12.6 学校と暮らし — Epoché
この課で分かるようになること school が 国によって別のものを指す と知る。 学校の 呼び名の違い (米と英)が分かる。 読み物の暮らしが、いつの暮らしか を先に決められる。 出どころの無いことを 書かない・信じない 構えを持つ。 前提 : 12.5 まで。 ★ school は国によって別のものを指す 8.20 読編 で一度触れたところを、ここでちゃんと置きます。原文にこう書いてあります。 In North America, a person taking a first degree at a university is often self-described as "going to school". [1] そして、こう続きます。 In Europe that would never be the case. They would describe themselves as "going to university". [1] どこで going to school が指すもの 北アメリカ 大学も含む 。学部生が自分のことをこう言う ヨーロッパ 大学は含まない 。大学なら going to university と言う この差は、読むときに 年齢を取り違えさせます 。アメリカの文章で she is still in school と書いてあったら、 大学生かもしれません 。十代を思い浮かべると、話が合わなくなります。 見分け方は一つです—— 書き手がどこの人かを先に見る 。 8.40 読編 で置いた「今どの種類の文章を読んでいるかを先に決める」の、 どこの文章かを決める 版です。 学校の呼び名が国で違う 呼び名そのものも分かれます。原文にはこうあります。 elementary schools (primary in the UK), middle schools (secondary in the UK) [1] どの段 アメリカでの呼び名 イギリスでの呼び名 低いほう elementary school primary school 中ほど middle school secondary school 同じものを別の名で呼んでいます。 どちらも覚えるほかありません が、覚え方はあります—— アメリカは「初めの」、イギリスは「第一の」 。どちらも「最初」という意味の語を使っていて、 語源が違うだけ です。 2.6 橋編 で置いたとおり、英語には ラテン語から来た語とギリシア語から来た語 が並んでいます。同じものに二つの名があるのは、たいていこれが理由です。 教室と、教える人 原文には、教室の大きさの数が一つだけ出ています。 In the United States, the average number of students per classroom in primary schools is 23.1. [1] 日本の教室と そう変わりません 。「英語圏の学校は少人数」というのは、少なくともこの数からは言えません。 教える人の側には、はっきりした違いがあります。 For young children, one teacher may teach all subjects. Teachers for older students are more specialized, and they only teach a few subjects. [1] 幼い子には一人の教師が全科目を教え、年長になると教師が科目ごとに分かれる 。これは日本と同じ形です。 違うところばかりを探さないでください 。同じところのほうが多いのがふつうです。 学ぶ年数についても、原文に数が一つあります。 becoming a doctor takes about 10-14 years of education [1] 職によって学ぶ年数が違う ということです。これも国を問いません。 もう一つ、原文は 学び方そのものが一つではない とも書いています。教え方についての考えが分かれているので、国によっては いくつもの種類の学校を認めて いて、親と子が選べるようにしている——という趣旨です。家で学ぶやり方もその一つに挙げられています。 ここは日本語話者が読み違えやすいところです。日本では 学校の形がほぼ一つ なので、「学校へ行く」と書いてあれば中身も想像できます。英語の文章ではそうとはかぎりません。 どんな学校か を書き手が断っていなければ、 決めつけずに読み進める ほうが安全です。 8.24 読編 で置いた「指示語の指す先を決める」に似ています。指す先が決まらないときは、 決まらないまま先へ進んで、あとで決める 。学校という語も、そうやって扱ってください。 ★読み物の暮らしは、書かれた時代の暮らし ここがこの課でいちばん大事なところで、 第 2 期の知編の締め でもあります。 第 2 期の読み物二十四篇は、 三つの時代にまたがって います。 いつの文章か どの篇か そこに出る暮らし 古代 寓話( 8.31 読編 〜 8.34 読編 ) 獣と人が同じ世界にいる。農と漁と牧 百年以上前 読本( 8.25 読編 〜 8.30 読編 ) 子どもが一人で学校へ通い、馬車と舟が動く 今 百科事典と台本( 8.17 読編 〜 8.24 読編 ・ 8.35 読編 〜 8.38 読編 ) 地下鉄と珈琲店、動画の講座、書き場 読本の暮らしを見てください。 It was not far from his home, and therefore they sent him by himself. [2] 十歳の子が 一人で学校へ行かされて います。百年以上前のアメリカでは、それがふつうでした。今の話として読むと、 親が不用心に見えます 。そう読むのは、 時代を取り違えているから です。 今の台本のほうはこうです。 Many people here work in government and politics. But there are many other jobs. [3] 職の種類を並べる 言い方が出てきます。百年前の読本には、この並べ方は出てきません。職を選ぶという考え方自体が、 時代とともに強くなったもの だからです。 町と田舎の話も同じです。 I am from the country too! And I understand. When I first came here, I felt lost ... all the time. [4] 田舎から町へ出てくる という筋は、今の話としても、百年前の話としても読めます。けれども、 出てきた先で何をするか はまるで違います。 だから、読み始める前にもう一つ決めることが増えます—— これはいつの暮らしの話か 。種類を決め( 8.40 読編 )、どこの文章かを決め(この課の一つめ)、 いつの文章かを決める 。三つ決めてから読むと、 取り違えがほとんど無くなります 。 時代を決めるのは難しくありません。 参考文献を見れば書いてあります 。この課程の読み物には、篇ごとに出所が付いています。年が書いてあるものもあれば、「百科事典」「読本」のように 種類で分かる ものもあります。読む前に一度、そこを見てください。 そして、時代が分かると 語の古さも読めます 。 8.39 読編 で置いたとおり、 古い語は韻のために歌に残ります 。読本や童謡に見慣れない語が出てきても、 今の英語で覚える必要はありません 。いつの文章かが分かっていれば、 覚える語と、読めればよい語を分けられます 。 書けないことは書かない 最後に、この課で 書かなかったこと を書いておきます。 「英語圏の一日」を語るなら、学校の始まる時刻、昼食の取り方、放課後の過ごし方——そういうことを書きたくなります。 この課では書きませんでした 。 確かな出どころを持っていないから です。 知編には、はっきりした決まりがあります—— 数字・年・人名は出どころから取り、本文の印と参考文献を一対一にする 。この決まりを守ると、書けることはぐっと減ります。減ったぶんが 確かさ です。 そして、これは読む側の構えでもあります。「英語圏では〜だ」と書いてある文章に当たったら、 出どころがあるかを見てください 。無ければ、それは 誰かの印象 です。印象が誤りだとはかぎりませんが、 確かめられないものを覚えても、あとで使えません 。 9.1 論編 で置いた「主張と根拠」が、ここでそのまま効きます。 根拠の無い主張は、覚えない 。 練習 この課に出た学校の呼び名を 対で音読 する( elementary school — primary school 、 middle school — secondary school )。3 周する。3 周目は音声に重ねて シャドーイング する。 going to school と going to university を 続けて 音読する。3 周する。言いながら、 どちらがどこの言い方か を思い出す。 第 2 期の読み物から好きな三篇を選び、 それぞれ「いつの暮らしか」を一行書く 。古代・百年以上前・今の三つのどれかです。そのうえで、 今の暮らしと違うところを一つずつ 挙げる。 この課のまとめ ★ school は国によって別のものを指す。 北アメリカでは大学を含み、ヨーロッパでは含まない。 年齢を取り違えさせる 差。 学校の呼び名も分かれる( elementary と primary )。同じものに二つの名があるのは、 語源が違うから ( 2.6 橋編 )。 違うところばかりを探さない。 教室の人数も、教師の分かれ方も、日本とそう変わらない。 ★ 読み物の暮らしは、書かれた時代の暮らし。 第 2 期の読み物は 古代・百年以上前・今 の三つにまたがる。 十歳の子が一人で学校へ行くのは、 百年以上前のアメリカではふつう 。今の話として読むと親が不用心に見える—— 時代の取り違え 。 ★読む前に三つ決める—— どの種類か・どこの文章か・いつの文章か 。三つ決めると、取り違えがほとんど無くなる。 ★ 確かな出どころの無いことは書かない。 減ったぶんが確かさ。読む側としても、 根拠の無い主張は覚えない ( 9.1 論編 )。 次の課へ 次の課は 13.3 、 復編 —— 第 2 期の門 です。第 2 期で積んだものを、ここでまとめて確かめます。学びの地図を広げ、短い文を二十本読み、書き取りと音読をやって、自分で採点します。 できていないところを見つけるための課 であって、できていることを確かめるための課ではありません。見つかったら、その課に戻ってください。 答え 三つめの課題について。 選び方の例 を三つ置きます。 8.31 読編 (束・鈴・狼) ——古代。今と違うのは、 狼が人の暮らしのすぐそばにいる ところです。家の窓の下まで来て、子どもをさらおうとしています。 8.29 読編 (学校をさぼる子) ——百年以上前。今と違うのは、 十歳の子が一人で通い、一人で舟を借りられる ところです。どちらも今のアメリカでは起きません。 8.38 読編 (何ができるか) ——今。百年前と違うのは、 「書き場の読者が何人いるか」で仕事が決まる ところです。こういう職の決まり方は、 ごく最近のもの です。 参考文献 原文の出所: Simple English Wikipedia, "School"。CC BY-SA 4.0。原文は 1 字も変えていない。https://simple.wikipedia.org/wiki/School 原文の出所: William Holmes McGuffey『McGuffey's Third Eclectic Reader』(1879), "The Truant"。パブリックドメイン(Project Gutenberg #14766)。原文は 1 字も変えていない。https://www.gutenberg.org/ebooks/14766 原文の出所: VOA Learning English「Let's Learn English」Level 1, "Lets Learn English Lesson 20 What Can Yo"。パブリックドメイン(アメリカ合衆国政府の著作物)。原文は 1 字も変えていない。https://learningenglish.voanews.com/p/5644.html 原文の出所: VOA Learning English「Let's Learn English」Level 1, "Lets Learn English Lesson 37 Lets Agree "。パブリックドメイン(アメリカ合衆国政府の著作物)。原文は 1 字も変えていない。https://learningenglish.voanews.com/p/5644.html