11.13 相手の段取りを、こちらから聞く — Epoché
★ はじめに断っておきます。 ★ この課は 国民性の話ではありません 。 ★ 「欧米人はこう」という言い方は、 当たらないことが多い です。 ★ ここで扱うのは、 組織の段取りの違い ——★ だれが決めるか、いつ書面にするか です。 この課でできるようになること ★ 口で決めたことを、その日のうちに書ける 。 ★ だれが決めるかを、こちらから聞ける 。 ★ 「持ち帰る」に期日を付けられる 。 ★ 相手の予定の縛りを聞き出せる 。 前提 : 11.12 まで。作は 10.24 まで。論は 9.24 まで。読は 8.192 まで。 場面 ★ 海外の仕入れ先と、初めて取引を始めます。 ★ 打ち合わせは うまくいきました 。 ★ ところが、 二週間たっても何も動きません 。 ★ 理由は、たいてい三つのどれか です。 何が起きているか どうすればよかったか ★ 書面にしていない ★ その日のうちにメールで確かめる ★ 決める人がその場にいなかった ★ だれが決めるかを聞いておく ★ 相手も待っている ★ 次の一手をどちらがやるか決める ★ 三つめが、 いちばん多い です。 ★ 「では、よろしく」で終わると、 両方が相手の連絡を待ちます 。 語彙 ★ 8.189 読編 の往復から、 段取りを決める言い方 を取ります。 その日のうちに、書面にする Please treat this message as our order [1] ★ 「この文を我々の注文として扱ってください」。 ★ 正式な発注書は 添付 で送りつつ、★ メールの本文そのものを 効力のあるもの にしています。 Please confirm that you have received it [1] ★ 「受け取ったことを確かめてください」。 ★ この一行が無いと、 届いたかどうか分かりません 。 どんな形か 何をしているか Please treat this message as … ★ メールに効力を持たせる Please confirm that you have received … ★ 受領を返させる Here is the revised schedule, as agreed ★ 口で決めたことを書き出す ★ 三つめの as agreed が 要 です。 ★ 「話したとおり」と書くと、 違っていれば相手が直します 。 ★ 書かなければ、 違いに気づくのは納品の日 です。 だれが決めるかを、聞く ★ 8.190 読編 の議事録は、 だれが決めたか を毎回書いています。 The chair opened the meeting at 10:00 [2] ★ 議長がいて、 決定の文がある ——★ この二つがある会議は、 その場で決まります 。 聞く言い方 何が分かるか Who signs this off on your side ★ 決める人 What do you need from us to get that approved ★ こちらが出す材料 How long does that usually take ★ かかる日数 ★ 三つとも、 失礼ではありません 。 ★ むしろ、 段取りを分かっている人 として扱われます。 「持ち帰る」に、期日を付ける ★ 日本語の「持ち帰って検討します」は、 そのまま訳すと断りに聞こえます 。 ★ 英語では、 いつ返事をするか を付けます。 どんな形か どう聞こえるか I will take this back to my team ★ それだけだと、断り I will take this back to my team and reply by Friday ★ 段取り I need to check with two people. I can answer on Monday ★ いちばん明快 ★ 3.52 型編 の予定の型がここで効きます ——★ by Friday と on Monday の違い (期限か、その日か)。 日本の商慣習との差 ★ 差は、 速さではありません 。 ★ どちらも時間はかかります。 ★ 違うのは、 時間がどこにかかるか です。 どこに時間がかかるか どちらに多いか ★ 会う前の根回し ★ 日本の組織に多い ★ 会ったあとの書面のやりとり ★ 相手方に多い ★ だから、 日本の側は「会議で決まった」と思い、相手方は「これから詰める」と思います 。 ★ もう一つ、 見積もりの重み が違います。 見積もりをどう見るか 何が起きるか ★ 目安 ★ あとで条件が動く ★ ほぼ契約 ★ 出す前に社内で固める ★ 8.189 読編 の見積もりを見直してください ——★ 値段・納期・保証・支払い条件 が 最初の一通に全部入って います。 ★ あれは、 目安ではありません 。 ★ だから、 こちらが見積もりを出すときも、同じ重さで出す ——★ 「概算です」と付けるなら、 何が動きうるかまで書く 。 やってみる ★ 打ち合わせの直後のメールを書く 。★ 決まったこと三つと、 次にどちらが何をするか を書く。 ★ 八十〜百二十語。 ★ 三つ聞く 。★ だれが決めるか/こちらが出す材料/かかる日数 。★ そのまま使える形で書き出す。 ★ 「持ち帰ります」を三通りに書く 。★ 期日の無い形/期限を付けた形/その日を言う形 。★ どう違って聞こえるかを一行ずつ書く。 ★ 自社の見積もりを一通見る 。★ 値段・納期・保証・支払い条件 のうち、 書いていないもの を挙げる。★ なぜ書いていないかも書く。 動画で見る この課の内容に近い解説動画です。押すと再生されます(再生は YouTube に接続します)。「画面に固定して見る」を押すと、本文を読みながら見られます。 Checking information - 09 - English at Work checks that things are correct BBC Learning English (4:16, 2016) 聞き返して確かめる言い方。11.13 はこれを「相手の段取りを聞く」に使う 練習 「語彙」に引いた三文(注文として扱う/受領の確認/議長)を 続けて音読 する。3 周する。3 周目は音声に重ねて シャドーイング する。 ★ Who signs this off on your side を そらで言えるまで 音読する。 ★ signs off は つなげて 読みます ——★ 1.12 音編 のつながる音です。 ★ 「持ち帰る」の三つの形を 続けて読む 。 ★ 期日の有る形と無い形で、 声の高さが変わる はずです。 この課のまとめ ★ 口で決めたことは、その日のうちに書く 。 as agreed と書けば、違っていれば相手が直す。 ★ Please treat this message as … でメールに効力を持たせる 。 ★ 受領の確認を、こちらから求める 。求めないと、届いたか分からない。 ★ だれが決めるかを、こちらから聞く 。失礼ではなく、段取りを分かっている人として扱われる。 ★ 「持ち帰る」には期日を付ける 。付けないと、断りに聞こえる。 ★ 差は速さではなく、時間のかかる場所 ——会う前か、会ったあとか。 ★ 見積もりの重みが違う 。相手方の見積もりは、値段・納期・保証・支払い条件まで入っている。 ★ 国民性の話にしない 。だれが決めるか、いつ書面にするか——見るのはそこだけ。 次の課へ 次の課は 11.14 、 値段の交渉 です。★ この課で 段取り を置きました。 ★ 次の課は、 中身 です ——★ 値段、支払い条件、そして 値引き以外で動かせるもの 。 答え 「やってみる」の四つの答えです。 ★ 打ち合わせ直後のメールでいちばん大事なのは、 最後の一行 です。 ★ 「次は そちらから 見積もりをいただけますか」 ——★ これが無いと、 両方が待ちます 。 ★ 次の一手を どちらが持つか を必ず書いてください。 ★ 三つ聞くと、 相手の社内の地図 が手に入ります。 ★ とくに二つめ——★ 「承認を取るのにこちらから何を出せばよいか」 ——★ これを聞くと、 相手の側の仕事をこちらが減らせます 。 ★ 減らした分だけ、早く決まります。 ★ 三通りを並べると、 期日の無い形がいちばん丁寧に見える のに いちばん冷たく聞こえる と分かります。 ★ 英語では、 丁寧さは語で作り、誠実さは日付で作ります ( 3.54 型編 )。 ★ 書いていないものは、たいてい 支払い条件 です。 ★ 「別途ご相談」と書いてあることが多い ——★ けれども、 相手はそこを見て資金の計画を立てます 。 ★ 8.192 読編 の契約が支払いに一節まるごと割いているのは、 そこがいちばん揉めるから です。 参考文献 原文の出所: Epoché, "社外メール 12 通の束"。Epoché の作。CC BY 4.0。https://epoche.app/ 原文の出所: Epoché, "会議の議事録と行動項目"。Epoché の作。CC BY 4.0。https://epoche.app/