8.132 笑わせる文章 — ニューイングランドの天気 — Epoché
この篇でできるようになること ★ まじめな口調のまま嘘をつく 手つきが読める。 ★ 誇張に正確な数を入れる 効きめが分かる。 ★ 列挙を加速させる 作りが取れる。 ★ 最後に真顔へ戻る 転調が見える。 前提 : 8.131 まで。型は 3.40 まで。話は 6.39 まで。 読む前に ★ 話題は、天気です。 ★ weather という語が 24 回 出ます。 ★ そして、誇張の印が 24 回 ——★ 「いつも」「すべて」「決して」「何百も」。 ★ 読み方を、先に言っておきます。 ★ この篇は、 声に出して読むと面白さが倍になります 。 ★ もともと、食後に立って話したもの です。 ★ そして、最後の五行で 調子が変わります 。 ★ そこがこの篇の山 です。★ 変わったところに気づけるかどうか、試してみてください。 原文 原文は別の文書にあります(作品ページの「原文」)。本文は 1152 語、文は 48 本、一文の平均は 24.0 語、いちばん長い一文は 86 語です。 書き出しです。 I reverently believe that the Maker who made us all makes everything in New England but the weather. ★ 「私はうやうやしく信じております。われら皆を造られた御方は、ニューイングランドのあらゆるものをお造りになった——天気だけは別として」。 ★ reverently に注意してください ——★ 「うやうやしく」です。 ★ この一語で、 まじめな口調 が決まります。 ★ そして、その口調のまま最後まで行きます。 全訳 原文の全訳です。この課程のために、原文に沿って訳しました。番号は原文の段落の番号で、原文と行き来できます。 私はうやうやしく信じております。われら皆を造られた御方は、ニューイングランドのあらゆるものをお造りになった――天気だけは別として。あれをだれが造っているのかは知りません。しかし思うに、天気係の工場にいる未熟な見習いたちが、ニューイングランドで、食事と服だけをもらって試しに造っては造り方を覚え、それから昇進して、上等の品を求め、手に入らなければよそで買うような国々のために天気を造るのでしょう。ニューイングランドの天気には、よそから来た人が感嘆せずにはいられない――そして嘆かずにはいられない――豪勢な多彩さがあります。あそこの天気は、いつも何かしています。いつも商売に精を出し、いつも新しい意匠を考えては人々に着せてみて、具合を見ています。しかし、ほかのどの季節よりも多くの商売をこなすのは春です。春には、二十四時間のうちに百三十六種類の天気を数えたことがあります。センテニアル博覧会であの見事な天気の収集品を陳列して、外国人たちをたいそう驚かせたあの男の名声と財産を作ってやったのは、この私です。彼は世界じゅうを旅して、あらゆる風土の標本を集めるつもりでいました。私は言いました。「そんなことはおよしなさい。春の、ある都合のよい日にニューイングランドへ来なさい」。そして、様式と多彩さと量の点で我々に何ができるかを話してやりました。さて、彼はやって来て、四日で収集をすませました。多彩さについて言えば、なんと、それまで聞いたこともない天気を何百種類も手に入れたと白状しました。そして量について言えば、そう、少しでも傷のあるものをすべて選り分けて捨てたあとでも、天気は足りたどころか、余りました。貸し出す天気、売る天気、預ける天気、投資する天気、貧しい人に施す天気まであったのです。ニューイングランドの人々は生まれつき辛抱強く寛大ですが、我慢しないこともいくつかあります。毎年、「美しい春」について書いたというので、詩人をたくさん殺します。たいていはふらりとやって来た客で、春についての考えをどこかよそから持ってきており、当然ながら、土地の者が春をどう感じているかを知りようがありません。そうして、気づいたときには、どう感じているのかを尋ねる機会はもう永久に過ぎ去っているのです。「オールド・プロバビリティーズ」は、予言が正確だというたいへんな評判を持っており、その評判にまったくふさわしい人です。新聞を手に取って、ごらんなさい。太平洋岸で、南部で、中部諸州で、ウィスコンシン地方で、今日の天気がどうなるかを、彼がどれほどきびきびと自信たっぷりに書き並べていくことか。彼が自分の力の喜びと誇りにのって悠々と進んでいき、ニューイングランドに着いたところで、尾が垂れるのをごらんなさい。彼にはニューイングランドの天気がどうなるかが分からないのです。そこで彼はあれこれ考えあぐね、やがてこんなふうなものを出してきます。「おそらく北東から南西の風、南寄りおよび西寄りおよび東寄り、ならびにその間の方角に変わる。気圧の高いところと低いところがあちこち入れ替わる。雨、雪、雹、干ばつの見込まれる区域があり、その前後に地震があり、雷と稲妻を伴う」。それから彼は、まさかのときに備えて、さまよう頭から追伸を書き留めます。「ただし、その間に予定がすっかり変わる可能性もある」。そうです、ニューイングランドの天気のいちばん輝かしい宝石の一つは、そのまばゆいばかりの不確かさです。それについて確かなことはただ一つ。たっぷりあるということだけは確かです――まさに堂々たる観兵式です。しかし、行列のどちらの端が先に動き出すかは、決して分かりません。干ばつに備えて身支度をし、傘を家に置いて意気揚々と出かけると、まず十中八九、ずぶ濡れになります。地震が来るころだと覚悟を決め、物の下から離れて、体を支えるために何かにつかまっていると、気づいたときには稲妻に打たれています。これは大きな失望ですが、どうしようもありません。あそこの稲妻は一風変わっています。とても説得力があるので、何かに落ちると、それが何だったのかを見分けられるほどのものさえ後に残しません――まあ、何か値打ちのある物があって、そこに国会議員が来ていたのだと思うことでしょう。それから雷です。雷がほんの音合わせを始め、こすったりひいたりして、演奏に向けて楽器の調子を整えはじめると、よそから来た人たちは「なんと、ここの雷はものすごいですね」と言います。しかし、指揮棒が上がって本物の演奏会が始まると、その人は地下室に下りて、灰入れの樽に頭を突っ込んでいるのが見つかるでしょう。さて、ニューイングランドの天気の大きさについてですが――長さのことです。それは、あの小さな土地の大きさとはまったく釣り合っていません。半分くらいの時には、詰め込めるだけ詰め込まれていて、ニューイングランドの天気が端からはみ出し、何百マイルも何百マイルも、隣の州の上に突き出しているのが見えるでしょう。あの土地には、自分の天気の十分の一も収まりきりません。それを収めようとして無理をしたせいで、あちこちにひびが入っているのが見えます。ニューイングランドの天気の非情なひねくれぶりについては何巻でも語れますが、例を一つだけ挙げましょう。私はブリキ屋根に当たる雨の音を聞くのが好きです。そこで、その楽しみを当て込んで、屋根の一部をブリキで覆いました。さて、皆さん、そのブリキに雨が降ることがあると思いますか。いいえ、皆さん、そこだけは毎度よけて降ります。お断りしておきますが、この話で私はただニューイングランドの天気に敬意を表そうとしてきただけです――どんな言葉でも、あれを十分に言い表すことはできません。しかし、結局のところ、あの天気について(あるいは、お望みなら、天気が生むものについて)、ここに住む我々が手放したくないものが、少なくとも一つ二つはあります。たとえあの魅惑的な秋の紅葉がなかったとしても、天気には、その横暴な気まぐれのすべてを償う一つの取り柄があると認めなければならないでしょう――氷雨です。葉の落ちた木が、根もとからてっぺんまで氷をまとうときです――水晶のように明るく澄んだ氷を。大枝にも小枝にも氷の玉が、凍った露のしずくが連ねられ、木全体が冷たく白くきらめくときです。ペルシアのシャーのダイヤモンドの羽根飾りのように。そこへ風が枝を揺らし、日が出て、無数の玉としずくをすべてプリズムに変えます。プリズムは、ありとあらゆる色の火を放って輝き、燃え、きらめき、その色は、思いも及ばない速さで青から赤へ、赤から緑へ、緑から金へと、変わってはまた変わります。木は水しぶきを上げる噴水になり、まばゆい宝石のまさに爆発となります。そして木はそこに立っています。人を惑わせ、酔わせる、耐えがたいほどの壮麗さの、極み、頂点、芸術にも自然にもありうる至上のものとして。言葉をどれほど強くしても、強すぎることはありません。 語釈 帯の外の語は 94 語です。★ 天気と光の語が多い ——★ drought (干ばつ)・ prisms (光を分ける三角の硝子)・ dazzling (まばゆい)。 ★ 最後の段落で、この手の語が一気に増えます。 語(品詞) 意味 注 Centennial en 名 百年祭(1876 年の建国百年記念博覧会) The town organized a parade to mark its centennial celebration. その町は百年の祝いの記念行事を祝うためにパレードを企画しました。 Congressman en 名 下院議員 The congressman promised to support the new education funding bill. その下院議員は新しい教育予算法案を支持すると約束しました。 England en 名 イングランド( New England =米国北東部) Many tourists travel to England to see its old castles. 多くの旅行者は古い城を見るためにイングランドへ旅行します。 Pacific en 名 太平洋 The ship sailed slowly across the wide Pacific toward the islands. その船はその島々に向けて広い太平洋をゆっくりと航海しました。 Persia's en 名 ペルシアの Persia's ancient ruins still attract scholars and travelers today. ペルシアの古代の遺跡は今でも学者や旅行者を引き付けています。 Shah en 名 シャー。ペルシアの王 The Shah ruled the country for several decades before the revolution. そのシャーは革命の前、何十年もその国を治めていました。 Wisconsin en 名 ウィスコンシン。合衆国の州 Wisconsin is known across the country for its dairy farms. ウィスコンシンは酪農場で全国的に知られています。 acme en 名 頂点 The festival marked the acme of the town's summer celebrations. その祭りはその町の夏の祝祭の頂点を示しました。 admiration en 名 感嘆 The young pianist earned the admiration of the entire audience. その若いピアニストは聴衆全員の感嘆を得ました。 apprentices en 名 徒弟 The old blacksmith trained three apprentices in his small workshop. その老いた鍛冶屋は自分の小さな工房で三人の徒弟を訓練しました。 ash en 名 灰( ash-barrel =灰入れの樽) The old ash tree in the yard finally fell during the storm. 庭の古いとねりこの木はついに嵐の間に倒れました。 astounded en 動 驚かせた The magician's final trick astounded everyone sitting in the front row. その手品師の最後の技は最前列に座っていた全員を驚かせました。 barometer en 名 気圧計 The old barometer on the wall predicted rain for the weekend. 壁のその古い気圧計は週末の雨を予測していました。 baton en 名 指揮棒 The conductor raised his baton and the orchestra fell silent. 指揮者は指揮棒を上げ、オーケストラは静まりました。 beads en 名 玉 She strung colorful beads onto a thread to make a bracelet. 彼女はブレスレットを作るために色とりどりの玉を糸に通しました。 bewildering en 形 まごつかせる The city's subway map looked bewildering to the first-time visitor. その都市の地下鉄の地図は初めて訪れる人にはまごつかせるものに見えました。 bewitching en 形 うっとりさせる Under the moonlight, the old garden looked almost bewitching. 月明かりの下で、その古い庭はほとんどうっとりさせるように見えました。 blemished en 動 傷をつけた A single blemished apple was removed from the otherwise perfect basket. たった一つの傷をつけたリンゴがほかは完璧なかごから取り除かれました。 bough en 名 大枝 A heavy bough snapped off the old oak during the windstorm. 重い大枝が暴風の間にその古いオークの木から折れました。 bullying en 形 横暴な The school introduced