10.26 方法と結果を書く — 再現と、混ぜないこと — Epoché
この課でできるようになること ★ 手順を、もう一度できる順に書ける 。 ★ 条件を書き落とさない 。 ★ 結果から解釈をはがせる 。 ★ 時制の切り替えができる 。 前提 : 10.25 まで。論は 9.24 まで。型は 3.64 まで。語は 4.88 まで。読は 8.192 まで。 ★ 断っておきます。 ★ 方法と結果を 読み分ける 話は、 9.18 論編 で置きました。 ★ この課で足すのは、 書く側の三つ だけ です——★ どの順に書くか、何が落ちるか、 混ざった一文をどう割るか 。 手本 ★ 手本は、フランクリンの十三の徳 です。 ★ 8.107 読編 が 方法 、 8.108 読編 が 結果 ——★ 二つの篇に、きれいに分かれています 。 ★ 身を正すという、 いちばん測りにくいこと を測った記録 です。 ★ だからこそ、 手順の書き方が見やすい です。 一 — 方法だと、宣言してから入る ★ フランクリンは、 節の切れ目を一文で作ります 。 For this purpose I therefore contrived the following method [2] ★ 「この目的のために、私は次の方法を工夫した」。 ★ この一文のあとは、 全部が手順 です。 ★ 短いことのようですが、 これが無い文章は読みにくい です。 ★ 読む人は、 いまどの部屋に居るか を知りたがっています。 二 — 材料・手順・条件の順に置く ★ そのあとに来るのが、 道具の作り方 です。 I made a little book, in which I allotted a page for each of the virtues [2] ★ 「小さな帳面を作り、徳ひとつに一ページを割り当てた」。 ★ これが 材料 です。 I rul'd each page with red ink, so as to have seven columns, one for each day of the week [2] ★ 「各ページに赤いインクで線を引き、七つの列を作った。一週の一日ずつに一列」。 ★ ここまでで、 だれでも同じ帳面が作れます 。 I might mark, by a little black spot, every fault I found upon examination to have been committed [2] ★ 「点検して犯したと分かった過ちを、小さな黒い点で記す」。 ★ これが 手順 です。 I determined to give a week's strict attention to each of the virtues successively [2] ★ 「徳ひとつずつに、順に一週きびしく注意を向けることに決めた」。 ★ これが 条件 です ——★ どれだけの間、何に絞るか 。 何を書くか 書き落としたら何が起きるか ★ 材料 ★ 同じ道具が作れない ★ 手順 ★ 何をしたのか分からない ★ 条件 ★ やってみても数が合わない ★ 落ちるのは、ほとんど 三つめ です。 ★ 自分でやっているときは、 どれだけ待ったかを数えていません 。 ★ だから、 書くときではなく、やっているときに書き留める しかありません。 三 — 「やった順」ではなく「もう一度やる順」 ★ ここが、この課でいちばん言いたいところ です。 ★ フランクリンが実際にやった順は、 徳を数え、順に並べ、そのあとで帳面を作る でした。 どちらの順か 読む人はどうなるか ★ 思いついた順 ★ なぜそうしたかは分かる ★ もう一度やる順 ★ 手を動かせる ★ 方法の節で要るのは、 下のほう です。 ★ 「なぜそうしたか」は、 要るなら一言だけ 添えます ——★ 長く書くと、 方法の節が議論の節になります 。 四 — 結果に、気持ちが混ざる ★ 8.108 読編 の結果の一文を見てください。 I was surpris'd to find myself so much fuller of faults than I had imagined [3] ★ 「思っていたよりずっと自分が過ちに満ちていると分かって、驚いた」。 but I had the satisfaction of seeing them diminish [3] ★ 「しかし、それが減っていくのを見る満足はあった」。 ★ この二つには、 結果と、書き手の気持ちが同じ文に入っています 。 ★ 割ると、こうなります。 どちらの中身か どこに置くか ★ 点の数が思ったより多かった ★ 結果 ★ 点の数は週ごとに減った ★ 結果 ★ 驚いた・満足した ★ 議論、または書かない ★ 自伝なら、 混ざっていてよい です ——★ 読ませるための文章 だから。 ★ けれども報告なら、 割ります 。 ★ 割る理由は、 自分を守るため です ——★ 解釈が崩れても、 数のほうは残って別の人が使えます ( 9.18 論編 )。 五 — 思ったとおりにならなかったことも、結果 My scheme of Order gave me the most trouble [3] ★ 「私の整頓の計画が、いちばん手を焼かせた」。 ★ 十三のうち一つだけ、 できなかった と書いています。 I found extreamly difficult to acquire [3] ★ 「身につけるのがきわめて難しいと分かった」。 ★ そして、 なぜ難しかったか まで書きます ——★ 仕事の性質と、 もともとの習いのなさ 。 ★ これが、 否定の結果の書き方 です。 ★ 「できなかった」だけでは読む人の役に立ちません が、★ 「この条件ではできなかった」なら、 同じ道をもう一度歩かずに済みます 。 型 ★ 二つの部屋を、 中身と時制 で分けます。 どの部屋か 何を書くか どの時制か 方法 ★ 材料・手順・条件 ★ 過去 結果 ★ 出てきた数と向き ★ 過去 ★ 表と図への言及 ★ どこを見るか ★ 現在 ★ 三行めが、 間違えやすいところ です。 ★ 調べたのは去年でも、 表はいまこの紙の上にあります ——★ だから現在 です( 3.41 型編 ・ 10.19 作編 )。 方法のひな型 — 四行 ★ ひな型を置きます。 ★ 前の課と同じ、 手で行う検査 の調べ です——★ 数はすべて仮 です。 We asked eight checkers to work for two hours. [1] Each checker marked every fault on one sheet. [1] We counted the marks at the end of each hour. [1] The room was kept at twenty degrees, and the line ran at the normal speed. [1] ★ 四行めだけが、 条件 です。 ★ 三行で終わらせたくなるところを、 一行こらえて足します 。 ★ この一行が無いと、 別の工場で数が合わなかったときに理由が分かりません 。 結果のひな型 — 三行 The number of missed faults rose in the second hour. [1] Table one shows the count for each of the eight checkers. [1] Two of the eight missed nothing in either hour. [1] どの行か 何をしているか ★ 一行め ★ 向きを言う ★ 二行め ★ どこを見るかを渡す ★ 三行め ★ 当てはまらない例を出す ★ 三行めを書けるかどうかが、 分かれ目 です。 ★ 八人のうち二人は どちらの時間も外さなかった ——★ これは自分の話に都合が悪い数 です。 ★ それでも書きます ——★ 書かないと、 表を見た人が自分で見つけます 。 ★ そして、 一行めに「だから」を足さない でください。 ★ 「増えた。 だから疲れである 」の後半は、 次の課の仕事 です。 部屋ごとの、言い回し どこで使うか どう書くか ★ 材料 The sheets came from … [1] ★ 手順 We then counted … [1] ★ 条件 The room was kept at … [1] ★ 結果の向き The number rose from … to … [1] ★ 表への言及 Table one shows … [1] 課題 ★ 前の課で序論を書いたもの を、★ そのまま続けます。 ★ 調べていないことは書けない ので、★ 実際にやったこと を一つ選んでください——★ 仕事で数えたこと、自分で試したこと、 本二冊を並べて数えたこと でよい です。 ★ 方法を、もう一度やる順に書く 。★ 材料・手順・条件 。★ 百二十〜百八十語 。 ★ 条件を、三つ書き出す 。★ いつ・どれだけ・何を外したか 。★ 書けない条件があれば、 記録していなかった と書く。 ★ 結果を書く 。★ 「だから」を一度も使わない 。★ 百〜百五十語 。 ★ 当てはまらない例を、一つ入れる 。★ 無ければ、 無いと書く 。 ★ 結果の節を読み返して、 解釈の入った文に印を付ける 。 ★ 印の付いた文を二つに割り、 後半を別の紙に移す ——★ それが次の課の材料 になる。 練習 「手本」に引いた四文(宣言/材料/手順/条件)を 続けて音読 する。3 周する。3 周目は音声に重ねて シャドーイング する。 ★ 方法のひな型の四行を、 手を動かしながら 音読する。 ★ 紙に線を引く、印を付ける、 時計を見る ——★ 動かせない行があれば、 手順が足りません 。 ★ 自分の書いた結果の節を、 声に出して読む 。 ★ 読みながら「だから」に当たる語で 手を挙げる ——★ 挙がったら、 そこが割る場所 です。 AI への頼み方 ★ この課でいちばん効くのは、 再現できるかを試させること です。 ★ 自分では、 書いていない手順まで頭の中で補ってしまいます 。 何を頼むか 頼み方の型 ★手順どおりにやらせる 「この方法の節を読んで、 書いてあることだけ で同じことをやろうとしてください。★ 手が止まる箇所 を、止まる順に挙げてください。 推測で補わないでください 」 ★解釈の混ざった文を指させる 「この結果の節から、 解釈・評価・気持ち が入っている文を挙げてください。★ 直さずに、どこがそれか だけ示してください」 ★時制だけを検めさせる 「 時制だけ を見てください。方法と結果は過去、 表と図への言及は現在 になっていますか。★ ずれている箇所を挙げ、本文は書き換えないでください 」 ★ 一つめの 「推測で補わないでください」 が要点です。 ★ 断らないと、 足りない手順を気を利かせて埋めてくれます ——★ それでは穴が見つかりません 。 ★ 二つめの 「直さずに」 も同じ理屈 です。 ★ 直してもらうと、 自分がどこで混ぜる癖があるか が分からないまま になります。 自己点検表 点検すること 合格の目安 ★方法だと宣言する一文 ある ★材料 同じものを用意できる ★手順の順 ★ もう一度やる順になっている ★条件 ★ 三つ書いた ★記録していない条件 無いと書いた ★結果の「だから」 一つも無い ★当てはまらない例 一つある/無いと書いた ★方法と結果の時制 どちらも過去 ★表と図への言及 現在 方法の語数 ★ 百二十〜百八十語 結果の語数 ★ 百〜百五十語 この課のまとめ ★ 方法の合格点は一つだけ ——読んだ人が、同じことをもう一度できるか( 9.18 論編 )。 ★ 方法だと宣言する一文を置く 。読む人は、いまどの部屋に居るかを知りたがっている。 ★ 材料・手順・条件の順 。落ちるのはほとんど条件で、しかも書くときには思い出せない。 ★ 手順は「やった順」ではなく「もう一度やる順」 。思いついた順に書くと、読む人は手を動かせない。 ★ 結果に「だから」を書かない 。解釈が崩れても数は残り、別の人が使える。 ★ 気持ちは結果ではない ——手本でも混ざっているが、自伝だから混ざってよい。 ★ 思ったとおりにならなかったことも結果 。「この条件ではできなかった」は、次の人の手間を省く。 ★ 当てはまらない例は、自分で書く 。書かなければ、表を見た人が自分で見つける。 ★ 方法は過去・結果は過去・表と図への言及は現在 ( 3.41 型編 )。 ★ 調べたのは去年でも、表はいまこの紙の上にある ——だから現在( 10.19 作編 )。 次の課へ 次の課は 10.27 、 議論と結論 です。★ この課で 結果から切り離した「だから」 を、別の紙に移しました。 ★ 次の課は、 その紙を書く課 です ——★ 解釈・限界・含意の順に。 ★ そして、 言い過ぎない書き方 を置きます。 答え 「課題」の五つについての答えです。 ★ もう一度やる順に書き直すと、 短くなる はずです。 ★ 「なぜそうしたか」を外すからです ——★ 外した分は捨てないで、 議論の節の材料 に回してください。 ★ 条件が三つ書けないときは、 記録していなかった のがふつう です。 ★ そう書いてください ——★ 「記録していない」と書いた方法は、 もう一度やる人がそこを測ってくれます 。 ★ 黙って落とすと、 数が合わない理由が永久に分かりません 。 ★ 「だから」を一度も使わずに書くと、 結果の節が短くなって心細くなります 。 ★ それでよい です——★ 結果の節は、 論文の中でいちばん短くてよい部分 です。 ★ 長い結果の節は、 たいてい議論が混ざっています 。 ★ 当てはまらない例が 見つからない ときは、★ 数を細かく見ていない ことがあります。 ★ 平均だけを見ていると、 全員が同じ向きに動いたように見えます ——★ 一人ずつ並べると、 たいてい逆向きの人が居ます 。 ★ 印を付けてみると、 思ったより多い はずです。 ★ 「〜と思われる」「〜のためだろう」「残念ながら」 ——★ どれも解釈 です。 ★ 移した紙が厚いほど、 次の課が