8.173 ピンを作る十八の仕事 — 数に出どころを付ける — Epoché
この篇でできるようになること ★ 数に出どころを付ける 書き方が読める。 ★ 例をわざと小さく選ぶ 理由が分かる。 ★ 割り戻して比べる 手が使える。 ★ 十八世紀の文体 (長い一文・セミコロン)が追える。 前提 : 8.172 まで。 読む前に ★ 8.172 読編 まで、 出どころの無い数 を四篇続けて見ました。 ★ この篇は、 その正面の対 です。 どちらの書き手か 数をどう出すか ★ テイラー ( 8.169 読編 〜 8.172 読編 ) ★ 五万人・二倍。どこで数えたかは書かない ★ スミス (この篇) ★ 「私は小さな工場を見た。十人だった」と書く ★ どちらが正しいかではありません。 ★ どちらが 確かめられるか です( 8.164 読編 )。 ★ もう一つ、 文体が変わります 。 ★ 十八世紀の英語は、 一文が長く、セミコロンで節を継いで いきます ( 3.45 型編 )。★ 3.34 型編 の手順で切ってください。 原文 原文は別の文書にあります(作品ページの「原文」)。本文は 1448 語、文は 39 本、一文の平均は 37.1 語、いちばん長い一文は 107 語です。 ★ 一文の平均が 37.1 語 ——★ 8.172 読編 より 長い です。 ★ division of labour が 7 回 出ます。 全訳 原文の全訳です。この課程のために、原文に沿って訳しました。番号は原文の段落の番号で、原文と行き来できます。 労働の生産力のもっとも大きな向上と、労働がどこであれ向けられ、用いられるときの技能、手際のよさ、判断力の大部分は、分業の結果であったように思われます。社会の一般の仕事における分業の結果は、いくつかの特定の製造業で分業がどのように働いているかを考えてみれば、もっとたやすく理解できるでしょう。分業は、ごく取るに足りない製造業でいちばん進んでいると一般に考えられています。それは、もっと重要な他の製造業よりも、そうした製造業で実際に分業がさらに進んでいるからではおそらくありません。そうではなく、ほんの少数の人々のささやかな必要を満たすよう向けられた取るに足りない製造業では、働き手の総数はどうしても少なくならざるをえません。そのため、仕事のそれぞれ異なる部門で雇われている人々を、しばしば同じ仕事場に集め、見る人の目の前に一度に置くことができるのです。 反対に、大多数の人々の大きな必要を満たすよう向けられた大きな製造業では、仕事のそれぞれ異なる部門がそれほど多くの働き手を雇っているので、その全員を同じ仕事場に集めることはできません。私たちが一度に見られるのは、たいてい一つの部門で雇われている人々だけです。ですから、そうした製造業では、もっと取るに足りない性質の製造業よりも、仕事が実際にははるかに多くの部分に分けられているかもしれないのに、その分業はそれほどはっきりとは見えず、そのため、ずっと気づかれずにきたのです。 そこで、ごく取るに足りない製造業ではあるけれども、分業がたいへんしばしば注目されてきたものから例をとりましょう。ピン作りの仕事です。この仕事(分業がこれを一つの別個の職業にしたのです)の教育を受けておらず、そこで用いられる機械(その発明のきっかけを与えたのも、おそらく同じ分業でしょう)の使い方も知らない働き手は、精いっぱい励んでも、一日にピンを一本作ることさえおそらくやっとで、二十本はとても作れないでしょう。けれども、この仕事がいま営まれているやり方では、仕事全体が一つの特別な職業であるだけでなく、それがいくつもの部門に分けられていて、その大部分もまた同じく特別な職業なのです。ある人は針金を引き伸ばし、別の人はそれをまっすぐにし、三人めはそれを切り、四人めはそれをとがらせ、五人めは頭を付けるためにその先端を研ぎます。頭を作るには二つか三つの別個の作業が要ります。頭を付けるのは一つの特別な仕事で、ピンを白く磨くのはまた別の仕事です。ピンを紙に刺すことさえ、それだけで一つの職業なのです。こうして、ピンを作るという重要な仕事は、およそ十八の別個の作業に分けられています。それらはある製造所ではすべて別々の人の手で行われますが、別の製造所では同じ人がときに二つか三つを行うこともあります。私はこの種の小さな製造所を見たことがあります。そこではわずか十人しか雇われておらず、そのため何人かは二つか三つの別個の作業を行っていました。けれども、彼らはたいへん貧しく、そのため必要な機械もろくに備えていませんでしたが、精を出せば、みなで一日におよそ十二ポンドのピンを作ることができました。一ポンドには中くらいの大きさのピンが四千本以上あります。ですから、この十人は、みなで一日に四万八千本以上のピンを作ることができたのです。したがって、一人あたり四万八千本の十分の一を作っていたのですから、一人が一日に四千八百本のピンを作っていたとみなすことができるでしょう。けれども、もし彼らがみな別々に、それぞれ独立して働き、しかもだれ一人としてこの特別な仕事の教育を受けていなかったなら、きっと一人で一日に二十本も作れず、おそらく一本も作れなかったでしょう。つまり、それぞれの異なる作業を適切に分け、組み合わせた結果として彼らがいまなしうることの、きっと二百四十分の一も、おそらく四千八百分の一もなしえなかったでしょう。 他のどの技術や製造業でも、分業の結果は、このごく取るに足りない製造業での結果と似ています。もっとも、その多くでは、労働をこれほど細かく分けることも、作業をこれほど単純にすることもできません。けれども分業は、それを取り入れられるかぎり、どの技術においても、それに見合った労働の生産力の増加を引き起こします。さまざまな職業や仕事が互いに分かれたのは、この利点の結果であったように思われます。この分離もまた、一般に、勤労と改良の度合いがもっとも高い国々でいちばん進んでいます。未開な社会の状態で一人の仕事であるものが、改良された社会では一般に数人の仕事になっているのです。どの改良された社会でも、農夫は一般に農夫でしかなく、製造業者は製造業者でしかありません。また、何か一つの完成した製品を作るのに必要な労働も、ほとんどいつも非常に多くの人の手に分けられています。亜麻や羊毛の作り手から、亜麻布をさらし、ならす職人、あるいは毛織物を染め、仕上げる職人に至るまで、亜麻布と毛織物の製造業のそれぞれの部門で、なんと多くの異なる職業が使われていることでしょう。たしかに、農業の性質は、製造業ほど多くの労働の細分も、一つの仕事と別の仕事との完全な分離も許しません。牧畜を営む人の仕事を穀物を作る農夫の仕事から、大工の職業がふつう鍛冶屋の職業から分けられているほどすっかり分けることはできません。紡ぐ人はほとんどいつも織る人とは別人です。けれども、鋤で耕す人、まぐわでならす人、種をまく人、穀物を刈り取る人は、しばしば同じ人です。こうしたさまざまな種類の労働の機会は一年の季節がめぐるごとに戻ってくるので、一人の人がそのどれか一つにいつも雇われていることはできません。農業で用いられる労働のさまざまな部門をすべて、これほど完全にすっかり分けることができないということが、おそらく、この技術における労働の生産力の向上が、製造業での向上といつも足並みをそろえるとはかぎらない理由なのでしょう。たしかに、もっとも富んだ国々は、一般に、製造業でも農業でも近隣のすべての国にまさっています。けれども、ふつうそれらの国々は、農業よりも製造業でのまさり方でいっそう際立っています。その土地は一般によりよく耕されており、より多くの労働と費用がかけられているので、土地の広さと自然の肥沃さに比べて、より多くを産み出します。けれども、この産物のまさりは、労働と費用のまさりに見合う分よりずっと多いことはめったにありません。農業では、富んだ国の労働が貧しい国の労働よりもずっと生産的であるとはかぎりません。少なくとも、製造業でふつうそうであるほどずっと生産的であることは決してありません。ですから、富んだ国の穀物は、同じ品質であれば、貧しい国の穀物よりもいつも安く市場に出るとはかぎりません。ポーランドの穀物は、同じ品質であれば、フランスの穀物と同じくらい安いのです。フランスのほうがまさって富み、改良されているにもかかわらずです。フランスの穀物は、穀物を作る地方では、イングランドの穀物とまったく同じくらいよく、たいていの年にはほぼ同じ値段です。富と改良の点では、フランスはおそらくイングランドに劣っているのですが。それでも、イングランドの穀物畑はフランスの穀物畑よりもよく耕されており、フランスの穀物畑はポーランドの穀物畑よりもずっとよく耕されていると言われています。けれども、貧しい国は、耕作が劣っているにもかかわらず、穀物の安さとよさではある程度まで富んだ国と張り合うことができますが、製造品ではそのような競争をとうてい望めません。少なくとも、その製造業が富んだ国の土壌や気候や位置に合っている場合にはそうです。フランスの絹織物はイングランドのものよりもよく、しかも安いのです。絹の製造業は、少なくとも生糸の輸入にいまかけられている高い関税のもとでは、フランスの気候ほどにはイングランドの気候に合っていないからです。けれども、イングランドの金物と粗い毛織物は、フランスのものとは比べものにならないほどまさっており、同じ品質であれば、ずっと安くもあります。ポーランドには、どんな種類の製造業もほとんどないと言われています。ただし、それなしにはどんな国もうまく暮らしてゆけない、いくつかのより粗い家内の製造業は別です。 語釈 帯の外の語は 61 語です。★ dexterity (手際)・ workhouse (仕事場)・ subdivisions (さらに細かい分け方)が要 です。★ trifling は 「取るに足りない」 ——★ 例を選ぶ理由に関わります。 語(品詞) 意味 注 England en 名 イングランド France en 名 フランス Poland en 名 ポーランド acquainted en 形 (使い方を)よく知っている( acquainted with ) After years of working together, the two clerks became well acquainted friends. 何年も一緒に働くうちに、その二人の事務員はすっかり知り合いの友人になりました。 bestowed en 動 授けた The old king bestowed a small parcel of land on his most loyal knight. 老王は、最も忠実な騎士に小さな土地を授けました。 bleachers en 名 布をさらす職人たち The bleachers along the river spread wet cloth out to whiten in the sun. その川沿いの布をさらす職人たちは、太陽の下で白くするため濡れた布を広げました。 carpenter en 名 大工 The old carpenter repaired the broken chair in a single quiet afternoon. その老いた大工は、静かな午後一回でその壊れた椅子を直しました。 cheapness en 名 安さ The cheapness of the local wool attracted buyers from every neighboring town. 地元の羊毛の安さは、近隣のあらゆる町から買い手を引きつけました。 cloth en 名 布 The merchant unrolled a bolt of fine cloth across the wooden counter. 商人は、上質な布の反物を木のカウンターに広げました。 coarse en 形 粗い The traveler's coarse blanket offered little warmth on the cold mountain night. その旅行者の粗い毛布は、寒い山の夜にほとんど暖かさを与えませんでした。 coarser en 形 より粗い The second batch of wool proved noticeably coarser than the first. 二回目の羊毛の束は、最初のものよりも明らかにより粗いものでした。 cultivated en 動 耕した The old farmer cultivated the same small field for nearly fifty years. その老農夫は、ほぼ五十年もの間同じ小さな畑を耕しました。 cultivation en 名 栽培 The old farmer devoted his whole life to the careful cultivation of flax. 老農夫は生涯を、亜麻を注意深く栽培することに捧げました。 destined en 形 〜に向けられた The old ship was destined for a distant port none of the sailors knew. その古い船は、船員の誰も知らない遠い港に向けられていました。 dexterity en 名 手際のよさ Years of practice gave the young weaver remarkable dexterity at the loom. 何年もの練習は、その若い織り手に機織り機での驚くべき手際のよさを与えました。 dressers en 名 布を仕上げる職人たち The dressers worked long hours smoothing the rough cloth before it was sold. 布を仕上げる職人たちは、それが売られる前に粗い布をならすため長時間働きました。 dyers en 名 染め職人(複数) The dyers along the river turned the water blue with their bright indigo v