10.21 仕事のメール — 四つの型 — Epoché
この課でできるようになること ★ 四つの型 を見分けて書ける。 ★ 依頼に、期限とその理由を付けられる 。 ★ 悪い知らせを、原因・結果・できることの順で書ける 。 ★ 受けるときに、条件を数えて書ける 。 前提 : 10.20 まで。論は 9.24 まで。読は 8.192 まで。型は 3.56 まで。 手本 ★ 手本は、 8.189 読編 の往復書簡 です。★ 八通で、 見積もり・発注・遅れ・改定 まで行きます。 ★ そこから、 四つの型の要になる文 を抜きます。 一 — 依頼 Could you send us a quotation for one unit, delivered to our plant in Sakae, with installation? [1] ★ 一文の中に、 三つ 入っています ——★ 何を(見積もり一台分)、どこへ(栄の工場へ納入)、何を含めて(据えつけ込み)。 ★ そして、 期限には理由が付いて います。 Our budget year ends in March, so we need to place the order before the end of February [1] ★ 「予算年度が三月に終わるので、二月の終わりまでに発注する必要がある」。 ★ 期限だけ書くと、 こちらの都合 に見えます。 ★ 理由を付けると、 動かせない事情 に見えます。 二 — 答え Please find the figures below [1] ★ 「下に数字をお示しします」。 ★ この一行のあとに、 三行の値段 が並びます。 ★ 答えのメールでいちばん大事なのは、 問われていないことまで答えておく ところ です。★ この返信は、 納期・保証・支払い条件 まで書いています ——★ どれも、問われていません。 ★ それでも、 確かめ直しは起きます 。 Can you confirm that the ten weeks is counted from the order date and not from the date of payment? [1] ★ 「十週というのは、支払いの日ではなく発注の日から数えるのだと確かめてもらえますか」。 ★ A and not B の形 です。★ 二つ並べて問うと、 片方だけの答えでは済みません 。 ★ 3.50 型編 の条件の型がここで効きます。 三 — 悪い知らせ ★ 八通のうち、 いちばん書きにくい一通 です。 ★ 書き出しを見てください。 I am writing about order 2026-0412 [1] ★ 「注文 2026-0412 の件で書いています」。 ★ 前置きも、詫びも、まだありません ——★ 件名だけ です。 ★ 次が原因、その次が結果 です。 Our supplier of the heating element has told us this morning that their own factory has stopped for repairs [1] As a result, we cannot meet the date of 28 April [1] どの順か 何を書くか ★ 一 ★ 何の件か ★ 二 ★ 何が起きたか(原因) ★ 三 ★ だからどうなるか(結果) ★ 四 ★ いまできること ★ 五 ★ 詫び ★ 詫びを先に書くと、 読む人は事実を探しに下まで読まされます 。 ★ 6.51 話編 で置いた「悪い知らせの順」と同じ です。 四 — 条件つき受諾 ★ 相手の代案を受けるとき、 受けると先に言ってから条件を出します 。 We accept the split delivery [1] ★ 「分割の納入を受け入れます」。 ★ そのあとに、 条件が二つ と数えて書きます。 Please send the revised schedule in writing, with both dates and the name of the engineer for each visit [1] ★ 「改めた日程を書面で送ってください。両方の日付と、それぞれの訪いの技師の名を付けて」。 どう書くか 相手はどうするか ★ 条件を先、受諾を後 ★ 断られたと思って身構える ★ 受諾を先、条件を後 ★ 条件を作業として受け取る 型 ★ 四つの型を、 骨だけ にしておきます。 依頼の骨 どの行か 何を書くか ★ 一行め ★ 何がほしいか ★ 二行め ★ 条件(どこへ・何を含めて) ★ 三行め ★ 期限と、その理由 ★ 三行で足ります。 ★ 四行めを書きたくなったら、 それは依頼ではなく説明 です ——★ 別の段落に移してください。 答えの骨 どの行か 何を書くか ★ 一行め ★ 問いに、そのまま答える ★ 中ほど ★ 数や日付を、箇条で並べる ★ 終わり ★ 問われていないが要ること ★ To answer your questions in order —— 順にお答えします 。 ★ 問いが二つ以上あるときは、 この一行を置いてから番号で答える と、抜けません。 悪い知らせの骨 どの行か 何を書くか ★ 一 ★ 件名を繰り返す ★ 二 ★ 原因(いつ、何が) ★ 三 ★ 結果(だから何が守れないか) ★ 四 ★ いまできること ★ 五 ★ 詫びと、次の連絡の約束 ★ もう一つ、 手本がやっていてたいていの人がやらないこと があります。 which is a weakness in our own planning and one we are now working on [1] ★ 「それは我々自身の計画の弱みであり、いま手を入れているところです」。 ★ 外の事情のせいにせず、 自分の側の弱みだと書いた ——★ 9.23 論編 の「有利な点を自分で認める」の裏返し です。 条件つき受諾の骨 どの行か 何を書くか ★ 一 ★ 受けると書く ★ 二 ★ 条件の数を言う ★ 三 ★ 条件を一つずつ ★ 条件の数を先に言うのが要点 です。★ Two conditions と書けば、★ 相手は二つ探します 。★ 書かなければ、 一つめで読むのをやめます 。 課題 ★ 四通書きます。 ★ 一通ずつ、 語数の目安 を付けました。 ★ 依頼のメールを一通 。 八十〜百二十語 。★ 何を・条件・期限と理由 の三つを入れる。★ 件名も書く。 ★ 答えのメールを一通 。 百〜百五十語 。★ 問いに答え、 問われていないが要ること を一つ足す。 ★ 悪い知らせを一通 。 百二十〜百八十語 。★ 五つの順 を守る。★ 自分の側の弱みを 一行 書く。 ★ 条件つき受諾を一通 。 八十〜百二十語 。★ 受諾を先、条件の数を言ってから、条件を一つずつ。 ★ 四通とも、 同じ一件 について書いてください。 ★ 手本と同じく、 一本の往復 になるように ——★ そうすると、 前の一通が次の一通を縛る と分かります。 動画で見る この課の内容に近い解説動画です。押すと再生されます(再生は YouTube に接続します)。「画面に固定して見る」を押すと、本文を読みながら見られます。 Writing business e-mails in English British Council Ukraine (2:37, 2014) 仕事のメール。ブリティッシュ・カウンシル(ウクライナ) 練習 「手本」に引いた四つの型の文(依頼/答え/悪い知らせ/受諾)を 続けて音読 する。3 周する。3 周目は音声に重ねて シャドーイング する。 ★ Could you send us a quotation for one unit を そらで言えるまで 音読する。 ★ Could you は 上がりません ——★ 3.49 型編 の頼みの型と同じ読み方です。 ★ 自分の書いた四通を、 声に出して読む 。 ★ 息が続かない文があれば、 そこで二文に割る 。 ★ メールの一文は、 一息で読める長さ までです。 AI への頼み方 ★ メールは、 AI に書かせやすい文書 です。 ★ だからこそ、 頼み方を間違えるとすぐ分かります ——★ 読む人は、 同じ文面を何度も見ている から です。 何を頼むか 頼み方の型 ★順を検めさせる 「この悪い知らせのメールを、 件名・原因・結果・できること・詫び の順に並べ替えてください。★ 語は足さないで ください」 ★抜けを指させる 「この依頼に、 期限とその理由 が書かれていますか。無ければ、どこに入れるか示してください」 ★長すぎる文を割らせる 「この文面のうち、 一息で読めない文 を挙げ、二文に割ってください」 ★ 一つめの「語は足さないで」が要点 です。★ 並べ替えだけを頼むと、 自分の書いた語のまま 順が直ります ——★ 書き直させると、 丁寧すぎる文面 が返ってきます。 ★ そして、 詫びの文だけは自分で書いてください 。 ★ 手本の詫びが効くのは、 何が足りなかったかを名指ししている から です。 自己点検表 点検すること 合格の目安 語数(四通の合計) ★ 三百八十〜五百七十語 ★件名 四通とも、中身が分かる ★依頼の期限の理由 ある ★答えの、問われていない一つ ある ★悪い知らせの順 五つとも、この順 ★自分の側の弱み 一行ある ★受諾が条件より先 そうなっている ★条件の数を言ったか 言った ★一息で読めない文 無い この課のまとめ ★ 仕事のメールは四つの型 ——依頼・答え・悪い知らせ・条件つき受諾。 ★ 依頼は三行 ——何がほしいか・条件・期限と理由。四行めは説明なので別の段落へ。 ★ 期限には理由を付ける 。理由の無い期限は、こちらの都合に見える。 ★ 答えには、問われていないが要ることを一つ足す 。手本は納期・保証・支払い条件まで書いた。 ★ A and not B の形で問う 。二つ並べると、片方だけの答えでは済まない。 ★ 悪い知らせは五つの順 ——件名・原因・結果・できること・詫び。詫びは最後。 ★ 自分の側の弱みを一行書く 。外の事情のせいにしない(手本の「単一の供給元」)。 ★ 受諾を先、条件を後 。順が逆だと、断られたと思われる。 ★ 条件は数を言ってから並べる 。数を言わないと、一つめで読むのをやめられる。 ★ 一文は、一息で読める長さまで 。声に出して確かめる。 次の課へ 次の課は 10.22 、 報告書を書く です。★ この課では 一通ずつ 書きました。 ★ 次の課は、 節に分かれた長い文書 です ——★ 9.23 論編 で置いた 要旨・本体・但し書き を、こんどは自分で組みます。 答え 「課題」の四通についての答えです。 ★ 依頼を三行で書こうとすると、 二行めがふくらむ はずです。 ★ 条件を書くうちに、 説明が混じる から です。★ 手本は、 条件を前置詞句で足して います ——★ delivered to our plant in Sakae, with installation 。★ 節にせず句にすると、 一文に三つ入ります ( 3.55 型編 )。 ★ 「問われていない一つ」を足すとき、 何を足すか迷う はずです。 ★ 目安は、 相手が次に問うこと です。 ★ 見積もりを送れば、 次は納期を問われます ——★ だから、先に書いておく。 ★ 往復が一回減ると、 二日縮みます 。 ★ 悪い知らせを五つの順で書くと、 冷たく見える と感じるはずです。 ★ それでよいのです。 ★ 受け取る側が知りたいのは、 気持ちではなく新しい日付 だから です。★ 手本の最後の一通が、それを言っています ——★ 「五月に聞くより四月に聞くほうがよい」。 ★ 条件つき受諾は、 いちばん短く書けます 。 ★ けれども、 いちばん効きます ——★ 手本の二つの条件(書面の日程と、保証の起算日)は、 そのあと議事録にも契約にも出てきます ( 8.190 読編 ・ 8.192 読編 )。 ★ メールで一行足したことが、 二年分の保証を決めました 。 参考文献 原文の出所: Epoché, "社外メール 12 通の束"。Epoché の作。CC BY 4.0。https://epoche.app/