10.5 物語の要約 — 百語で話の骨を書く — Epoché
この課でできるようになること ★要約の 五つの部品 を言える。 ★ 望み が抜けると何が起きるかを説明できる。 固有名詞を 入れすぎない ようにできる。 時制を混ぜずに 百語を書ける。 前提 : 10.4 まで。論は 9.6 まで。読は 8.72 まで。 手本 手本は ある物語のあらすじ です。 89 語、 15 文。行を押すと音が鳴ります。 右の列は、五つの部品のどれか です。 英文 日本語訳 どの部品か There was a lot of food in the house. [1] 家の中には食べ物がたくさんあった。 出だし(場面) She lived there for years. [2] 彼女はそこに何年間も住んでいた。 出だし(誰が、どこで) She was afraid to travel alone. [3] 彼女は一人旅が恐ろしかった。 出だし(どんな人か) She wanted to go, and her father let her go. [4] 彼女は行きたがり、父親はそれを許した。 ★ 望み They set out last night. [5] 彼らは昨夜出発した。 動き(出発) She could not find her way back. [6] 彼女は帰り道がわからなかった。 ★ 事件 She began to talk to a dog. [7] 彼女は犬に話しかけ始めた。 動き(出会い) She asked him for help. [8] 彼女は彼に助けを求めた。 動き(助けを求める) He gave her a book. [9] 彼は彼女に本をあげました。 動き(助けを得る) She walked and talked. [10] 彼女は歩きながら話した。 動き(道中) They walked around. [11] 彼らはあちこち歩き回った。 動き(道中) She thanked him with all her heart. [12] 彼女は彼に真心こめて感謝しました。 動き(礼) She got home at seven. [13] 彼女は7時に家に着いた。 ★ 結び (帰る) She was happy because her dream came true. [14] 彼女は夢が実現したので嬉しかった。 結び(望みがかなった) Everyone was happy. [15] みんなが喜んでいた。 結び(あと) 読んでみてください。★ どんな話か、分かるはずです。 家にいた女の子が、出かけて、道に迷い、助けを借りて、家に帰る。 一文ずつ見れば、どれも ただの短い文 です。けれども、 順に並べると話になります 。★これが要約です。 飾りは一つもありません。 型 ★五つの部品 物語の要約は、 五つの部品 でできています。 部品 何を書くか 手本での例 出だし 誰が、どこで、どんな人か She lived there for years. [2] 望み ★ その人が何を求めているか She wanted to go, and her father let her go. [4] 事件 その望みを邪魔することが起きる She could not find her way back. [6] 動き 望みのために何をしたか She asked him for help. [8] 結び 望みがかなったか、かなわなかったか She was happy because her dream came true. [14] 五つのうち、★ 二つめがいちばん忘れられます 。 ★望みが無いと、出来事の列になる 手本から、 望みの一文だけを抜いて みてください。 She wanted to go, and her father let her go. [4] これが無いと、残りはこうなります——家にいた。出かけた。迷った。犬に会った。助けを求めた。もらった。歩いた。礼を言った。帰った。 ★ 「〜して、〜して、〜した」だけです。 出来事はぜんぶ入っているのに、 話の形がありません 。 望みがあると 望みが無いと 事件が 邪魔 になる 事件がただの出来事になる 動きに 理由 がつく 動きが思いつきに見える 結びが 答え になる 結びがただの終わりになる ★ 望みは、ほかの四つを全部つなぎます。 だから、要約で削ってはいけない唯一の部品です。 8.55 読編 で「筋は欠けたところから動く」と言いました。★ 欠けたところを言うのが、望みです。 ★固有名詞は三つまで 要約を書くとき、 名前を入れたくなります 。読んだ話に出てきたからです。 けれども、名前は 場所を取ります 。百語のうち、名前だけで二十語使ってしまうと、 筋を書く場所が残りません 。 名前の数 何が起きるか ゼロ ★ 何の話か分からない 一つか二つ ちょうどよい 。主人公と、行った先 三つ まだ読める 四つ以上 ★ 筋を書く場所が無くなる ★目安は 三つまで です。残りは「 その子 」「 友だち 」「 その国 」で受けてください。 手本には、名前が 一つも出てきません 。それでも話は分かります。★ 名前が要るのは、読む人がその話を知っているとき だけです。 ★時制を混ぜない 英語では、あらすじを 現在形 で書くことがよくあります。「彼女はカンザスに住んでいる」のように。 ★ 過去形で書いても間違いではありません。 手本は過去形でそろえてあります。 大事なのは、 混ぜないこと です。 どう書くか よいか ぜんぶ現在形 よい。英語ではふつう ぜんぶ過去形 よい。この課はこちら ★途中で変わる ★ 読む人が混乱する 日本語話者がとくに気をつけるところです。★ 日本語のあらすじは、平気で混ざります。 「〜した。〜する。〜だった」と書いても、日本語では読めてしまいます。 英語では読めません。★ 時制が変わると、時間が動いたことになる からです。 3.19 型編 で時制の一致を習いました。要約は、その いちばん単純な使い道 です。 課題 『オズの魔法使い』のあらすじを百語 で書いてください。読 C の 8.41 読編 から 8.48 読編 までが材料です。 まず、 日本語で五つの部品 を書く。一部品につき一行。★ 二つめ(望み)を先に決めて ください。ドロシーが何を求めているかです。 五行を 英語にする 。一部品につき二文か三文。★手本と同じくらい 短い文 で書いてください。長い文を書こうとすると、必ず時制が混ざります。 固有名詞を数える 。★三つより多ければ、 いちばん出番の少ないものから消して 、「その子」「その友だち」で受け直す。 ★ 時制を数える 。過去形でない動詞に印をつけ、 ゼロになるまで直す 。 一つめが、この課の山です。★ 望みを先に決めると、あとは速い のです。決めずに書き始めると、 出来事を順に並べただけ になります。 動画で見る この課の内容に近い解説動画です。押すと再生されます(再生は YouTube に接続します)。「画面に固定して見る」を押すと、本文を読みながら見られます。 Writing Academic Summaries TLC KPU Learning Centres (5:53, 2019) 学術の要約の書き方。クワントレン工科大学の学習センター 練習 手本の 15 文を、行を押して音を聞いてから 続けて音読 する。3 周する。3 周目は音声に重ねて シャドーイング する。★ 望みの一文だけを強く 読んでみる。そこが話の中心だからです。 ★ 望みの一文を抜いて 、残りを続けて音読する。 平らになる のが分かるはずです。一文で、これだけ変わります。 書いた自分の要約を音読して、 息が切れる文 に印をつける。★切れる文は、たいてい 長すぎ ます。二つに割ってください。 AI への頼み方 要約は、AI が まるごと書いてしまえる 仕事です。★ 書かせてはいけません。 書かせた瞬間に、この課の練習が消えます。頼み方を三つ置きます。 何を頼むか 頼み方の型 ★部品に分けさせる 「わたしの書いた要約を、 出だし・望み・事件・動き・結びに分けて ください。 抜けている部品があれば、そう言ってください 」 ★時制を数えさせる 「この文章で、 過去形でない動詞 を全部挙げてください。直さなくてよいので、挙げるだけ」 筋を言い返させる 「この要約を読んで、 どんな話だと思ったか を日本語で言ってください」 ★三つめが、 10.4 作編 と同じやり方です。返ってきた話が 自分の読んだ話と違っていたら 、そこが伝わっていません。 一つめで 「望みが無い」と言われたら 、この課でいちばん大事なところを落としています。★ 書き足すのではなく、書き直して ください。望みは、あとから足せるものではありません。 自己点検表 10.4 作編 までの表とは 別の表 です。第 3 期からは、 書くものごとに表を作ります 。 点検すること 合格の目安 語数 九十〜百十語 文の数 十二文以上 いちばん長い文の語数 十二語以下 ★五つの部品がそろっているか そろっている ★望みを書いた文の数 一つ以上 ★固有名詞の数 三つ以下 ★過去形でない動詞の数 ゼロ ★ どれも数えられます。 10.4 作編 で置いた作編の運び方は変わりません—— 数えられるものだけを自分で点検し、数えられないものを人と AI に聞く 。 この課のまとめ ★ 要約の五つの部品——出だし・望み・事件・動き・結び。 ★ 望みが無いと、要約は出来事の列になる。 「〜して、〜して、〜した」だけが残る。 望みは、ほかの四つを全部つなぐ。 だから削ってはいけない。 ★ 欠けたところを言うのが、望み ( 8.55 読編 )。 ★ 固有名詞は三つまで。 名前は場所を取る。残りは「その子」「その友だち」で受ける。 名前が要るのは、 読む人がその話を知っているとき だけ。 ★ 時制を混ぜない。 現在形でも過去形でもよいが、 途中で変えない 。 日本語のあらすじは平気で混ざる。★ 英語では、時制が変わると時間が動いたことになる ( 3.19 型編 )。 ★ 望みを先に決めると、あとは速い。 AI に 書かせない 。部品に分けさせ、時制を数えさせ、筋を言い返させる。 次の課へ 次の課は 10.6 、 意見文 を百語——理由を二つ挙げて書きます。★この課で書いたのは 人の書いたものの骨 でした。次は 自分の考え です。 9.1 論編 で分けた 主張と根拠 を、こんどは 自分で組み立てます 。★そして、 理由が二つ要る理由 を考えます。 答え よくある失敗を四つ 置きます。 ★ 望みが書かれていない。 いちばん多い失敗です。「竜巻で飛ばされた。魔女に会った。道を歩いた」——出来事はぜんぶ正しいのに、 なぜ歩いているのかが書かれていません 。★ドロシーの望みは 家に帰ること です。それを一文書くだけで、 残り全部の意味が変わります 。 名前が多すぎる。 読んだ話に出てくる名前を、つい全部入れてしまいます。★ 出番の少ないものから消す ——これだけで二十語ほど空きます。空いた場所に、 望みと結び を書いてください。 時制が混ざっている。 書き始めは過去形なのに、山場のところで現在形になる。★これは 日本語の癖 です。日本語では、 山場で現在形にすると臨場感が出ます 。英語では 時間が動いたこと になります。 結びが「そして終わった」になっている。 ★結びは 望みがかなったかどうか を書くところです。「家に帰った」と書けば、 望みに答えたこと になります。★ 出だしと結びは、望みで結ばれています。 8.69 読編 で見た「はじめと終わりに同じものを置く」と同じ働きです。 参考文献 Tatoeba 文 #1417841(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/1417841 Tatoeba 文 #311069(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/311069 Tatoeba 文 #312563(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/312563 Tatoeba 文 #313599(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/313599 Tatoeba 文 #306612(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/306612 Tatoeba 文 #313124(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/313124 Tatoeba 文 #8859077(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/8859077 Tatoeba 文 #404171(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/404171 Tatoeba 文 #302732(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/302732 Tatoeba 文 #316924(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/316924 Tatoeba 文 #305463(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/305463 Tatoeba 文 #316316(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/316316 Tatoeba 文 #310209(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/310209 Tatoeba 文 #4491184(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.or