Man'yōshū — Ōtomo no Yakamochi
万葉集/第一巻 第二巻 → 万葉集 第一巻 第一巻 [歌番号] 01/0001 [題詞]雜歌 / 泊瀬朝倉宮御宇天皇代 [<大>泊瀬稚武天皇] / 天皇御製歌 [原文]篭毛與 美篭母乳 布久思毛與 美夫君志持 此岳尓 菜採須兒 家吉閑名 告<紗>根 虚見津 山跡乃國者 押奈戸手 吾許曽居 師<吉>名倍手 吾己曽座 我<許>背齒 告目 家呼毛名雄母 [訓読]篭もよ み篭持ち 堀串もよ み堀串持ち この岡に 菜摘ます子 家聞かな 告らさね そらみつ 大和の国は おしなべて 我れこそ居れ しきなべて 我れこそ座せ 我れこそば 告らめ 家をも名をも [仮名]こもよ みこもち ふくしもよ みぶくしもち このをかに なつますこ いへきかな のらさね そらみつ やまとのくには おしなべて われこそをれ しきなべて われこそませ われこそば のらめ いへをもなをも [左注]なし [校異]雑歌 [元][紀] <> / 太 -> 大 [紀][冷][文] / 吉 [玉小琴](塙)(楓) 告 /沙 -> 紗 [元][類][冷] / 告 -> 吉 [玉小琴] / 許者 -> 許 [元][類][古] [事項]雑歌 作者:雄略天皇 朝倉宮 野遊び 演劇 妻問媿 予祝 枕詞 地名 奈良 [訓異]こもよ[寛], みこもち[寛], ふくしもよ[寛], みぶくしもち,[寛]みふくしもち, このをかに[寛], なつますこ,[寛]なつむすこ, いへきかな[寛], のらさね,[寛]つけさね, そらみつ[寛], やまとのくには[寛], おしなべて,[寛]おしなへて, われこそをれ,[寛]われこそをらし, しきなべて,[寛]つけなへて, われこそませ[略],[寛]われこそをらし, われこそば,[寛]われこそは, のらめ,[寛]せなにはつけめ, いへをもなをも[寛], [歌番号] 01/0002 [題詞]高市岡本宮御宇天皇代 [息長足日廣額天皇] / 天皇登香具山望國之時御製歌 [原文]山常庭 村山有等 取與呂布 天乃香具山 騰立 國見乎為者 國原波 煙立龍 海原波 加萬目立多都 怜A國曽 蜻嶋 八間跡能國者 [訓読]大和には 群山あれど とりよろふ 天の香具山 登り立ち 国見をすれば 国原は 煙立ち立つ 海原は 鴎立ち立つ うまし国ぞ 蜻蛉島 大和の国は [仮名]やまとには むらやまあれど とりよろふ あめのかぐやま のぼりたち くにみをすれば くにはらは けぶりたちたつ うなはらは かまめたちたつ うましくにぞ あきづしま やまとのくには [左注]なし [校異]なし [事項]雑歌 作者:舒明天皇 飛鳥 国見 予祝 枕詞 地名 動物 奈良 土地讃美 寿歌 [訓異]やまとには[寛], むらやまあれど,[寛]むらやまあれと, とりよろふ[寛], あめのかぐやま,[寛]あまのかくやま, のぼりたち,[寛]のほりたち, くにみをすれば,[寛]くにみをすれは, くにはらは[寛], けぶりたちたつ,[寛]けふりたちたつ, うなはらは[寛], かまめたちたつ[寛], うましくにぞ,[寛]おもしろきくにそ, あきづしま,[寛]あきつしま, やまとのくには[寛], [歌番号] 01/0003 [題詞]天皇遊猟内野之時中皇命使間人連老獻歌 [原文]八隅知之 我大王乃 朝庭 取撫賜 夕庭 伊縁立之 御執乃 梓弓之 奈加弭乃 音為奈利 朝猟尓 今立須良思 暮猟尓 今他田渚良之 御執<能> <梓>弓之 奈加弭乃 音為奈里 [訓読]やすみしし 我が大君の 朝には 取り撫でたまひ 夕には い寄り立たしし み執らしの 梓の弓の 中弭の 音すなり 朝猟に 今立たすらし 夕猟に 今立たすらし み執らしの 梓の弓の 中弭の 音すなり [仮名]やすみしし わがおほきみの あしたには とりなでたまひ ゆふへには いよりたたしし みとらしの あづさのゆみの なかはずの おとすなり あさがりに いまたたすらし ゆふがりに いまたたすらし みとらしの あづさのゆみの なかはずの おとすなり [左注]なし [校異]梓能 -> 能梓 [元] [事項]雑歌 作者:中皇命:間人老 五条市 代作 弓讃姤 狩猟 宴席 地名 枕詞 寿歌 [訓異]やすみしし[寛], わがおほきみの,[寛]わかおほきみの, あしたには[寛], とりなでたまひ,[寛]とりなてたまひ, ゆふへには,[寛]ゆふへに, いよりたたしし,[寛]いよせたててし, みとらしの[寛], あづさのゆみの,[寛]あつさのゆみの, なかはずの,[寛]なかはすの, おとすなり[寛], あさがりに,[寛]あさかりに, いまたたすらし[寛], ゆふがりに,[寛]ゆふかりに, いまたたすらし[寛], みとらしの[寛], あづさのゆみの,[寛]あつさのゆみの, なかはずの,[寛]なかはすの, おとすなり[寛], [歌番号] 01/0004 [題詞](天皇遊猟内野之時中皇命使間人連老獻歌)反歌 [原文]玉尅春 内乃大野尓 馬數而 朝布麻須等六 其草深野 [訓読]たまきはる宇智の大野に馬並めて朝踏ますらむその草深野 [仮名]たまきはる うちのおほのに うまなめて あさふますらむ そのくさふかの [左注]なし [校異]尅 (塙)(楓) 剋 [事項]雑歌 作者:中皇命:間人老 五条市 代作 弓讃姤 狩猟 宴席 地名 [訓異]たまきはる[寛], うちのおほのに[寛], うまなめて[寛], あさふますらむ[寛], そのくさふかの,[寛]そのくさふけの, [歌番号] 01/0005 [題詞]幸讃岐國安益郡之時軍王見山作歌 [原文]霞立 長春日乃 晩家流 和豆肝之良受 村肝乃 心乎痛見 奴要子鳥 卜歎居者 珠手次 懸乃宜久 遠神 吾大王乃 行幸能 山越風乃 獨<座> 吾衣手尓 朝夕尓 還比奴礼婆 大夫登 念有我母 草枕 客尓之有者 思遣 鶴寸乎白土 網能浦之 海處女等之 焼塩乃 念曽所焼 吾下情 [訓読]霞立つ 長き春日の 暮れにける わづきも知らず むらきもの 心を痛み ぬえこ鳥 うら泣け居れば 玉たすき 懸けのよろしく 遠つ神 我が大君の 行幸の 山越す風の ひとり居る 我が衣手に 朝夕に 返らひぬれば 大夫と 思へる我れも 草枕 旅にしあれば 思ひ遣る たづきを知らに 網の浦の 海人娘子らが 焼く塩の 思ひぞ焼くる 我が下心 [仮名]かすみたつ ながきはるひの くれにける わづきもしらず むらきもの こころをいたみ ぬえこどり うらなけをれば たまたすき かけのよろしく とほつかみ わがおほきみの いでましの やまこすかぜの ひとりをる わがころもでに あさよひに かへらひぬれば ますらをと おもへるわれも くさまくら たびにしあれば おもひやる たづきをしらに あみのうらの あまをとめらが やくしほの おもひぞやくる わがしたごころ [左注](右檢日本書紀 無幸於讃岐國 亦軍王未詳也 但山上憶良大夫類聚歌林曰 記曰 天皇十一年己亥冬十二月己巳朔壬午幸于伊<与>温湯宮[云々] 一<書> 是時 宮前在二樹木 此之二樹斑鳩比米二鳥大集 時勅多挂稲穂而養之 乃作歌[云々] 若疑従此便幸之歟) [校異]懸 [元][類][紀] 縣 / 居 -> 座 [元][類][古] [事項]雑歌 作者:軍王 望郷 香川 行幸 羈旅 大夫 枕詞 地名 [訓異]かすみたつ[寛], ながきはるひの,[寛]なかきはるひの, くれにける[寛], わづきもしらず,[寛]わつきもしらす, むらきもの[寛], こころをいたみ[寛], ぬえこどり,[寛]ぬえことり, うらなけをれば[寛], たまたすき[寛], かけのよろしく[寛], とほつかみ[寛], わがおほきみの,[寛]わかおほきみの, いでましの,[寛]みゆきの, やまこすかぜの,[寛]やまこしのかせの, ひとりをる[寛], わがころもでに,[寛]わかころもてに, あさよひに,[寛]あさゆふに, かへらひぬれば,[寛]かへらひぬれは, ますらをと[寛], おもへるわれも[寛], くさまくら[寛], たびにしあれば,[寛]たひにしあれは, おもひやる[寛], たづきをしらに,[寛]たつきをしらに, あみのうらの[寛], あまをとめらが,[寛]あまをとめらか, やくしほの[寛], おもひぞやくる,[寛]おもいそやくる, わがしたごころ,[寛]わかしたこころ, [歌番号] 01/0006 [題詞](讃岐國安益郡之時軍王見山作歌)反歌 [原文]山越乃 風乎時自見 寐<夜>不落 家在妹乎 懸而小竹櫃 [訓読]山越しの風を時じみ寝る夜おちず家なる妹を懸けて偲ひつ [仮名]やまごしの かぜをときじみ ぬるよおちず いへなるいもを かけてしのひつ [左注]右檢日本書紀 無幸於讃岐國 亦軍王未詳也 但山上憶良大夫類聚歌林曰 記曰 天皇十一年己亥冬十二月己巳朔壬午幸于伊<与>温湯宮[云々] 一<書> 是時 宮前在二樹木 此之二樹斑鳩比米二鳥大集 時勅多挂稲穂而養之 乃作歌[云々] 若疑従此便幸之歟 [校異]<> -> 夜 [西(右書)][元][類][冷] / 豫 -> 与 [元][類][古] / 書云 -> 書 [元][類][紀] / 乃 [元][紀] 仍 [事項]雑歌 作者:軍王 望郷 香川 行幸 羈旅 大夫 地名 [訓異]やまごしの,[寛]やまこしの, かぜをときじみ,[寛]かせをときしみ, ぬるよおちず,[寛]ぬるよおちす, いへなるいもを,[寛]いへあるいもを, かけてしのひつ[寛], [歌番号] 01/0007 [題詞]明日香川原宮御宇天皇代 [天豊財重日足姫天皇] / 額田王歌 [未詳] [原文]金野乃 美草苅葺 屋杼礼里之 兎道乃宮子能 借五百礒所念 [訓読]秋の野のみ草刈り葺き宿れりし宇治の宮処の仮廬し思ほゆ [仮名]あきののの みくさかりふき やどれりし うぢのみやこの かりいほしおもほゆ [左注]右檢山上憶良大夫類聚歌林曰 一書戊申年幸比良宮大御歌 但紀曰 五年春正月己卯朔辛巳天皇至自紀温湯 三月戊寅朔天皇幸吉野宮而肆宴焉 庚辰日天皇幸近江之平浦 [校異]辰 [元][冷] 辰ム [事項]雑歌 作者:額田王 京都 回想 羈旅 地名 [訓異]あきののの[寛], みくさかりふき[寛], やどれりし,[寛]やとれりし, うぢのみやこの,[寛]うちのみやこの, かりいほしおもほゆ,[寛]かりいほしそおもふ, [歌番号] 01/0008 [題詞]後岡本宮御宇天皇代 [天豊財重日足姫天皇位後即位後岡本宮] / 額田王歌 [原文]熟田津尓 船乗世武登 月待者 潮毛可奈比沼 今者許藝乞菜 [訓読]熟田津に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな [仮名]にぎたつに ふなのりせむと つきまてば しほもかなひぬ いまはこぎいでな [左注]右檢山上憶良大夫類聚歌林曰 飛鳥岡本宮御宇天皇元年己丑九年丁<酉>十二月己巳朔壬午天皇大后幸于伊豫湯宮 後岡本宮馭宇天皇七年辛酉春正月丁酉朔<壬>寅御船西征 始就于海路 庚戌御船泊于伊豫熟田津石湯行宮 天皇御覧昔日猶存之物 當時忽起感愛之情 所以因製歌詠為之哀傷也 即此歌者天皇御製焉 但額田王歌者別有四首 [校異]即位 [元][冷][紀](塙) 即 / 酋 -> 酉 [元][冷][紀] / 丙 -> 壬 [西(右書)][紀] [事項]雑歌 作者:額田王 道後温泉 愛媛 舟遊び 熟田津 代作 地名 [訓異]にぎたつに,[寛]にきたつに, ふなのりせむと[寛], つきまてば,[寛]つきまては, しほもかなひぬ[寛], いまはこぎいでな,[寛]いまはこきこな, [歌番号] 01/0009 [題詞]幸于紀温泉之時額田王作歌 [原文]莫囂圓隣之大相七兄爪謁氣 吾瀬子之 射立為兼 五可新何本 [訓読]莫囂円隣之大相七兄爪謁気我が背子がい立たせりけむ厳橿が本 [仮名]***** ******* わがせこが いたたせりけむ いつかしがもと [左注]なし [校異]謁 [元][類][紀] 湯 [事項]雑歌 作者:額田王 紀州 和歌山 難訓 厳橿 斎橿 植物 [訓異]*****,[寛]ゆふつきの, * ******,[寛]あふきてとひし, わがせこが,[寛]わかせこか, いたたせりけむ,[寛]いたたせるかね, いつかしがもと,[寛]いつかあはなむ, [歌番号] 01/0010 [題詞]中皇命徃于紀温泉之時御歌 [原文]君之齒母 吾代毛所知哉 磐代乃 岡之草根乎 去来結手名 [訓読]君が代も我が代も知るや岩代の岡の草根をいざ結びてな [仮名]きみがよも わがよもしるや いはしろの をかのくさねを いざむすびてな [左注](右檢山上憶良大夫類聚歌林曰 天皇御製歌[云々]) [校異]磐 [元][冷][古] 盤 [事項]雑歌 作者:中皇命:間人皇女 紀州 和歌山 羈旅 異伝 手向醎 植物 [訓異]きみがよも,[寛]きみかよも, わがよもしるや,[寛]わかよもしれや, いはしろの[寛], をかのくさねを[寛], いざむすびてな,[寛]いさむすひてな, [歌番号] 01/0011 [題詞](中皇命徃于紀温泉之時御歌) [原文]吾勢子波 借廬作良須 草無者 小松下乃 草乎苅核 [訓読]我が背子は仮廬作らす草なくは小松が下の草を刈らさね [仮名]わがせこは かりほつくらす かやなくは こまつがしたの かやをからさね [左注](右檢山上憶良大夫類聚歌林曰 天皇御製歌[云々]) [校異]なし [事項]雑歌 作者:中皇命:間人皇女 紀州 和歌山 異伝 羈旅 植物 [訓異]わがせこは,[寛]わかせこは, かりほつくらす,[寛]かりいほつくらす, かやなくは[寛], こまつがしたの,[寛]こまつかしたの, かやをからさね,[寛]かやをかりさね, [歌番号] 01/0012 [題詞](中皇命徃于紀温泉之時御歌) [原文]吾欲之 野嶋波見世追 底深伎 阿胡根能浦乃 珠曽不拾 [或頭云 吾欲 子嶋羽見遠] [訓読]我が欲りし野島は見せつ底深き阿胡根の浦の玉ぞ拾はぬ [或頭云 我が欲りし子島は見しを] [仮名]わがほりし のしまはみせつ そこふかき あごねのうらの たまぞひりはぬ [わがほりし こしまはみしを] [左注]右檢山上憶良大夫類聚歌林曰 天皇御製歌[云々] [校異]なし [事項]雑歌 作者:中皇命:間人皇女 紀州 和歌山 羈旅 異伝 魂触り [訓異]わがほりし,[寛]わかほりし, のしまはみせつ[寛], そこふかき[寛], あごねのうらの,[寛]あこ