8.61 ピーターラビット — 絵が語ることは、文が言わない — Epoché
この篇でできるようになること ★ 絵に任せているところ を見つけられる。 音のことば(擬音語)が英語にもあることを知る。 短い文で書かれた物語の速さを味わえる。 帯の外の語を、語釈を見ながら読み通せる。 前提 : 8.60 まで。型は 3.24 まで。語は 4.36 まで。 読む前に ビアトリクス・ポター( Beatrix Potter 、1866〜1943)はイギリスの絵本作家です。この話はもともと、 病気の子どもに送った手紙 でした。絵と文が、はじめから一緒にありました。 そして、この篇には 絵がありません 。文だけを読みます。読んでいて「よく分からない」と感じたところがあれば、 そこが絵に任せられていた ところです。 固有名詞 何を指すか Peter ピーター。いたずらな子うさぎ Flopsy フロプシー。姉妹の一人 Mopsy モプシー。姉妹の一人 Cotton-tail カトンテール。姉妹の一人 Mr. McGregor マグレガーさん。畑の持ち主 原文 原文は別の文書にあります(作品ページの「原文」)。全部で 970 語、段落は 36 つ、文は 55 本です。 一文あたり 17.6 語 ——読 C でいちばん短い文です。 Once upon a time there were four little Rabbits, and their names were-- まず 最後まで通して 読んでください。短い文が続くので、思ったより速く読めるはずです。 全訳 原文の全訳です。この課程のために、原文に沿って訳しました。番号は原文の段落の番号で、原文と行き来できます。 むかしむかし、四ひきの小さなうさぎがいました。その名前は―― フロプシー、モプシー、カトンテール、そしてピーターです。 うさぎたちは、とても大きなもみの木の根の下の砂の土手で、お母さんと一緒に暮らしていました。 「さあ、おまえたち」と、ある朝、年とったうさぎのお母さんが言いました。「野原へ行っても、小道を下って行ってもいいけれど、マグレガーさんの畑には行ってはいけませんよ。おまえたちのお父さんはあそこで事故にあったの。マグレガーさんの奥さんにパイにされてしまったのよ」 「さあ、行っておいで。いたずらをしてはいけませんよ。お母さんは出かけてきます」 それから年とったうさぎのお母さんは、かごとかさを持って、森を通ってパン屋さんへ行きました。そして黒パンを一斤と、干しぶどう入りの丸パンを五つ買いました。 フロプシーとモプシーとカトンテールは、よい子うさぎだったので、小道を下ってブラックベリーをつみに行きました。 けれどもピーターは、とてもいたずらだったので、まっすぐマグレガーさんの畑へかけて行き、門の下をくぐりぬけました! まずレタスを少しと、さやいんげんを少し食べました。それからはつかだいこんを少し食べました。 それから、少し気分が悪くなったので、パセリを探しに行きました。 ところが、きゅうりの温床の端を回ったところで、だれに出くわしたかといえば、なんとマグレガーさんでした! マグレガーさんは四つんばいになって、キャベツの苗を植えているところでしたが、とび上がってピーターを追いかけてきました。くまでを振り回しながら、「待て、どろぼう!」とさけんでいます。 ピーターはひどくひどくこわくなりました。門へ戻る道を忘れてしまったので、畑じゅうをかけ回りました。 ピーターはキャベツの間でくつを片方なくし、もう片方のくつはじゃがいもの間でなくしました。 くつをなくしてからは、四本の足で走ったので速くなりました。ですから、運悪くすぐりの木にかけた網に飛びこんで、上着の大きなボタンが引っかかってしまわなければ、すっかり逃げきれていたかもしれないと私は思います。それは真ちゅうのボタンのついた青い上着で、まだ新しいものでした。 ピーターはもうだめだとあきらめて、大つぶの涙をこぼしました。けれども、そのすすり泣きを親切なすずめたちが聞きつけて、ひどくあわててピーターのところへ飛んで来て、がんばってと頼みました。 マグレガーさんがふるいを持ってやって来ました。それをピーターの上からかぶせるつもりだったのです。けれどもピーターはちょうど間に合って身をくねらせて抜け出し、上着を後に残していきました。 そして道具小屋にかけこんで、じょうろの中に飛びこみました。中に水があんなにたくさん入っていなければ、かくれるにはすばらしい場所だったでしょう。 マグレガーさんは、ピーターがきっと道具小屋のどこかにいる、たぶん植木ばちの下にかくれているのだろうと思いました。そこで植木ばちを注意深くひっくり返しはじめ、一つ一つの下をのぞきました。 やがてピーターがくしゃみをしました――「ケルチスクー!」マグレガーさんはあっという間にピーターを追いかけてきました。 そしてピーターをふみつけようとしましたが、ピーターは窓から飛び出して、鉢植えを三つひっくり返しました。窓はマグレガーさんには小さすぎましたし、マグレガーさんはピーターを追いかけるのにくたびれてしまいました。それで仕事に戻っていきました。 ピーターは座って休みました。息は切れ、こわくて震えていて、どちらへ行けばいいのかまるで見当もつきませんでした。それに、あのじょうろの中に入っていたので、ずいぶんぬれていました。 しばらくすると、ピーターはあちこち歩き回りはじめました。ぴょこ、ぴょこと、あまり速くなく、まわりをきょろきょろ見ながら進みました。 塀に戸が一つ見つかりました。けれども鍵がかかっていて、太った小さなうさぎがくぐりぬけられるすき間はありませんでした。 年とったねずみが一ぴき、石の戸口の段を出たり入ったりして、森にいる家族のところへえんどう豆やそら豆を運んでいました。ピーターは門へ行く道を尋ねましたが、ねずみは大きな豆を口にくわえていたので答えられませんでした。ただピーターに向かって首を横に振っただけでした。ピーターは泣きだしてしまいました。 それからピーターは、畑をまっすぐ横切って道を見つけようとしましたが、ますます分からなくなってしまいました。やがて、マグレガーさんがじょうろに水をくむ池のところへ出ました。白いねこが金魚をじっと見つめていました。ねこはとてもとても静かに座っていましたが、ときどきしっぽの先が、まるで生きているかのようにぴくっと動きました。ピーターは、話しかけずに立ち去るのがいちばんだと思いました。いとこの小さなベンジャミン・バニーから、ねこのことを聞いていたのです。 ピーターは道具小屋のほうへ戻りかけましたが、突然すぐ近くで、くわの音が聞こえました――ガリガリ、ガリッ、ガリッ、ガリガリ。ピーターはしげみの下にちょこちょこと逃げこみました。けれども、しばらくしても何も起こらなかったので、外へ出て、手押し車によじ登って向こうをのぞきました。まず目に入ったのは、たまねぎ畑をくわで耕しているマグレガーさんでした。マグレガーさんはピーターに背中を向けていて、その向こうに門があったのです! ピーターはそっと手押し車から下りて、黒すぐりのしげみの裏のまっすぐな小道を、力いっぱい走りだしました。 マグレガーさんは角のところでピーターを見つけましたが、ピーターはかまいませんでした。門の下をすりぬけて、とうとう畑の外の森へ逃げこみ、助かったのです。 マグレガーさんは、小さな上着とくつを、くろうたどりをおどかすかかしにつるしました。 ピーターは、大きなもみの木の家に着くまで、走るのをやめず、後ろを振り返りもしませんでした。 ピーターはとても疲れていたので、うさぎ穴の床のやわらかい気持ちのよい砂の上にばったりとたおれこみ、目をつぶりました。お母さんは料理でいそがしくしていましたが、ピーターは服をどうしたのかしらと思いました。ピーターが二週間のうちに小さな上着とくつをなくしたのは、これで二度めだったのです! 残念なことに、その晩ピーターはあまり具合がよくありませんでした。 お母さんはピーターを寝かせて、カモミールのお茶をいれました。そしてそれを一服、ピーターに飲ませました! 「寝るときに大さじ一杯飲むこと」 けれどもフロプシーとモプシーとカトンテールは、夕ごはんにパンとミルクとブラックベリーを食べました。 語釈 帯の外の語は 105 語で、読 C でいちばん多い篇です。ただし、そのうち 名前と音のことばが三十語ほど あります。覚える語は見た目より少ないので、 止まらずに読んで ください。 語(品詞) 意味 注 Benjamin en 名 ベンジャミン。ピーターのいとこ Bunny en 名 バニー。ベンジャミンの姓 Cotton en 名 カトン。 Cotton-tail (カトンテール)の一部 Cottontail en 名 カトンテール。姉妹の一人 Flopsy en 名 フロプシー。姉妹の一人 French en 形 フランスの My grandmother grows French beans in her garden every year. 祖母は毎年庭でフランスいんげんを育てています。 Kertyschoo en 間 はくしょん。くしゃみの音 The kitten sneezed loudly, 'Kertyschoo!', and hid under the blanket. 子猫は「ケルチスクー!」と大きな音でくしゃみをして、毛布の下に隠れました。 Mopsy en 名 モプシー。姉妹の一人 Mr en 名 〜さん Mr Johnson waters his tomatoes every morning before breakfast. ジョンソンさんは毎朝朝食前にトマトに水をやります。 Mrs en 名 〜さん(既婚の女性) Mrs Green baked a cherry pie for the school fair. グリーンさんは学校のバザーのためにさくらんぼのパイを焼きました。 Peter en 名 ピーター Rabbits en 名 うさぎ(複数) Wild rabbits nibbled the clover along the garden fence. 野生のうさぎたちは庭のフェンス沿いのクローバーをかじっていました。 altogether en 副 すっかり The plan sounded altogether too dangerous for young children. その計画は幼い子どもたちにはすっかり危険すぎるように聞こえました。 amongst en 前 〜の中に The fox hid amongst the tall grass by the river. きつねは川のそばの背の高い草の中に隠れました。 baker's en 名 パン屋(の店) She bought a fresh loaf at the baker's this morning. 彼女は今朝パン屋で焼きたてのパンを買いました。 basket en 名 かご She carried a basket full of ripe apples home. 彼女は熟したりんごでいっぱいのかごを家に持ち帰りました。 beans en 名 豆(複数) He planted rows of beans behind the old barn. 彼は古い納屋の裏に豆を何列も植えました。 blackberries en 名 きいちご(複数) We picked wild blackberries along the hedge last summer. 私たちは去年の夏、生垣沿いで野生のきいちごを摘みました。 blackbirds en 名 くろうたどり(複数) Blackbirds sang loudly in the trees at dawn. くろうたどりたちは夜明けに木々の中で大きな声で鳴きました。 brass en 名 真鍮(しんちゅう) The old lock was made of shining brass. その古い錠前は光る真鍮で作られていました。 bread en 名 パン She sliced the warm bread and spread butter on it. 彼女は温かいパンを切ってバターを塗りました。 bunnies en 名 うさぎ(複数) Two bunnies hopped across the meadow at sunrise. 二匹のうさぎが夜明けに草原を跳びはねて渡りました。 buns en 名 丸パン(複数) The bakery sold warm buns fresh from the oven. パン屋は焼きたての温かい丸パンを売っていました。 bushes en 名 低木(複数) The cat hid behind the thick garden bushes. その猫は庭の茂った低木の後ろに隠れました。 buttons en 名 ボタン(複数) She sewed new buttons onto her winter coat. 彼女は冬用のコートに新しいボタンを縫い付けました。 cabbages en 名 キャベツ(複数) The farmer grew large cabbages in his field. その農夫は畑で大きなキャベツを育てました。 camomile en 名 カモミール。薬草茶にする Her mother made a cup of soothing camomile tea. 彼女の母親は心を落ち着かせるカモミールティーを一杯淹れました。 cousin en 名 いとこ My cousin visits our farm every summer holiday. 私のいとこは毎年夏休みに私たちの農場を訪れます。 crow en 名 scare-crow =かかし の後半 A crow perched on the fence and watched us. 一羽のからすがフェンスにとまって私たちを見ていました。 cucumber en 名 きゅうり She sliced a cool cucumber for the salad. 彼女はサラダのために冷たいきゅうりを切りました。