3.21 対比と並列 — 二つの文を対等に置く — Epoché
この 課 か でできるようになること 二 ふた つのことを、 並べ ならべ たり 対立 たいりつ させたりできる。 四 よん つの 接続 せつぞく の 語 ご を、 強 つよ さと 置き おき 場所 ばしょ で 使い分け つかいわけ られる。 否定 ひてい を 重ねる かさねる 言い いい 方 かた を 作れる つくれる 。 前提 ぜんてい : 3.20(もう 一 ひと つの 関係 かんけい 節 せつ )。 ここまでの 三 さん 課 か は、 文 ぶん が 文 ぶん の 部品 ぶひん になる 型 かた でした。この 課 か は 違い ちがい ます。 対等 たいとう な 二 ふた つの 文 ぶん を 並べる ならべる 型 かた です。 本 ほん 課程 かてい が 測っ はかっ たところ、この 型 かた は 散文 さんぶん の 十 じゅう 文 ぶん に 一 いち 文 ぶん に 出 で ます。 会話 かいわ の 池 いけ では 百 ひゃく 文 ぶん に 一 いち 文 ぶん しか 出 で ないので、これも 読む よむ ための 型 かた です。ただし 話す はなす ときにも 要り いり ます。 けれども、と 言え いえ ないと、 意見 いけん が 言え いえ ない からです。 型 かた の 骨格 こっかく — 四 よん つの 語 ご と、その 強 つよ さ 並べる ならべる 語 ご は 四 よん つあります。 表 ひょう は 四 よん 行 ぎょう です。 左 ひだり が 語 ご 、 真ん中 まんなか が 強 つよ さ、 右 みぎ が 置き おき 場所 ばしょ です。 語 ご どのくらい 強く つよく 対立 たいりつ させるか どこに 置く おく か και 対立 たいりつ させない。ただ 並べる ならべる 二 ふた つの 文 ぶん のあいだ αλλά はっきり 対立 たいりつ させる。いちばん 強い つよい 後ろ うしろ の 文 ぶん の 頭 あたま όμως やわらかく 対立 たいりつ させる 頭 あたま でも、 文 ぶん の 途中 とちゅう でもよい ενώ 二 ふた つを 並べ ならべ て 対比 たいひ する 後ろ うしろ の 文 ぶん の 頭 あたま 。 節 ふし を 導く みちびく 二 ふた つ 目 め と 三 みっ つ 目 め の 違い ちがい が、この 課 か でいちばん 役 やく に 立つ たつ ところです。 強い つよい ほうは 後ろ うしろ の 文 ぶん の 頭 あたま にしか 置け おけ ません が、やわらかいほうは 文 ぶん の 途中 とちゅう に 差し込め さしこめ ます 。 日本 にっぽん 語 ご の「しかし」と「けれども」の 差 さ に 近い ちかい 。 四 よん つ 目 め は 少し すこし 性質 せいしつ が 違い ちがい ます。 節 ふし を 導く みちびく 語 ご なので、あとに 文 ぶん がまるごと 続き つづき ます。 夏 なつ には 人 ひと が 来る くる 、 一方 いっぽう で 冬 ふゆ には 誰 だれ も 来 こ ない——この 一方 いっぽう で にあたります。 日本 にっぽん 語 ご ならどう 言う ゆう か 日本 にっぽん 語 ご は、この 働き はたらき を 接続 せつぞく 助詞 じょし で 果たし はたし ます。〜が、〜けれど、〜のに。 動詞 どうし の 後ろ うしろ に 付ける つける ので、 前 まえ の 文 ぶん の 末尾 まつび で 対立 たいりつ が 示さ しめさ れます 。 ギリシア 語 ご は 逆 ぎゃく で、 後ろ うしろ の 文 ぶん の 頭 あたま で 示し しめし ます 。だから 聞く きく ときに、 対立 たいりつ が 来る くる ことを あとから 知る しる ことになります。 日本 にっぽん 語 ご なら「〜が」を 聞い きい た 時点 じてん で 身構え みがまえ られますが、ギリシア 語 ご では 前 まえ の 文 ぶん を 聞き きき 終え おえ てからです。 これは 慣れ なれ の 問題 もんだい ですが、 一 ひと つ 利点 りてん があります。 前 まえ の 文 ぶん が 独立 どくりつ して 成り立っ なりたっ ている ことです。 日本 にっぽん 語 ご の「〜が」で 終わる おわる 文 ぶん は、それだけでは 終わっ おわっ ていません。ギリシア 語 ご では 前 まえ の 文 ぶん が 完結 かんけつ しているので、 途中 とちゅう で 聞き逃し ききのがし ても、 前半 ぜんはん は 取れ とれ ます 。 もう 一 ひと つ、 日本 にっぽん 語 ご 話者 わしゃ が 驚く おどろく ところがあります。 ギリシア 語 ご は 否定 ひてい を 重ね かさね ます。 誰 だれ も 来 こ なかった、と 言う いう ときに、 否定 ひてい の 語 ご と 誰 だれ も にあたる 語 ご の 両方 りょうほう が 否定 ひてい の 形 かたち です。 日本 にっぽん 語 ご も「 誰 だれ も 来 こ なかった」と 二 に 重 じゅう ですから、 実 じつ は 同じ おなじ 発想 はっそう です。 英語 えいご だけがここでずれます。 実 じつ 文 ぶん で 確かめる たしかめる 十 じゅう 文 ぶん あります。 訳 わけ は 本 ほん 課程 かてい で 起こし おこし た 日本 にっぽん 語 ご です。 文 ぶん 訳 わけ 見る みる ところ Είμαι καλύτερη από εσένα. [1] 私 わたくし はあなたより 優れ すぐれ ています。 比べる くらべる 形 かたち 。 対立 たいりつ の 語 ご はまだ 無い ない Έχεις τίποτα πιο φτηνό; [2] もっと 安い やすい ものはありますか。 2.11 の 比べる くらべる 形 かたち Ενώ εσύ ξέρεις; [3] それであなたは 知っ しっ ているのですか。 対比 たいひ の 語 ご が 文 ぶん の 頭 あたま に 立っ たっ ている Κι εσύ φεύγεις; [4] あなたも 行く いく のですか。 ただ 並べる ならべる 語 ご 。 強め つよめ の 働き はたらき もする Όλοι μίλησαν. [5] みんな 話し はなし ました。 全部 ぜんぶ を 表す あらわす 語 ご 。 否定 ひてい と 組む くむ と 変わる かわる Κανείς δε μίλησε. [6] 誰 だれ も 話し はなし ませんでした。 否定 ひてい を 重ねる かさねる 形 かたち 。 二 ふた つとも 否定 ひてい になる Δε ρώτησε κανείς. [7] 誰 だれ も 尋ね たずね ませんでした。 同じ おなじ 組み立て くみたて 。 動詞 どうし が 変わっ かわっ ただけ Κανείς δε θα φύγει. [8] 誰 だれ も 去ら さら ないでしょう。 未来 みらい でも 否定 ひてい は 重ねる かさねる Δεν υπάρχει κανείς; [9] 誰 だれ もいないのですか。 問い とい の 形 かたち でも 重ねる かさねる Δεν υπάρχει κανένα. [10] 一 ひと つもありません。 物 もの についての 否定 ひてい 。 形 かたち が 変わる かわる 六 むい つ 目 め から 十 じゅう 番 ばん 目 め までを 続け つづけ て 聞い きい てください。 五 いつ つとも 否定 ひてい が 二 に 重 じゅう になっています。 否定 ひてい の 語 ご と、 誰 だれ も か 一 ひと つも にあたる 語 ご 。 日本 にっぽん 語 ご の 訳 わけ もどれも 二 に 重 じゅう です。 ここは 日本 にっぽん 語 ご とギリシア 語 ご が 同じ おなじ で、 英語 えいご だけが 違う ちがう —— 日本 にっぽん 語 ご 話者 わしゃ が 得 とく をするところです。 よくある 誤り あやまり 誤り あやまり その 一 いち 、 強い つよい ほうを 文 ぶん の 途中 とちゅう に 置く おく 。 置け おけ ません。 途中 とちゅう に 差し込める さしこめる のはやわらかいほうだけ です。 誤り あやまり その 二 に 、 否定 ひてい を 一 ひと つで 済ま すま せる。 英語 えいご を 学ん まなん だ 人 ひと がやりがちです。 誰 だれ も、 一 ひと つも、 決して けっして ——これらの 語 ご は 否定 ひてい の 語 ご と 一緒 いっしょ に 使い つかい ます。 誤り あやまり その 三 さん 、 日本 にっぽん 語 ご の 順 じゅん で 組み立てる くみたてる 。 前 まえ の 文 ぶん の 末尾 まつび に 対立 たいりつ を 置こう おこう とする 誤り あやまり です。 ギリシア 語 ご では 後ろ うしろ の 文 ぶん の 頭 あたま です。 広げる ひろげる — 対比 たいひ は 文章 ぶんしょう の 骨 ほね になる この 課 か の 型 かた は、 説明 せつめい 文 ぶん の 骨組み ほねぐみ そのもの です。 7.10 のエーゲ 海 かい の 篇 へん を 思い出し おもいだし てください。 食べ物 たべもの は 似 に ているが 皿 さら が 違う ちがう 。ことばは 同じ おなじ だが 語 ご が 違う ちがう 。 家 いえ は 白い しろい が 扉 とびら の 色 いろ が 違う ちがう 。 三 みっ つの 対句 ついく が、 全部 ぜんぶ この 型 かた でできていました。 7.11 のアテネの 篇 へん も 同じ おなじ です。この 町 まち は 美しく うつくしく ない、けれども 生きる いきる ための 町 まち だ。 先 さき に 悪く わるく 言っ いっ ておいて 裏返す うらがえす という 手 て も、 対立 たいりつ の 語 ご があってはじめて 成り立ち なりたち ます。 だから、この 課 か の 四 よん 語 ご は 読む よむ ためだけでなく、 書く かく ためにも 要り いり ます 。8.8 で 意見 いけん 文 ぶん を 書き かき ますが、 意見 いけん とは あるものを 別 べつ のものと 比べ くらべ て 言う いう こと です。 対比 たいひ の 語 ご なしには、 意見 いけん は 言え いえ ません。 もう 一 ひと つ、ただ 並べる ならべる 語 ご について 書い かい ておきます。 この 語 ご には、 並べる ならべる 以外 いがい の 働き はたらき が 二 ふた つあります。 一 ひと つは 強め つよめ で、あなたも、 私 わたくし も、というときの も にあたります。もう 一 ひと つは「そして」で、 出来事 できごと を 順 じゅん に 並べる ならべる ときに 使い つかい ます。 物語 ものがたり ではこの 三 みっ つ 目 め の 働き はたらき がよく 出 で ます。 来 き た、そして 言っ いっ た、そして 出 で ていった。 7.7 のうさぎとかめでも、この 語 ご が 段落 だんらく を 進め すすめ ていました。 いちばん 軽い かるい 接続 せつぞく の 語 ご が、いちばんよく 出る でる ——これはどの 言語 げんご でも 同じ おなじ です。 そして 口語 こうご では、この 語 ご が 縮ん ちぢん で 一 いち 音 おん になることがあります。 書く かく ときは 元 もと の 形 かたち で 書き かき ますが、 聞く きく ときは 縮ん ちぢん だ 形 かたち で 来る くる 。 6.8 の 速い はやい 口語 こうご の 課 か で、この 縮約 しゅくやく をまとめて 扱い あつかい ます。 練習 れんしゅう 練習 れんしゅう 1 — どの 語 ご を 使う つかう か 次 つぎ の 場面 ばめん では、 四 よん つのどれを 使い つかい ますか。 答え こたえ はこの 課 か の 最後 さいご にあります。 二 ふた つのことをただ 並べる ならべる 強く つよく はっきり 対立 たいりつ させる 文 ぶん の 途中 とちゅう でやわらかく 断る ことわる 夏 なつ と 冬 ふゆ を 並べ ならべ て 対比 たいひ する 練習 れんしゅう 2 — 否定 ひてい を 重ねる かさねる 次 つぎ の 日本 にっぽん 語 ご で、ギリシア 語 ご では 否定 ひてい がいくつになりますか。 誰 だれ も 来 こ なかった 何 なん もない 一 いち 度 ど も 行っ いっ ていない あの 人 ひと は 来 こ なかった 練習 れんしゅう 3 — 音読 おんどく 実 じつ 文 ぶん の 十 じゅう 文 ぶん を、 音声 おんせい のあとについて 声 こえ に 出し だし てください。 六 むい つ 目 め から 十 じゅう 番 ばん 目 め までを 続け つづけ て 読む よむ こと 。 否定 ひてい の 語 ご が 二 ふた つずつ 鳴り なり ます。 二 ふた つ 目 め のほうを 落とさ おとさ ないでください。 この 課 か のまとめ 並べる ならべる 語 ご は 四 よん つ。 ただ 並べる ならべる 、 強く つよく 対立 たいりつ 、やわらかく 対立 たいりつ 、 並べ ならべ て 対比 たいひ 。 強い つよい ほうは 後ろ うしろ の 文 ぶん の 頭 あたま にしか 置け おけ ない 。やわらかいほうは 途中 とちゅう に 差し込める さしこめる 。 日本 にっぽん 語 ご は 前 まえ の 文 ぶん の 末尾 まつび で、ギリシア 語 ご は 後ろ うしろ の 文 ぶん の 頭 あたま で 対立 たいりつ を 示す しめす 。 だからギリシア 語 ご では 前 まえ の 文 ぶん が 独立 どくりつ して 成り立つ なりたつ 。 聞き逃し ききのがし ても 前半 ぜんはん は 取れる とれる 。 否定 ひてい は 重ねる かさねる 。 日本 にっぽん 語 ご も 同じ おなじ で、 英語 えいご だけがずれる。 対比 たいひ の 語 ご は 説明 せつめ