14.97 失楽園 — 韻を踏まない詩と、ひっくり返す語順 — Epoché
この篇でできるようになること ★ 無韻詩 ——韻を踏まない詩の読み方が分かる。 ★ 行をまたいで文が続く ことに慣れる。 ★ 語順をひっくり返す 書き方が読める。 ★ 長い語と短い語の混ぜ方 が見える。 前提 : 特別編に門はありません。第 5 期まで済んでいれば、どこからでも読めます(目安は 3.40 まで/4.60 まで)。 読む前に ★ 特別編は 順番に読む必要がありません 。 ★ 1 篇が 1 作品 で、★ どの篇から始めてもかまいません。 ★ 12.17 知編 で、 欽定訳とシェイクスピアは出典を書かずに引かれる と置きました。 ★ ミルトンは その二つのすぐ次に来る 書き手です——★ 材料は聖書、 語り方は劇 。 どちらのことか 確かめること ★ 材料のこと ★ 聖書をどう借りるか( 12.17 知編 ) ★ 語のこと ★ 短い骨の語と、長い肉の語( 12.1 知編 ) ★ いちばん大事な断り です。 ★ この詩は 韻を踏みません ——★ 英語の詩といえば韻、と思っている人ほど 戸惑います 。 ★ 代わりにあるのは 行の長さ です——★ 一行が 五つの拍 で、★ その拍が 弱・強 の順に並び ます。 ★ これを 無韻詩 と呼び ます。 原文 原文は別の文書にあります(作品ページの「原文」)。★ 韻文なので、 一行が一つの段落 として置いてあり ます——★ 187 行 です。 本文は 1445 語、一行の平均は 7.7 語です。 ★ 注の印( {0a} の形)は落としてあります ——★ 紙面の装置であって本文ではない からです。 ★ 語は 一つも変えていません 。 全訳 原文の全訳です。この課程のために、原文に沿って訳しました。番号は原文の段落の番号で、原文と行き来できます。 もしおまえがあの者なら――だが、ああ、なんと堕ちたことか、なんと変わったことか 光の満ちる幸いの国で 並はずれた輝きをまとい、 輝く無数の者たちにさえまさっていたあの者から。――もしおまえが、互いの盟約と 一つにした思いと計らい、等しい望みと 輝かしい企ての危うさとによって かつて私と結ばれ、いまは惨めさによって 等しい破滅のうちに結ばれた者なら。おまえの見るとおりだ、どんな穴へ どんな高みから堕ちたことか。それほどに強いと分かったのだ、 あの者は、その雷によって。それまで誰が知っていただろう、 あの恐るべき武器の力を。だが、それらのためにも、 力ある勝者が怒りのうちに ほかに加えうるもののためにも、私は悔いはしないし、変えもしない―― 外の輝きは変わっても――あの揺るがぬ心を、 そして、正当な値打ちを傷つけられたという思いから来る気高い蔑みを。 それこそが私を奮い立たせ、最も強き者と争わせ、 その激しい争いへと 武装した数えきれぬ霊たちの軍勢を連れて来させたのだ。 彼らはあえてあの者の支配を嫌い、私を選んで、 あの者の最大の力に、敵対する力で立ち向かった、 天の野での勝敗の定まらぬ戦いで。 そして、あの者の玉座を揺るがした。戦場を失ったからといって、何だというのか。 すべてが失われたのではない――屈することのない意志、 復讐への専念、不滅の憎しみ、 そして、決して服さず、譲らぬ勇気がある。 ほかに、打ち負かされぬものとは何であろう。 その栄誉を、あの者の怒りも力も、決して 私からもぎ取りはしない。身をかがめ、恵みを乞い、 嘆願の膝をつき、あの者の力を神とあがめるなど―― この腕の恐ろしさに、ついさきごろ 自らの帝国を危ぶんだ者の力をだ――それこそまことに卑しいこと、 それこそ、この転落にも劣る 不名誉であり恥である。なぜなら、定めによって、神々の力と この天上の実質は、尽きることがないのだから。 なぜなら、この大いなる出来事の経験を経て、 武器では劣らず、先を見る力ではずっと進んだ 我らは、いっそう望みを持って決意できるのだから、 力によってか策略によってか、永遠の戦いを挑むことを。 我らの大敵とは決して和解せずに。 あの者はいま勝ち誇り、喜びのあまり、 ただひとり君臨して、天の圧制を握っているのだ。」 こう語った、背いた天使は。苦しみのうちにありながら 声高に誇り、だが深い絶望にさいなまれて。 すると、その大胆な仲間がすぐにこう答えた。―― 「おお、君主よ、玉座を持つ多くの力天使たちの長よ、 戦列を組んだセラフィムを、あなたの指揮のもとに 戦いへと導き、恐るべき行いにおいて 恐れを知らず、天の永遠の王を危うくし、 その高い至上の地位を試した方よ―― それが力によって保たれたのか、偶然か、定めによってか―― あまりにもよく見え、悔やまれるのです、あの恐ろしい結末が。 それが、悲しい転覆と無残な敗北によって 我らから天を失わせ、この強大な軍勢すべてを 恐ろしい破滅のうちにこうして低く横たえたのです、 神々と天上の存在が 滅びうるかぎりにおいて。というのも、心と霊は 屈せずに残り、活力はやがて戻るからです―― 我らの栄光はすべて消え、幸いの境遇は ここで果てしない惨めさに呑み込まれたとしても。 だが、もしあの者、我らの征服者が(今では私も やむをえず全能だと信じます。それに劣る者では 我らほどの力を打ち負かせなかったはずですから) 我らのこの霊と力をそのまま残したのだとしたら、 我らの苦しみを強く耐え、しのぐためであり、 そうして、あの者の復讐の怒りを満たすため、 あるいは、戦の権利によって奴隷として、 あの者の用が何であれ、さらに大きな務めを果たすため―― ここ地獄の中心で、火の中で働くため、 あるいは暗い深淵で使い走りをするため――だとしたら? そのとき、何の役に立つでしょう、まだ感じているとしても、 衰えぬ力や、永遠の存在を―― 永遠の罰を受けるために。」 これに、すぐさま大魔王は答えた。―― 「堕ちたケルブよ、弱いことは惨めだ、 行うにせよ耐えるにせよ。だが、これは確かだと思え―― 何であれ善を行うことは、決して我らの務めではない。 つねに悪を行うことこそ、我らのただ一つの喜びだ。 それが、あの者の高い意志に逆らうものだからだ、 我らが刃向かうあの者の。だから、もしあの者の摂理が 我らの悪から善を生み出そうとするなら、 我らの骨折りは、その目的をゆがめること、 そして善からも、なお悪の手立てを見つけることでなければならない。 それはしばしば成功して、おそらくは あの者を嘆かせ、私がしくじらなければ、 あの者の奥深い計らいを、定めた狙いからそらすだろう。 だが見よ。怒れる勝者は呼び戻した、 復讐と追撃の手先どもを 天の門へと。硫黄の雹は、 嵐となって我らの後から撃ち込まれたが、吹き過ぎて、鎮めた、 天の絶壁から落ちる我らを 受け止めた炎の大波を。そして雷は、 赤い稲妻と荒れ狂う怒りの翼を得ていたが、 おそらく矢を射尽くし、いまは 広大で果てしない深淵にとどろくのをやめている。 この機を逃すまい、それが侮りからであれ、 飽いた怒りからであれ、我らの敵が与えたものであろうと。 見えるか、あの荒涼とした平原が。寂しく荒れ果て、 荒廃の座であり、光もない。 ただ、この青ざめた炎のちらつきが 投げかける、青白く恐ろしい光を除いては。あそこへ向かおう、 この燃える波の揺れから離れて。 そこで休もう、もし休息があそこに宿りうるなら。 そして、打ちひしがれた我らの軍勢を集め直し、 話し合おう、これからいかにして最も手ひどく 我らの敵を害しうるか、我らの損失をいかに償うか、 この恐ろしい災いをいかに乗り越えるか、 望みからどんな援軍を得られるか、 それがかなわぬなら、絶望からどんな決意を得られるかを。」 こうしてサタンは、いちばん近くの仲間に語った、 頭を波の上にもたげ、目は きらめいて燃えていた。体のほかの部分は 火の流れの上にうつぶせに、長く大きく伸び、 何ロッドにもわたって浮かんでいた。その巨大さは、 伝説が途方もない大きさの者と呼ぶ者たち、 ジュピターと戦ったティタン族や大地の子ら、 ブリアレオスやテュポン――古のタルソスのそばの 洞窟に住んだ者――に匹敵し、あるいはあの海の獣、 レビヤタンにも匹敵した。神がそのすべての造りものの中で 大洋の流れを泳ぐもののうち最も巨大に造った獣である。 それがたまたまノルウェーの海の泡の上でまどろんでいると、 夜に難儀した小舟の舵取りが、 どこかの島だと思い込んで、船乗りたちの語るとおり、しばしば そのうろこの皮に錨を打ち込み、 その風下の脇に舟をつなぐ。そのあいだ夜は 海を包み、待ち望まれた朝はなかなか来ない。 そのように、大魔王は長々と巨大な身を伸ばして横たわっていた、 燃える湖に縛りつけられて。そこから決して 起き上がりも、頭をもたげもしなかっただろう、もし すべてを統べる天の意志と高い許しが 彼を自らの暗い企てのままに放っておかなかったなら。 それは、重ねた罪によって彼が 自らの上に永劫の罰を積み上げるためであり、彼が 他の者たちに悪を求めながら、怒り狂って見るためであった、 自分の悪意のすべてが、ただ生み出すのに役立っただけであることを―― 無限の善と恵みと慈悲が示されることを、 彼にそそのかされた人間の上には。だが彼自身の上には 三倍の混乱と怒りと復讐が注がれることを。 ただちに彼は、その池から真っすぐに 巨大な身の丈を起こす。左右の炎は 押し返されて、その尖った穂先を傾け、渦を巻き 大波となって、真ん中に恐ろしい谷を残す。 それから翼を広げて、彼は飛ぶ向きを定め、 高く舞い上がり、暗い大気にのしかかる。 大気はただならぬ重さを感じた。やがて乾いた地に 彼は降り立つ――もしそれが、つねに燃えている地であったとして、 湖が液体の火で燃えるように、固い火で燃える地であったとすればだが。 そしてその色は、ちょうど地下の風の力が 丘を運び去るときのように見えた―― ペロルスから引きちぎった丘を。あるいは、雷鳴とどろく エトナの砕けた山腹のようであった。その燃えやすい、 燃料を詰めた内臓は、そこで火を宿し、 鉱物の猛威によって昇華して、風に力を貸し、 焦げた底を残す。その底はすっかり 悪臭と煙に包まれている。そのような休み場を見出したのだ、 祝福されない足の裏は。その後に、彼の次の仲間が続いた。 二人とも、ステュクスの流れを逃れたことを誇っていた、 神々として、自らの取り戻した力によって逃れたのであって、 天上の力の許しによってではないと。 「これがその地方か、これがその土か、その風土か」と そのとき、失われた大天使は言った。「これがその座か、 我らが天と引き換えねばならぬのは。――この悲しい暗がりが あの天上の光の代わりか。それならそれでよい。あの者は 今は君主であり、何が正しいかを 定め、命じることができるのだから。あの者から最も遠いのが最もよい。 理性においては等しい者を、力が 等しい者たちの上に至高の者としたあの者からは。さらば、幸いの野よ、 喜びが永遠に住むところよ。ようこそ、恐怖よ。ようこそ、 地獄の世界よ。そして汝、最も深い地獄よ、 新しい主を迎えよ――場所によっても時によっても 変えられることのない心を持ち込む者を。 心はそれ自身の場所であり、それだけで 地獄を天に、天を地獄にすることができる。 どこにいようと何の違いがあろう、もし私がなお同じであり、 あるべき私であるなら。あの者にほとんど劣らない者として―― 雷によってより大きくされただけのあの者に。ここでなら少なくとも 我らは自由であろう。全能の者は、ここを ねたんで造ったのではない。我らをここから追い出しはしないだろう。 ここでなら我らは安んじて治められる。そして私の選ぶところ、 治めることは、たとえ地獄でも、望むに値する。 天で仕えるより、地獄で治めるほうがよい。 だが、それならなぜ、我らの忠実な友、 我らの損失をともにした仲間たち、共に担った者たちを、 忘却の池の上に、こうして呆然と横たわらせたままにして、 呼び寄せて、我らとともに分け合わせないのか、 この不幸な住まいでの彼らの分を。あるいは、もう一度 集め直した武器で、まだ何を 天において取り戻せるか、あるいは地獄でさらに何を失うかを試すために。」 語釈 — 名 ★ 帯の外の語は 215 語 ——★ この課程でいちばん多い篇 です。 ★ 一度に覚えられる量ではないので、 品詞で三つに割って 置きます。 ★ まず 名 が 93 語 ——★ 神話と地理の名 ( Briareos ・ Typhon ・ Etna )と、★ 地獄の景色の語 ( billows ・ stench ・ precipice )が大半です。 ★ 神話の名は 覚えなくてよい ——★ 大きさを言うために並べてある だけです。 語(品詞) 意味 注 Almighty en 名 全能者。神 The old sermon reminded everyone that the Almighty sees all things. その古い説教は、全能の神はすべてを見ていると皆に思い出させました。 Angel en 名 天使 The child believed an angel watched over her every single night. その子どもは、毎晩天使が自分を見守ってくれていると信じていました。 Arch en 名 頭(かしら)。 Arch-Fiend で「魔王」 Archangel en 名 大天使 The old fresco showed an archangel standing guard at the gate. その古いフレスコ画は、門を守る大天使を描いていました。 Briareos en 名 ブリアレオス。百の腕を持つ巨人 Cherub en 名 ケルビム。天使の一つの位 A small stone cherub decorated the fountain in the courtyard. 小さな石の天使の像が、中庭の噴水を飾っていました。 Conqueror en 名 征服した者 The old chronicle named him the conqueror of three kingdoms. その古い記録は、彼を三つの王国を征服した者と呼びました。 Etna en 名 エトナ。シチリアの火山 Fiend en 名 魔。悪し