所)。 the school where my mother works で「母が働く学校」 There is also a food shop, a market that opens on Sunday, and the school where my mother works. ほかに、食べ物の店と、日曜に開く市場と、母が働く学校があります。 But when I walk ho