8.83 赤毛組合(7)— 目が使えないと、書けるものが変わる — Epoché
この篇でできるようになること ★ 目が使えない場面 の書き方が分かる。 ★ 時間の感じ方を数で正す やり方に気づける。 ★ 段を追って見せる 書き方をたどれる。 ★ 深さを扉の数で書く ことに気づける。 前提 : 8.82 まで。型は 3.32 まで。語は 4.48 まで。 読む前に ★ 前の篇までのこと。 ホームズは警官ジョーンズと銀行の重役メリーウェザーを集め、★ 「今夜の賭け金は三万ポンドと、その男だ」 と言いました。 この篇では、四人が着きます。★ 細い路地、鉄の門、曲がる石段、もう一つの門、土のにおいの通路 。★ そして、大きな地下室に出ます。 そこには フランスから借りた金貨 が積んであります。★ ホームズは明かりを消させ、四人は暗闇で待ちます。 原文 原文は別の文書にあります(作品ページの「原文」)。本文は 1140 語、文は 63 本、いちばん長い一文は 65 語です。 暗くなったところを見ます。 such an absolute darkness as I have never before experienced ★ 「これまで経験したことのない、まったくの暗さ」。 ★ ここから、目に見えるものが一つも書けなくなります。 ★ その代わりに、においと音が書かれます ——★ 熱くなった金属のにおいで、ランプがまだそこにあると分かる。 全訳 原文の全訳です。この課程のために、原文に沿って訳しました。番号は原文の段落の番号で、原文と行き来できます。 私たちは、朝に来ていたのと同じ、人で混み合う大通りに着いていました。辻馬車を帰し、メリーウェザー氏の案内に従って、細い路地を進み、彼が開けてくれた脇の扉を通り抜けました。中には小さな廊下があり、その先はとても頑丈な鉄の門で行き止まりになっていました。これも開けられると、曲がりくねった石段が下へ続いており、その下にはもう一つ、いかめしい門がありました。メリーウェザー氏は立ち止まってランタンに火をともし、それから私たちを、暗く土のにおいのする通路へと導き、こうして三つめの扉を開けたあと、大きな地下の金庫室、つまり地下室に入りました。そこには、ぐるりに木箱と頑丈な箱が積み上げてありました。 「上からはあまり狙われそうにありませんね」と、ホームズはランタンをかかげ、あたりを見回しながら言いました。 「下からもです」とメリーウェザー氏は言い、床に敷かれた敷石を杖でたたきました。「おや、これは、まるでうつろな音がしますね!」と彼は驚いて顔を上げながら言いました。 「本当に、もう少し静かにしていただかなくては困ります!」とホームズは厳しく言いました。「あなたはもう、私たちの遠征の成功をそっくり危うくしたのですよ。どうか、あの箱のどれかに腰を下ろして、手出しをしないでいただけませんか?」 まじめなメリーウェザー氏は、ひどく傷ついた顔つきで木箱の上に腰かけました。一方ホームズは床にひざまずき、ランタンと拡大鏡で、石と石のあいだのすきまを細かく調べはじめました。数秒で彼は納得したようでした。というのも、彼はまたぱっと立ち上がり、拡大鏡をポケットにしまったからです。 「少なくとも一時間はあります」と彼は言いました。「あの人のいい質屋が無事に寝床に入るまでは、彼らはほとんど何も手を打てないでしょうから。そうなれば、彼らは一分も無駄にしません。仕事を早く済ませるほど、逃げる時間が長くなるからです。ドクター、私たちはいま——きっともう見当がついているでしょうが——ロンドンの大銀行の一つの、シティ支店の地下室にいます。メリーウェザー氏は重役会の会長で、ロンドンの大胆な犯罪者たちがいまこの地下室に並々ならぬ関心を寄せるのには理由がある、ということを説明してくださるでしょう。」 「私どものフランスの金貨なのです」と重役はささやきました。「それが狙われるかもしれないという警告を、何度か受けておりました。」 「あなたがたのフランスの金貨?」 「はい。数か月前、資金を強化する必要があり、そのためにフランス銀行からナポレオン金貨を三万枚借りました。私どもがその金を一度も荷ほどきする必要がなく、いまもこの地下室に置いたままであることが知られてしまったのです。私が腰かけているこの木箱には、鉛の箔を重ねたあいだに詰めたナポレオン金貨が二千枚入っています。いまの私どもの地金の蓄えは、一つの支店に普通置いておくよりずっと多く、重役たちはこの件で不安を抱いておりました。」 「その不安はまったくもっともでした」とホームズは言いました。「さて、そろそろ私たちのささやかな計画を整える時です。一時間以内に事は山場を迎えるでしょう。それまでのあいだに、メリーウェザーさん、あのランタンに覆いをかけなければなりません。」 「それで暗闇の中に座っているのですか?」 「残念ながら、そうです。ポケットにトランプを一組入れてきていて、四人組なのだから、結局あなたも一勝負できるかと思っていたのです。ですが、敵の準備はもうずいぶん進んでいるようなので、明かりをつけておく危険は冒せません。それに、何よりまず、持ち場を決めなければなりません。相手は大胆な男たちです。こちらは不意を突くことになりますが、気をつけないと、私たちに危害を加えるかもしれません。私はこの木箱の後ろに立ちますから、あなたがたはあちらの陰に身を隠してください。そして、私が彼らに明かりを当てたら、すばやく取り囲んでください。もし彼らが撃ってきたら、ワトソン、ためらわずに撃ち倒してください。」 私は、撃鉄を起こした拳銃を、自分がかがんでいる木の箱の上に置きました。ホームズはランタンの前の覆いを滑らせて閉め、私たちを真っ暗闇の中に残しました——これまで経験したことのない、まったくの暗さでした。熱くなった金属のにおいが残っていて、明かりがまだそこにあり、すぐにでもぱっと照らせるようになっていることを確かめさせてくれました。期待に神経が張りつめていた私には、この突然の暗がりと、金庫室の冷たく湿った空気の中に、何か気を滅入らせ、押さえつけるようなものがありました。 「彼らの逃げ道は一つしかない」とホームズはささやきました。「家を通ってサックス=コバーグ・スクエアへ戻る道だ。ジョーンズ、頼んでおいたことはやってくれましたね?」 「警部一人と巡査二人を、表の戸口で待たせてあります。」 「それなら、穴は全部ふさいだ。あとは黙って待つだけです。」 なんと長く感じられたことでしょう!あとで照らし合わせてみると、たった一時間十五分でしたが、私には、夜がほとんど明けてしまい、頭上では夜明けが来ているにちがいないと思えました。手足は疲れてこわばっていました。姿勢を変えるのが怖かったからです。それでいて、神経は最高に張りつめ、耳はとても鋭くなっていたので、仲間たちの静かな息づかいが聞こえただけでなく、体の大きなジョーンズの深く重い吸う息と、銀行の重役の細くため息のような音とを聞き分けることさえできました。私の場所からは、箱越しに床のほうを見ることができました。突然、私の目が光のきらめきをとらえました。 はじめは、それは石の床の上の、ぼうっと不気味な火花にすぎませんでした。それから長く伸びて黄色い線になり、そして、何の前触れも音もなく、裂け目が開いたように見え、手が現れました。白い、ほとんど女のような手で、その小さな光の範囲の真ん中を手探りしていました。一分かそれ以上、その手は、くねる指をうごめかせながら、床から突き出ていました。それから、現れたときと同じくらい突然に引っこみ、石のすきまを示す不気味な火花一つを除いて、またすべてが暗くなりました。 しかし、それが消えたのはほんの一瞬でした。引き裂くような、めりめりという音とともに、幅の広い白い石の一枚が横向きにひっくり返り、四角くぽっかりと口を開けた穴が残りました。そこからランタンの光が流れ出てきました。その縁から、きりっとした、少年のような顔がのぞき、鋭くあたりを見回しました。それから、穴の両側に手をかけて、体を肩の高さ、腰の高さまで引き上げ、ついには片ひざが縁にかかりました。次の瞬間には、彼は穴のそばに立ち、自分と同じようにしなやかで小柄な仲間を引き上げていました。その仲間は、青白い顔をして、もじゃもじゃの真っ赤な髪をしていました。 語釈 帯の外の語は 91 語です。★ 暗さと明かりの語が多い のに気づいてください—— lantern ・ gloom ・ spark ・ glint ・ lurid 。 語(品詞) 意味 注 Coburg en 名 コーバーグ( 8.78 読編 ) France en 名 フランス French en 形 フランスの( 8.76 読編 ) She bought a bottle of French wine for the small dinner party. 彼女は、その小さな晩餐会のためにフランスのワインを一本買いました。 Holmes en 名 ホームズ Jones en 名 ジョーンズ。警官( 8.82 読編 ) London en 名 ロンドン Mr en 名 Mister の略 Saxe en 名 サックス。 Saxe-Coburg Square (広場の名)の一部 Watson en 名 ワトソン acute en 形 鋭い The doctor noticed an acute pain in the patient's left side. 医師は、患者の左側に鋭い痛みがあることに気づきました。 afterwards en 副 あとになって( 8.73 読編 ) They quarreled that morning but happily made up afterwards over dinner. 彼らはその朝けんかしましたが、あとになって夕食のときに仲直りしました。 aperture en 名 あな Light streamed through a small aperture in the old wooden door. 光は、その古い木のドアの小さなあなから差し込んでいました。 beg en 動 こう( 8.76 読編 ) I must beg your pardon for arriving so terribly late tonight. こんなに遅く到着したことを、どうかお許しください。 boyish en 形 少年のような Even at forty, he still had a boyish grin on his face. 四十歳になっても、彼はまだ少年のような笑顔をしていました。 bulky en 形 大柄な The bulky package barely fit through the narrow front doorway. そのかさばった荷物は、狭い正面の戸口をかろうじて通り抜けました。 bullion en 名 地金 The old ship reportedly carried a fortune in gold bullion. その古い船には、莫大な量の金の地金が積まれていたそうです。 cabs en 名 辻馬車(複数。 8.82 読編 ) Rows of cabs lined up outside the busy train station. 何台もの辻馬車が、混雑した駅の外に並んでいました。 carrée en 形 ★フランス語。 partie carrée で「四人組」 cellar en 名 地下室( 8.78 読編 ) They stored old wine bottles in the cool stone cellar. 彼らは古いワインのボトルを、涼しい石造りの地下室に保管していました。 chink en 名 すきま A thin chink of light appeared under the closed bedroom door. 閉まった寝室のドアの下から、細いすきまの光が現れました。 cocked en 形 撃鉄を起こした( 8.79 読編 ) He held the cocked pistol steady as he entered the dark room. 彼は暗い部屋に入るとき、撃鉄を起こした拳銃をしっかりと構えていました。 companion en 名 連れ( 8.77 読編 ) He set off on the long journey with a trusted companion. 彼はその長い旅に、信頼できる連れとともに出発しました。 companions en 名 連れ(複数) The two companions shared every meal during their long sea voyage. その二人の連れは、長い航海中ずっと食事を共にしました。 compunction en 名 ためらい He felt no compunction about telling the small white lie. 彼は、その小さな罪のない噓をつくことに何のためらいも感じませんでした。 conceal en 動 隠す She tried to conceal her nervousness behind a calm, quiet smile. 彼女は落ち着いた静かな笑顔の裏に、緊張を隠そうとしました。 corridor en 名 廊下 The nurse walked briskly down the long hospital corridor. 看護師は、長い病院の廊下を足早に歩きました。 crate en 名 木箱 He nailed shut the wooden crate before shipping it far abroad. 彼は遠い海外に送る前に、その木箱にくぎを打ちつけて閉じました。 crates en 名 木箱(複数) Dozens of wooden crates were stacked high inside the old warehouse. 何十もの木箱が、古い倉庫の中に高く積まれていました。 crouched en 動 身をかがめた He crouched behind the low wall