見えるものと考えるもの――プラトンとイデアへの入口 — Epoché
解説 一つ一つの物と、イデアを分ける 個物は、この棒・その石のような一つ一つのもの。『パイドン』をめぐる事典の説明では、変わる個物と、変わらないイデアを区別する。イデアは個物に依存せず、知性で捉える対象として紹介される。 イデアは頭の中の思いつきや、上空の物体のことではない。詳しい体系がそのまま書かれているわけではなく、研究者の再構成も含む。 Plato’s Middle Period Metaphysics and Epistemology 等しい例と、等しさそのもの 『パイドン』のソクラテスは、棒や石が等しくも不等にも見えるのに対し、「等しさそのもの」は不等には見えないと対比する。目にする個々の例と、それが何であるかを考える対象を分ける入口になる。 これは対話の中の説明。この対比だけでイデアの存在や魂の不死の論証が完了したとしない。 Plato’s Middle Period Metaphysics and Epistemology 知識と信念の区別にも、読みの違いがある 『国家』では知識と信念が対比され、信念は真にも偽にもなりうるとされる。イデアを知識の対象、個物を信念の対象と読む解釈がある一方、両者の対象は重なると読む解釈もある。 見えるものは全て存在しない、感覚は全て偽という話にしない。中期の対話篇の文言と、その読み方を区別する。 Plato’s Middle Period Metaphysics and Epistemology 個々の例と、等しさそのもの 対比 『パイドン』の説明 等しい棒や石 等しくも、不等にも見える 等しさそのもの 不等には見えないとされる ソクラテスが対話の中で示す対比。イデアの存在を実験で確認した図ではない。 参考文献 Silverman, Allan「Plato’s Middle Period Metaphysics and Epistemology」。 出典