11.14 値段の交渉 — 動かせる六つの軸 — Epoché
この課でできるようになること ★ 動かせる六つの軸 が言える。 ★ 値引きの代わりに何を出すか を決められる。 ★ 支払い条件を、値段として読める 。 ★ 別建てで見積もらせる ことができる。 前提 : 11.13 まで。作は 10.24 まで。論は 9.24 まで。読は 8.192 まで。 場面 ★ 見積もりが届きました。 ★ 予算より一割高い。 ★ 「一割下げてください」と書きたくなります。 ★ けれども、 値引きだけを求めると、値引きしか返ってきません 。 ★ しかも、 たいていは半分しか 返ってきません。 何を求めるか 何が返ってくるか ★ 値引きだけ ★ 半分の値引き、あるいは断り ★ 六つの軸から二つ ★ 交換ができる 語彙 ★ 8.189 読編 の見積もりは、 六つの軸すべて に触れています。 ★ 一つずつ見ます。 六つの軸 どの軸か 何が動くか ★ 一 値段 ★ 単価・総額 ★ 二 数量 ★ 台数・年数 ★ 三 納期 ★ いつ届くか ★ 四 保証 ★ 何年・どこまで ★ 五 支払い条件 ★ いつ払うか ★ 六 付帯 ★ 据えつけ・研修・運賃 ★ 見積もりの三行を見直してください ——★ 本体・据えつけと研修・運賃 。★ 六つめの軸が、 最初から別建て になっています。 別建てで、見積もらせる Please tell me if you would like a longer warranty [1] We can quote that separately [1] ★ 「長い保証をご希望ならお知らせください。別建てでお見積もりできます」。 どう頼むか 何が起きるか ★ 「全部込みでいくらか」 ★ 中の配分が見えない ★ 「別建てで」 ★ どこを削れるか見える ★ Could you quote that separately ——★ この一言で、 交渉の軸が一本増えます 。 支払い条件は、値段である ★ 8.192 読編 の第 3 条を見てください。 The Buyer shall pay each invoice within sixty days of the date of the invoice [2] the Seller may charge interest on that sum at a rate of six per cent a year [2] ★ 六十日と、遅れたときの年六分 ——★ この二つが、 実質の値段 を決めます。 支払い条件 実質どうなるか ★ 三十日 ★ 買う側の資金が先に出る ★ 六十日 ★ 三十日ぶんの金利が買う側の得 ★ 前払い ★ 値引きを求めてよい ★ だから、 値引きが取れないときは支払い期日を延ばす ——★ 売る側は値段の表を崩さずに済み、買う側は実を取ります。 争いがあるときの、払い方 ★ 第 3.5 条に、 もめたときの作法 があります。 The Buyer shall pay the part that is not disputed by the due date [2] ★ 「争いのない部分は期日までに払う」。 ★ 全部止めるのではなく、 争う部分だけ止める 。 ★ これは、 交渉の作法としても効きます ——★ 9.13 論編 の「認めてから反す」と同じ形 です。 日本の商慣習との差 ★ いちばん大きな差は、 値引きの根拠 です。 どう頼むか どちらに多いか ★ 「今後ともよろしく」 ★ 日本の商いに多い ★ 「数量を倍にするので」 ★ 相手方に多い ★ 前者は、 関係の長さ を根拠にします。 ★ 後者は、 相手の得 を根拠にします。 ★ どちらが正しいという話ではありません。 ★ ただ、 英語で前者を書くと根拠が無いように読まれます ——★ だから、 関係の長さも数に直す 。 ★ 「三年で四台買っており、次の三年も同じ見込みです」 ——★ これなら、 相手の側の稟議に載ります 。 ★ もう一つ、 端数 の扱いが違います。 どう出すか どう読まれるか ★ きれいな数 ★ まだ動くと読まれる ★ 端数のある数 ★ 積み上げた数だと読まれる ★ 8.189 読編 の見積もりは、 百四十八万・二十二万・六万 ——★ どれも積み上げの跡が見える数 です。 やってみる ★ 六つの軸を書き出す 。★ いま進めている一件について、 動かせる軸 と 動かせない軸 に分ける。 ★ 値引き以外の求め方を三つ書く 。★ それぞれ、 相手にとっての得 を一行添える。 ★ 支払い条件を、金額に直す 。★ 三十日と六十日の差が、 いくらに当たるか を計算する。 ★ その額を、 値引きの代わりに 求められるか考える。 ★ 別建ての見積もりを頼む一文を書く 。★ 何を別建てにするかを 二つ 挙げる。 動画で見る この課の内容に近い解説動画です。押すと再生されます(再生は YouTube に接続します)。「画面に固定して見る」を押すと、本文を読みながら見られます。 Negotiating - 30 - English at Work negotiates the best deal BBC Learning English (4:37, 2017) 交渉の一往復。短いほう Negotiating: Office English episode 9 BBC Learning English (9:55, 2024) 長い回。譲る軸を増やすやり取りが入っている 練習 「語彙」に引いた四文(別建て/六十日/年六分/争いのない部分)を 続けて音読 する。3 周する。3 周目は音声に重ねて シャドーイング する。 ★ Could you quote that separately を そらで言えるまで 音読する。 ★ separately は 四つの音 ——★ 三つで読まないように。 ★ 六つの軸を、 英語で言いながら 数える 。★ price ・ volume ・ lead time ・ warranty ・ payment terms ・ extras 。 ★ 指を折りながら三周。 この課のまとめ ★ 動かせるのは六つ ——値段・数量・納期・保証・支払い条件・付帯。 ★ 値引きだけを求めると、値引きしか返ってこない 。しかも、たいていは半分。 ★ Could you quote that separately で軸が一本増える 。 ★ 支払い条件は、実質の値段 。三十日と六十日の差は、金利ぶんの得( 8.192 読編 第 3 条)。 ★ 値引きが取れないときは、期日を延ばす 。売る側は値段の表を崩さずに済む。 ★ 争いのない部分は、期日までに払う 。全部止めず、争う部分だけ止める( 9.13 論編 )。 ★ 関係の長さも、数に直す 。「今後ともよろしく」は、英語では根拠として読まれない。 ★ きれいな数は、まだ動くと読まれる 。積み上げの跡が見える数を出す。 次の課へ 次の課は 11.15 、 売り込み です。★ この課では 来た見積もり を扱いました。 ★ 次の課は、 こちらから出す 話 です——★ 引き合いを受ける、断られる、そして 断られたあとに何を書くか 。 答え 「やってみる」の四つの答えです。 ★ 六つに分けると、 動かせない軸はたいてい一つか二つ と分かります。 ★ 納期が動かせないことは多い ——★ けれども、 納期が動かせないのはこちらの事情 です。 ★ それを相手に言えば、 相手はそこを高く売ります ——★ だから、 先に言わない 。 ★ 「相手にとっての得」が書けない求め方は、 通りません 。 ★ いちばん通りやすいのは、 数量と年数 です ——★ 相手の側でも 数で稟議に書ける から です。★ 「据えつけを自社でやる」も効きます ——★ 相手の人手が浮きます。 ★ 三十日ぶんの金利は、 思ったより小さい はずです。 ★ けれども、 相手にとっては大きい ことがあります ——★ 資金の細い会社ほど、 早く払ってもらうことに値段を付けます 。 ★ だから、 逆向きの交換 もできます ——★ 「三十日で払うので、そのぶん引いてください」。 ★ 別建てにするものは、 据えつけと運賃 が定番です。 ★ けれども、 いちばん効くのは保証 です ——★ 保証は 売る側の見込みの数 で決まるので、 会社ごとに差が大きい から です。★ 別建てにすると、 その差が見えます 。 参考文献 原文の出所: Epoché, "社外メール 12 通の束"。Epoché の作。CC BY 4.0。https://epoche.app/ 原文の出所: Epoché, "契約書の抜粋"。Epoché の作。CC BY 4.0。https://epoche.app/