0.8 書き取りと総復習 — 音を綴りに、綴りを音に — Epoché
この課でできるようになること 音声を聞いて、ラテン語の綴りを書き取れる(復元式では綴りと音が一対一なので、聞けば書ける)。 初めて見る 20 語に、規則だけで強勢を打てる。 音編の規則を全部言え、橋編・形編へ進む準備ができている。 前提 : 0.7 まで。 音編の最後の課です。新しい規則はありません。7 課で通した規則を、 一度に全部使う のがこの課の仕事です。復元式のラテン語は 綴りと音が一対一 ——だから、聞けば書けるし、見れば読めます。それを確かめます。 規則の一覧 — 音編で決めたこと 規則 戻る課 23 字。u/v を書き分け、j は使わない。母音の前の i・u は子音 0.1 母音 5 つに長短。マクロンは学習用の印で、この課程は第 3 期まで本文に付ける。音声は長短を出さない 0.2 二重母音 ae oe au eu は一音節。c=ク、g=グ、v=ウ、t=ト、s=ス(いつでも) 0.3 強勢: 次末が長ければ次末、短ければ前次末。2 音節は頭。音節の長さは母音の長さ+閉じ 0.4 重子音は促音。 qu は一音、 gn = ŋn 、h は弱い、x= ks 0.5 流派は 4 か所で違う(c/g・v・ ae ・ ti )。この課程は復元式、教会式は聞いて分かる 0.6 前接語 -que -ne -ve は前の語と一語、強勢が直前へ。疑問は語順不変。音読は聞く→隠して復唱→見て確かめる 0.7 書き取り — 聞いて綴る 下の表の文を、 本文を伏せて 音声だけ聞き、綴りを書き取ってください。それから本文を見て合わせます。復元式では聞こえた音をそのまま字にすれば綴りになります(ク → c、ウ → u か v、クス → x)。マクロンは音では分からないので、書き取りのあとで語表を見て補います。 原文 日本語訳 見るところ Omnia per ipsum facta sunt: [1] すべては彼によって成った。 ヨハネ 1:3。 facta の c はク Date, et dabitur vobis: [2] 与えよ、そうすれば与えられるだろう。 dabitur (受動・未来) non erit tibi hoc. [3] そんなことがあなたに起こってはならない。 erit ( sum の未来) Et hic cum illo erat. [4] この人もあの人と一緒にいた。 illō 。 ll は促音 Ego ero tecum: [5] 私はあなたと共にいよう。 tēcum = cum tē (あなたと) Ego in eis, et tu in me: [6] 私は彼らの内に、あなたは私の内に。 eīs ・ mē 。動詞が無い(省略) 強勢を打つ — 初めて見る 20 語 次の 20 語はまだ習っていない語も混ざっています。意味は要りません。 規則だけで 強勢の音節を言ってください。マクロンは付けてあります(長短が分かれば規則が使える)。答えは末尾に。 Rōmānus cīvitās imperium lībertās sapientia veritās hūmānus memoria tempestās auctōritās iūstitia fortūna victōria discipulus oculus epistula prōvincia religiō potestās Iuppiter マクロンを補う — 音編の語表から 次の語は音編の語表に出ました。マクロンが外してあります。補ってください(語表を見返してよい。見返すこと自体が復習です)。 lux rex amicus caelum natura femina pax verbum gloria senatus 通しで読む 音編で出た実文のうち、次の 5 つを続けて読んでください。3 段の型で。ここまでで sum の形が sum ・ es ・ est ・ sumus ・ estis ・ sunt ・ erat ・ erit ・ erō と9 種類も出ました。意味を知らないまま形だけ目に馴染んでいるはずです——形編の最初の動詞がこれです。 原文 日本語訳 見るところ Ego sum qui sum. [7] 私はあるという者である。 sum (1 人称単数) Deus meus es tu; [8] あなたは私の神です。 es (2 人称単数) Illa terra est, hic homo est. [9] あれは土、これは人だ。 est (3 人称単数) Vos estis lux mundi. [10] あなたがたは世の光である。 estis (2 人称複数) Tui sunt cæli, et tua est terra: [11] 天はあなたのもの、地もあなたのもの。 sunt (3 人称複数)・ est 新出語 語(品詞) 意味 注 dō la 動詞・第 1 活用( dare , dedī , datum ) 与える 日本語との差 a が短い例外的な第 1 活用。 data (与えられたもの)の元 Do librum amico. [12] 私は友に本を与える。 faciō la 動詞・第 3 活用 -iō ( facere , fēcī , factum ) 作る、する 日本語との差 受動は fīō 。英語 fact ・ factory の元 Barba non facit philosophum. [13] あごひげがあるだけでは哲学者にはなれぬ。 Quis es et quid hic facis? [14] あなたは誰で、ここで何をしているのですか。 ille la 指示代名詞( illa , illud ) あれ、あの人 日本語との差 英語 the ・仏 le の遠い先祖。文中で「彼」にも Ille se gerit, quasi rex sit. [15] 彼はまるで王のようにふるまう。 hic la 指示代名詞( haec , hoc ) これ、この人 日本語との差 話し手に近いもの Et hic cum illo erat. この人もあの人と一緒にいた。 Illa terra est, hic homo est. あれは土、これは人だ。 cum la 前置詞+奪格・接続詞 〜と一緒に/〜のとき 日本語との差 mēcum ・ tēcum と後ろに付く Puer ad urbem cum puella it. [16] その少年は少女と一緒に町へ行く。 in la 前置詞+奪格/対格 〜の中に/〜の中へ 日本語との差 奪格なら場所、対格なら方向(型編で) Vita in urbe parva taediosa est. [17] 小さな町の生活は退屈だ。 Quis est puer in flumine natans? [18] 川で泳いでる男の子、誰? Rōmānus la 形容詞・第 1・2 変化( -a , -um ) ローマの、ローマ人 日本語との差 cīvis Rōmānus sum Senatus Populusque Romanus. [19] 元老院とローマの市民 Cum Poenis ter, o Romani, pugnavistis. [20] ローマ人よ、あなたがたはカルタゴ人と三度戦った。 Iuppiter la 名詞・第 3 変化・男性( Iovis ) ユピテル(最高神) 日本語との差 属格 Iovis は別の語幹。木星 Jupiter Sol multo maior est quam Iuppiter. [21] 太陽は木星よりずっと大きい。 つまずきやすい 5 点 — 再点検 音編を終える前に、日本語話者が第 1 期の間に繰り返しつまずく点を 5 つ挙げておきます。どれもこの編で扱いましたが、分かっていても口が英語やカタカナに戻ります。 c を「ス」にしてしまう。 Cicerō ・ cīvis ・ caelum 。e・i・ ae の前ほど注意。形編の dīcit (彼は言う)は「ディーキト」。 v を「ヴ」にしてしまう。 vīta ・ vōx ・ videō 。音声はワ行で読みます。聞いたとおりに真似れば直ります。 語末の母音を落とす。 dominus を「ドミヌス」でなく「ドミヌ」と読んでしまう。語末の -us ・ -um ・ -a に格があります。 長母音を短く読む。 音声が長短を出さないので、聞いているだけでは直りません。マクロンを見て自分で伸ばす。 amīcus は「アミークス」。 強勢をカタカナの語感で置く。 philosophia ・ nātūra 。規則で計算し直す。 この 5 点は、第 1 期の各課の音読課題で毎回自己点検します。音読判定が無い代わりに、 点検の項目を自分で持つ ——それがこの課程の音読の作法です。 ここから先 — 橋編と形編で音がどう働くか 次の橋編「橋」は、日本語と英語の中にすでにあるラテン語を数える編です。ウイルス・エゴ・エトセトラ・ホモ・サピエンス、そして英語の science ・ nature ・ public 。この編で覚えた読み方の規則があれば、見慣れたカタカナ語の元の姿を正しい音で言い直せます。「シーザー」を Caesar (カイサル)に戻す作業を、200 語ぶん行います。 形編「形」では、名詞の 5 つの変化と動詞の 4 つの活用を扱います。そこで効くのが 語末の母音と長短 です。 puella (少女が)と puellā (少女によって)は、語末の a の長短だけが違います。 amāmus (私たちは愛する)の強勢が mā に来るのは、 ā が長いからです。音編は、形を学ぶための耳と目を作る編でした。ここを通った人は、形編の表を「音として」覚えられます。 音声については、この先も同じ制約が続きます。強勢は正しく、長短は出ない。だから 本文のマクロンが真実の源 で、音声は強勢とリズムの手本です。第 4 期に原典を印なしで読むまでに、よく出る語の長短を目と口で覚えてしまいましょう。 書き取りは、この課程では 診断 として使います。間違えた字を見れば、どの規則が口と耳に入っていないかが分かる。c を s と書けば 0.3 の規則、母音を一つ落とせば 0.2 の語末の母音、重子音を一つにすれば 0.5。点数をつけるためではなく、戻る課を決めるための練習です。第 1 期の復習の課( 復編 1課 )でもう一度、20 文の書き取りを置きます。 もう一つ、この編を通して身についているはずのことがあります。 知らない語でも声に出せる ことです。英語では初めて見る語の読みに自信が持てませんが、ラテン語では規則が読みを決めます。橋編以降、語表に出る語はまず声に出してから意味を見る、という順序を守ってください。音が先にあれば、形と意味はその上に乗ります。 練習 練習 1 — 書き取り 上の「書き取り」の 6 文を、本文を伏せて聞き、綴りを書いてください。合わせたら、間違えた字がどの規則のものかを確かめます。 練習 2 — 強勢とマクロン 「強勢を打つ」の 20 語と「マクロンを補う」の 10 語を解いてください。 練習 3 — 通しで復唱する 「通しで読む」の 5 文を、本文を隠して続けて復唱してください。 sum の 5 つの形を口に覚えさせます。 この課のまとめ 復元式は綴りと音が一対一。 聞けば書け、見れば読める 。 強勢は規則で打てる。初めて見る語でも、マクロンがあれば決まる。 音編の規則 7 つ(一覧の表)。以後の課はこれを前提にする。 sum の形が 9 種類出た。形編の入口はここ。 次の課へ 音編を終えました。次は橋編「橋」の第 1.1 課—— 日本語の中のラテン語 です。ウイルス・エゴ・ミサ・レクイエム・エトセトラ・ホモ・サピエンス。あなたはすでに 250 以上のラテン語を知っています。それを数えるところから始めます。 答え 強勢 : Rō-MĀ-nus / CĪ-vi-tās / im-PE-ri-um / lī-BER-tās / sa-pi-EN-ti-a / VE-ri-tās / hū-MĀ-nus / me-MO-ri-a / tem-PES-tās / auc-TŌ-ri-tās / iūs-TI-ti-a / for-TŪ-na / vic-TŌ-ri-a / dis-CI-pu-lus / O-cu-lus / e-PIS-tu-la / prō-VIN-ci-a / re-LI-gi-ō / po-TES-tās / IUP-pi-ter 。 マクロン : lūx ・ rēx ・ amīcus ・ caelum (無し)・ nātūra ・ fēmina ・ pāx ・ verbum (無し)・ glōria ・ senātus 。 参考文献 Vulg . Ioh . 1:3( Omnia per ipsum facta sunt: )。 Vulgata Clementina , la . wikisource 。パブリックドメイン Vulg . Luc . 6:38( Date, et dabitur vobis: )。 Vulgata Clementina , la . wikisource 。パブリックドメイン Vulg . Matt . 16:22( non erit tibi hoc. )。 Vulgata Clementina , la . wikisource 。パブリックドメイン Vulg . Luc . 22:56( Et hic cum illo erat. )。 Vulgata Clementina , la . wikisource 。パブリックドメイン Vulg . Exod . 3:12( Ego ero tecum: )。 Vulgata Clementina , la . wikisource 。パブリックドメイン Vulg . Ioh . 17:23( Ego in eis, et tu in me: )。 Vulgata Clementina , la . wikisource 。パブリックドメイン Vulg . Exod . 3:14( Ego sum qui sum. )。 Vulgata Clementina , la . wikis