Man'yōshū, Volume 20 — Ōtomo no Yakamochi
万葉集/第二十巻 ← 第十九巻 万葉集 第二十巻 第二十巻 [歌番号] 20/4293 [題詞]幸行於山村之時歌二首 / 先太上天皇詔陪従王臣曰夫諸王卿等宣賦和歌而奏即御口号曰 [原文]安之比奇能 山行之可婆 山人乃 和礼尓依志米之 夜麻都刀曽許礼 [訓読]あしひきの山行きしかば山人の我れに得しめし山づとぞこれ [仮名]あしひきの やまゆきしかば やまびとの われにえしめし やまづとぞこれ [左注](右天平勝寶五年五月在於大納言藤原朝臣之家時 依奏事而請問之間 少主鈴山田史土麻呂語少納言大伴宿祢家持曰 昔聞此言 即誦此歌也) [校異]歌 [西] 謌 [事項]天平勝宝5年5月 年紀 作者:元正天皇 伝誦 山田土麻呂 古歌 行幸 奈良 神仙 枕詞 大伴家持 藤原仲麻呂 [訓異]あしひきの[寛], やまゆきしかば,[寛]やまゆきしかは, やまびとの,[寛]やまひとの, われにえしめし[寛], やまづとぞこれ,[寛]やまつとそこれ, [歌番号] 20/4294 [題詞](幸行於山村之時歌二首) / 舎人親王應詔奉和歌一首 [原文]安之比奇能 山尓由伎家牟 夜麻妣等能 情母之良受 山人夜多礼 [訓読]あしひきの山に行きけむ山人の心も知らず山人や誰れ [仮名]あしひきの やまにゆきけむ やまびとの こころもしらず やまびとやたれ [左注]右天平勝寶五年五月在於大納言藤原朝臣之家時 依奏事而請問之間 少主鈴山田史土麻呂語少納言大伴宿祢家持曰 昔聞此言 即誦此歌也 [校異]なし [事項]天平勝宝5年5月 年紀 作者:舎人親王 伝誦 古歌 山田土麻呂 行幸 枕詞 奈良 神仙 大伴家持 藤原仲麻呂 [訓異]あしひきの[寛], やまにゆきけむ[寛], やまびとの,[寛]やまひとの, こころもしらず,[寛]こころもしらす, やまびとやたれ,[寛]やまひとやたれ, [歌番号] 20/4295 [題詞]天平勝寶五年八月十二日二三大夫等各提壷酒 登高圓野聊述所心作歌三首 [原文]多可麻刀能 乎婆奈布伎故酒 秋風尓 比毛等伎安氣奈 多太奈良受等母 [訓読]高円の尾花吹き越す秋風に紐解き開けな直ならずとも [仮名]たかまとの をばなふきこす あきかぜに ひもときあけな ただならずとも [左注]右一首左京少進大伴宿祢池主 [校異]天平勝宝五年八月 [細](塙) 八月 / 酒 [類][春] 須 [事項]天平勝宝5年8月12日 年紀 作者:大伴池主 地名 高円 奈良 宴席 植物 [訓異]たかまとの[寛], をばなふきこす,[寛]をはなふきこす, あきかぜに,[寛]あきかせに, ひもときあけな[寛], ただならずとも,[寛]たたならすとも, [歌番号] 20/4296 [題詞](天平勝寶五年八月十二日二三大夫等各提壷酒 登高圓野聊述所心作歌三首) [原文]安麻久母尓 可里曽奈久奈流 多加麻刀能 波疑乃之多婆波 毛美知安倍牟可聞 [訓読]天雲に雁ぞ鳴くなる高円の萩の下葉はもみちあへむかも [仮名]あまくもに かりぞなくなる たかまとの はぎのしたばは もみちあへむかも [左注]右一首左中辨中臣清麻呂朝臣 [校異]なし [事項]天平勝宝5年8月12日 年紀 作者:中臣清麻呂 宴席 奈良 高円 地名 植物 動物 叙景 [訓異]あまくもに[寛], かりぞなくなる,[寛]かりそなくなる, たかまとの[寛], はぎのしたばは,[寛]はきのしたはは, もみちあへむかも[寛], [歌番号] 20/4297 [題詞](天平勝寶五年八月十二日二三大夫等各提壷酒 登高圓野聊述所心作歌三首) [原文]乎美奈<弊>之 安伎波疑之努藝 左乎之可能 都由和氣奈加牟 多加麻刀能野曽 [訓読]をみなへし秋萩しのぎさを鹿の露別け鳴かむ高圓の野ぞ [仮名]をみなへし あきはぎしのぎ さをしかの つゆわけなかむ たかまとののぞ [左注]右一首少納言大伴宿祢家持 [校異]敝 -> 弊 [類][紀][細] [事項]天平勝宝5年8月12日 年紀 作者:大伴家持 植物 動物 地名 高円 奈良 宴席 [訓異] [訓異]をみなへし[寛], あきはぎしのぎ,[寛]あきはきしのき, さをしかの[寛], つゆわけなかむ[寛], たかまとののぞ,[寛]たかまとののそ, [歌番号] 20/4298 [題詞]六年正月四日氏人等賀集于少納言大伴宿祢家持之宅宴飲歌三首 [原文]霜上尓 安良礼多<婆>之里 伊夜麻之尓 安礼<波>麻為許牟 年緒奈我久 [古今未詳] [訓読]霜の上に霰た走りいやましに我れは参ゐ来む年の緒長く [古今未詳] [仮名]しものうへに あられたばしり いやましに あれはまゐこむ としのをながく [左注]右一首左兵衛督大伴宿祢千室 [校異]波 -> 婆 [元][類][紀] / 婆 -> 波 [元][類] [事項]天平勝宝6年1月4日 年紀 作者:大伴千室 賀歌 寿歌 大伴家持 宴席 古歌 伝誦 [訓異]しものうへに[寛], あられたばしり,[寛]あられたはしり, いやましに[寛], あれはまゐこむ[寛], としのをながく,[寛]としのをなかく, [歌番号] 20/4299 [題詞](六年正月四日氏人等賀集于少納言大伴宿祢家持之宅宴飲歌三首) [原文]年月波 安良多々々々尓 安比美礼騰 安我毛布伎美波 安伎太良奴可母 [古今未詳] [訓読]年月は新た新たに相見れど我が思ふ君は飽き足らぬかも [古今未詳] [仮名]としつきは あらたあらたに あひみれど あがもふきみは あきだらぬかも [左注]右一首民部少丞大伴宿祢村上 [校異]なし [事項]天平勝宝6年1月4日 年紀 作者:大伴村上 賀歌 寿歌 古歌 伝誦 宴席 主人讃美 大伴家持 [訓異]としつきは[寛], あらたあらたに,[寛]あたらあたらに, あひみれど,[寛]あひみれと, あがもふきみは,[寛]あかもふきみは, あきだらぬかも,[寛]あきたらぬかも, [歌番号] 20/4300 [題詞](六年正月四日氏人等賀集于少納言大伴宿祢家持之宅宴飲歌三首) [原文]可須美多都 春初乎 家布能其等 見牟登於毛倍波 多努之等曽毛布 [訓読]霞立つ春の初めを今日のごと見むと思へば楽しとぞ思ふ [仮名]かすみたつ はるのはじめを けふのごと みむとおもへば たのしとぞもふ [左注]右一首左京少進大伴宿祢池主 [校異]波 [元](塙) 婆 [事項]天平勝宝6年1月4日 年紀 作者:大伴池主 宴席 賀歌 寿歌 [訓異]かすみたつ[寛], はるのはじめを,[寛]はるのはしめを, けふのごと,[寛]けふのこと, みむとおもへば,[寛]みむとおもはは, たのしとぞもふ,[寛]たのしとそおもふ, [歌番号] 20/4301 [題詞]七日天皇太上天皇皇大后<在>於東常宮南大殿肆宴歌一首 [原文]伊奈美野乃 安可良我之波々 等伎波安礼騰 伎美乎安我毛布 登伎波佐祢奈之 [訓読]印南野の赤ら柏は時はあれど君を我が思ふ時はさねなし [仮名]いなみのの あからがしはは ときはあれど きみをあがもふ ときはさねなし [左注]右一首播磨國守安宿王奏 [古今未詳] [校異]<> -> 在 [元] [事項]天平勝宝6年1月7日 年紀 作者:安宿王 古歌 伝誦 宮廷 肆宴 宴席 孝謙天皇 聖武天皇 光明皇后 地名 兵庫 植物 忠誠 [訓異]いなみのの[寛], あからがしはは,[寛]あからかしはは, ときはあれど,[寛]ときはあれと, きみをあがもふ,[寛]きみをあかもふ, ときはさねなし[寛], [歌番号] 20/4302 [題詞]三月十九日家持之庄門槻樹下宴飲歌二首 [原文]夜麻夫伎波 奈埿都々於保佐牟 安里都々母 伎美伎麻之都々 可射之多里家利 [訓読]山吹は撫でつつ生ほさむありつつも君来ましつつかざしたりけり [仮名]やまぶきは なでつつおほさむ ありつつも きみきましつつ かざしたりけり [左注]右一首置始連長谷 [校異]なし [事項]天平勝宝6年3月19日 年紀 作者:置始長谷 宴席 植物 大伴家持 主人讃美 [訓異]やまぶきは,[寛]やまふきは, なでつつおほさむ,[寛]なてつつおほさむ, ありつつも[寛], きみきましつつ[寛], かざしたりけり,[寛]かさしたりけり, [歌番号] 20/4303 [題詞](三月十九日家持之庄門槻樹下宴飲歌二首) [原文]和我勢故我 夜度乃也麻夫伎 佐吉弖安良婆 也麻受可欲波牟 伊夜登之能波尓 [訓読]我が背子が宿の山吹咲きてあらばやまず通はむいや年の端に [仮名]わがせこが やどのやまぶき さきてあらば やまずかよはむ いやとしのはに [左注]右一首長谷攀花提壷到来 因是大伴宿祢家持作此歌和之 [校異]壷 [西(右書)] 壷酒 [事項]天平勝宝6年3月19日 年紀 作者:大伴家持 植物 宴席 賀歌 和歌 置始長谷 [訓異]わがせこが,[寛]わかせこか, やどのやまぶき,[寛]やとのやまふき, さきてあらば,[寛]さきてあらは, やまずかよはむ,[寛]やますかよはむ, いやとしのはに[寛], [歌番号] 20/4304 [題詞]同月廿五日左大臣橘卿宴于山田御母之宅歌一首 [原文]夜麻夫伎乃 花能左香利尓 可久乃其等 伎美乎見麻久波 知登世尓母我母 [訓読]山吹の花の盛りにかくのごと君を見まくは千年にもがも [仮名]やまぶきの はなのさかりに かくのごと きみをみまくは ちとせにもがも [左注]右一首少納言大伴宿祢家持矚時花作 但未出之間大臣罷宴而不<擧>誦耳 [校異]攀 -> 擧 [温][矢][京] [事項]天平勝宝6年3月25日 年紀 作者:大伴家持 宴席 橘諸兄 山田比売島 植物 賀歌 寿歌 主人讃美 属目 不誦 [訓異]やまぶきの,[寛]やまふきの, はなのさかりに[寛], かくのごと,[寛]かくのこと, きみをみまくは[寛], ちとせにもがも,[寛]ちとせにもかも, [歌番号] 20/4305 [題詞]詠霍公鳥歌一首 [原文]許乃久礼能 之氣伎乎乃倍乎 保等登藝須 奈伎弖故由奈理 伊麻之久良之母 [訓読]木の暗の茂き峰の上を霍公鳥鳴きて越ゆなり今し来らしも [仮名]このくれの しげきをのへを ほととぎす なきてこゆなり いましくらしも [左注]右一首四月大伴宿祢家持作 [校異]なし [事項]天平勝宝6年4月 年紀 作者:大伴家持 動物 叙景 [訓異]このくれの[寛], しげきをのへを,[寛]しけきをのへを, ほととぎす,[寛]ほとときす, なきてこゆなり[寛], いましくらしも[寛], [歌番号] 20/4306 [題詞]七夕歌八首 [原文]波都秋風 須受之伎由布弊 等香武等曽 比毛波牟須妣之 伊母尓安波牟多米 [訓読]初秋風涼しき夕解かむとぞ紐は結びし妹に逢はむため [仮名]はつあきかぜ すずしきゆふへ とかむとぞ ひもはむすびし いもにあはむため [左注](右大伴宿祢家持獨仰天海作之) [校異]歌 [西] 謌 [事項]天平勝宝6年7月7日 年紀 作者:大伴家持 七夕 独詠 [訓異]はつあきかぜ,[寛]はつあきかせ, すずしきゆふへ,[寛]すすしきゆうへ, とかむとぞ,[寛]とかむとそ, ひもはむすびし,[寛]ひもはむすひし, いもにあはむため[寛], [歌番号] 20/4307 [題詞](七夕歌八首) [原文]秋等伊閇婆 許己呂曽伊多伎 宇多弖家尓 花仁奈蘇倍弖 見麻久保里香聞 [訓読]秋と言へば心ぞ痛きうたて異に花になそへて見まく欲りかも [仮名]あきといへば こころぞいたき うたてけに はなになそへて みまくほりかも [左注](右大伴宿祢家持獨仰天海作之) [校異]なし [事項]天平勝宝6年7月7日 年紀 作者:大伴家持 七夕 独詠 [訓異]あきといへば,[寛]あきといへは, こころぞいたき,[寛]こころそいたき, うたてけに[寛], はなになそへて[寛], みまくほりかも[寛], [歌番号] 20/4308 [題詞](七夕歌八首) [原文]波都乎婆奈 <々々>尓見牟登之 安麻乃可波 弊奈里尓家良之 年緒奈我久 [訓読]初尾花花に見むとし天の川へなりにけらし年の緒長く [仮名]はつをばな はなにみむとし あまのがは へなりにけらし としのをながく [左注](右大伴宿祢家持獨仰天海作之) [校異]波名 -> 々々 [元] [事項]天平勝宝6年7月7日 年紀 作者:大伴家持 七夕 独詠 植物 [訓異]はつをばな,[寛]はつをはな, はなにみむとし[寛], あまのがは,[寛]あまのかは, へなりにけらし[寛], としのをながく,[寛]としのをなかく, [歌番号] 20/4309 [題詞](七夕歌八首) [原文]秋風尓 奈妣久可波備能 尓故具左能 尓古餘可尓之母 於毛保由流香母 [訓読]秋風に靡く川辺のにこ草のにこよかにしも思ほゆるかも [仮名]あきかぜに なびくかはびの にこぐさの にこよかにしも おもほゆるかも [左注](右大伴宿祢家持獨仰天海作之) [校異]なし [事項]天平勝宝6年7月7日 年紀 作者:大伴家持 七夕 独詠 植物 [訓異]あきかぜに,[寛]あきかせに, なびくかはびの,[寛]なひくかはへの, にこぐさの,[寛]にこくさの, にこよかにしも[寛], おもほゆるかも[寛], [歌番号] 20/4310 [題詞](七夕歌八首) [原文]安吉佐礼婆 奇里多知和多流 安麻能河波 伊之奈弥於可<婆> 都藝弖見牟可母 [訓読]秋されば霧立ちわたる天の川石並置かば継ぎて見むかも [仮名]あきされば きりたちわたる あまのがは いしなみおかば つぎてみむかも [左注](右大伴宿祢家持獨仰天海作之) [校異]波 -> 婆 [元][類][細] [事項]天平勝宝6年7月7日 年紀 作者:大伴家持 七夕 独詠 [訓異]あきされば,[寛]あきされは, きりたちわたる[寛], あまのがは,[寛]あまのかは, いしなみおかば,[寛]いしなみおかは, つぎてみむかも,[寛]つきてみむかも, [歌番号] 20/4311 [題詞](七夕歌八首) [原文]秋風尓 伊麻香伊麻可等 比母等伎弖 宇良麻知乎流尓 月可多夫伎奴 [訓読]秋風に今か今かと紐解きてうら待ち居るに月かたぶきぬ [仮名]あきかぜに いまかいまかと ひもときて うらまちをるに つきかたぶきぬ [左注](右大伴宿祢家持獨仰天海作之) [校異]なし [事項]天平勝宝6年7月7日 年紀 作者:大伴家持 七夕 独詠 [訓異]あきかぜに,[寛]あきかせに, い