11.6 断りと苦情 — Epoché
この課でできるようになること ★ 事実・影響・頼み の三つで苦情を書ける。 ★ 相手ではなく、起きたことを責める ことができる。 ★ できることを先に書く 断りができる。 ★商編の六課を、ひととおり言える。 前提 : 11.5 まで。作は 10.16 まで。 場面 ★ 届いた品が、注文と違いました。 ★ 来週の展示会で使うものです。 ★ 腹が立っています。 ★ それを、どこまで書くか。 怒りを書くと 事実を書くと ★ 相手は身を守る ★ 相手は手を動かす ★ 怒りの話になる ★ 直す話になる ★ 次から頼みにくい ★ 次も頼める ★ 三つめが、仕事の苦情でいちばん大事なところ です。★ 言ったあとも、 付き合いが続きます 。 ★ だから、 怒っていないふりをする のではなく、 怒りを書かない のです。 ★ 二つは違います。 語彙 苦情と断りの言い方を、三つの働きに分けて置きます。★ どれも池から取りました。 英文 日本語訳 事実 — 起きたことだけ This is not what I ordered. [1] これは私が注文した物ではありません。 ★ 頼んだものと違う、と言う Will you please check these figures? [2] これらの数字が合っているか調べて下さい。 ★ 数字を確かめてほしい、と頼む Please check on when he will return. [3] 彼がいつ帰るか確かめてください。 いつになるか確かめてほしい、と頼む ★ 一つめは、 五語で足ります 。 ★ 「これは注文したものではありません」 ——★ 誰が悪いとも書いていません。 ★ 11.3 商編 で「悪い知らせは結論から」と置きました。 ★ 苦情も同じです ——★ 経緯から書くと、読む相手は「で、何が起きたのか」を待ちながら読みます。 英文 日本語訳 影響と頼み It will take a while to go away. [4] 治るのにしばらくかかりますね。 ★ どれくらい響くか を言う I would appreciate a reply as soon as possible. [5] なるべく早くご返事いただければ幸いです。 ★ 返事の期限を付ける I would appreciate a reply. [6] ご返事いただければ幸いです。 返事がほしい、と丁寧に言う ★ 二つめが、苦情でいちばん落ちる部品 です。★ 「なるべく早くご返事を」 ——★ いつまでに返事がほしいかを書きます。 ★ 11.2 商編 で「日付の無い頼みごとは予定に入らない」と置きました。 ★ 苦情も頼みごとです。 英文 日本語訳 断る — できることを先に I am sorry to say that I cannot help you. [7] 残念ながらあなたのお手伝いはできません。 ★ 残念ながらできない I cannot do it today. [8] 今日はできません。 ★ 今日はできない ——日を限る If there is a problem, please let me know. [9] 問題がある場合はお知らせください。 ★ 問題があれば知らせる と添える ★ 二つめに注目してください。 ★ 「今日はできません」 ——★ 日を限ると、 いつならできるか の話に移せます。 日本の商慣習との差 ★相手ではなく、起きたことを責める ★ 日本語でも英語でも同じですが、 文の主語 で差が出ます。 どう書くか どう読まれるか ★ 「あなたが間違えた」 ★ 人を責めている ★ 「品が違っていた」 ★ 出来事を述べている ★ 「送られてきた品が違う」 ★ 誰がしたかを出さない ★ 三つめは受け身です。 ★ 3.35 型編 で「受動 II — 誰がしたかを消す」と置きました。 ★ 11.4 商編 では「議事メモは受け身を使わないところ」と書きました。 ★ 苦情は逆です ——★ ここは、 誰がしたかを出さない ほうが話が進みます。 ★ 同じ文法が、文書の種類で逆に働きます。 ★ 型を覚えるだけでは足りず、 どこで使うか まで覚える必要があります。 ★断りは、できることを長く書く ★ 断りの手紙を書くと、 断る理由 が長くなります。 ★ 理由を厚くすれば許されると思うから です。 理由が長いと できることが長いと ★ 言い訳に見える ★ 誠実に見える ★ 相手は次の手を探す ★ 相手はその案を見る ★ 話が終わる ★ 話が続く ★ 11.3 商編 で「原因を先に言うと言い訳になる」と置きました。 ★ 断りでも同じ ——★ 理由は一行で足ります。 ★ そして、できることが一つも無いなら、 短く断る のが親切 です——★ 11.2 商編 で「仕事では、断るほうが親切」と置きました。 ★詫びの重さを、合わせる ★ 詫びが軽すぎても重すぎても、相手は困ります。 どんなとき どう詫びるか ★ 小さな行き違い ★ 一言。すぐ本題へ ★ 相手に損が出た ★ 何に対する詫びかを書く ★ こちらに非が無い ★ 詫びない。困っていると書く ★ 三つめが、日本語と大きく違うところ です。★ 日本語では、非が無くてもまず詫びます。 ★ 英語の仕事で同じことをすると、 非を認めた と受け取られることがあります ——★ とくに、金額や責任がかかる場面では。 ★ 11.3 商編 で「詫びは事実のあと、一度だけ」と置きました。 ★ 苦情を言う側では、 詫びないこと も覚えてください。 ★返事の期限を、苦情にも付ける ★ 苦情は、出したら終わりではありません。 ★ 返事が来なければ、何も変わらない からです。 期限を付けないと 付けると ★ いつ返事が来るか分からない ★ 来なければ、もう一度言える ★ 催促が角を立てる ★ 約束の確認になる ★ 二つめが効きます。 ★ 「金曜までにお返事を」と書いておけば、土曜の催促は 約束の確認 です。 やってみる ★ 三つで書く 。最近あった行き違いを一つ思い出し、 事実/影響/頼み を一文ずつ書く。★ 英語で書くこと。 ★ 怒りの語を消す 。書いたものから 気持ちを表す語 を全部消して、読み比べる。 ★ 主語を変える 。「あなたが」で始まる文があれば、 出来事を主語 に書き直す。 ★ 返事の期限を付ける 。★ いつまでに返事がほしいかを入れる。 動画で見る この課の内容に近い解説動画です。押すと再生されます(再生は YouTube に接続します)。「画面に固定して見る」を押すと、本文を読みながら見られます。 How to deal with a problem in English British Council | English (4:34, 2022) 困りごとを伝える。ブリティッシュ・カウンシル 練習 「語彙」の九文を 続けて音読 する。3 周する。3 周目は音声に重ねて シャドーイング する。 ★ This is not what I ordered. [1] を そらで言えるまで 音読する。★ 五語で、誰も責めていません。 ★ I would appreciate a reply as soon as possible. [5] を そらで言えるまで 音読する。★ 返事の期限を付ける一文です。 商編の六課 この編の六課で置いたものを、まとめておきます。 どの課 何を置いたか 11.1 商編 ★ 会議で発言する 11.2 商編 仕事の依頼と期限 11.3 商編 ★ 悪い知らせを伝える 11.4 商編 議事メモ 11.5 商編 ★ 条件を交渉する この課 ★ 断りと苦情 ★ 六つを並べると、一つの線が見えます。 どんな場面か どの課か ★ 話す ★ 11.1・11.5 ★ 書く ★ 11.2・11.3・11.4 ★ 言いにくいことを言う ★ 11.3・11.6 ★ そして、六つとも同じことを言っています ——★ 「言わなければ、伝わらない」。 日本語の仕事で通ること 英語の仕事では ★ 黙っていれば察してもらえる ★ 異議なしと取られる ★ なるべく早く ★ 相手の都合になる ★ 検討します(=断り) ★ 本当に検討すると思われる ★ まず詫びる ★ 非を認めたと取られる ★ 四つとも、 言わないこと が意味を持つ作法 です。★ 英語の仕事では、その意味が伝わりません。 ★ だから、この編で置いたのは 言葉づかい ではなく 言葉にする習い です。 ★ 9.11 論編 で「出どころを書くのは、読む人が確かめに行けるようにするため」と置きました ——★ 仕事の言葉も同じです。 ★ 相手が動けるように書きます。 この課のまとめ ★ 怒りを書くと怒りの話になり、事実を書くと直す話になる。 怒っていないふりをするのではなく、怒りを書かない——二つは違う。 ★ 苦情は、事実・影響・頼みの三つ。 いちばん落ちるのは、返事の期限。 ★ 相手ではなく、起きたことを責める。 苦情は受け身を使うところ——議事メモ( 11.4 商編 )とは逆。 ★ 同じ文法が、文書の種類で逆に働く。 型は、どこで使うかまで覚える。 ★ 断りは、断る理由より「できること」を長く書く。 理由は一行で足りる。できることが無いなら、短く断るのが親切。 ★ こちらに非が無いときは、詫びない。 英語の仕事では、詫びが非を認めたと取られることがある。 ★ 返事の期限を書いておけば、催促が約束の確認になる。 ★ 商編が置いたのは言葉づかいではなく、言葉にする習い。 黙っていること・なるべく早く・検討します・まず詫びる——日本語で意味を持つ四つが、英語の仕事では伝わらない。 次の課へ 商編はここで終わりです。六課を読みました。★第 5 期の学習順では、商の次は 知 です。次の課は 12.13 、 第 12 編「知」の第 5 期のはじめ です。★ 読 E で読んだ三十二篇の 背景 を置きます。 答え 「やってみる」の四つの答えです。 ★ 三つで書けたか。 ★ いちばん書きにくいのは 頼み です。 ★ 「どうしてくれるのか」と書きたくなりますが、それは頼みではありません ——★ 相手に考えさせています。 ★ 「代わりの品を金曜までに」と書くほうが、早く片づきます。 ★ 怒りの語を消したとき。 ★ 短くなったはずです。 ★ そして、 言いたいことは何も減っていない ことに気づきます。 ★ 怒りの語は、 相手に伝わる情報を一つも増やしていません 。 ★ 主語を変えたとき。 ★ 「あなたが」を消すと、 文が弱くなった ように感じます。 ★ けれども、読む相手にとっては 受け取りやすくなっています 。 ★ 強さと、効きめは別 です。 ★ 期限が入ったか。 ★ 入れると、苦情が 仕事の依頼 に変わります。 ★ 11.2 商編 で置いた「期限の無い依頼は予定に入らない」が、ここでも効きます ——★ 期限の無い苦情も、予定に入りません。 参考文献 Tatoeba 文 #1682992(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/1682992 Tatoeba 文 #55155(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/55155 Tatoeba 文 #282932(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/282932 Tatoeba 文 #264378(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/264378 Tatoeba 文 #36257(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/36257 Tatoeba 文 #1312866(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/1312866 Tatoeba 文 #245247(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/245247 Tatoeba 文 #8965341(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/8965341 Tatoeba 文 #9149398(CC BY 2.0 FR)。https://tatoeba.org/en/sentences/show/9149398