Shinkokin Wakashū — Fujiwara no Teika
新古今和歌集 新古今和歌集 編者: 源通具 六条有家 藤原定家 藤原家隆 飛鳥井雅経 寂蓮 元久二年 1205年 書誌情報 姉妹プロジェクト:Wikipediaの記事, Commonsギャラリ, データ項目 『新古今和歌集』(しんこきんわかしゅう)は鎌倉時代初期、後鳥羽上皇の勅命によって編まれた勅撰和歌集。古今和歌集以後の8勅撰和歌集、いわゆる「八代集」の最後を飾る。『古今集』を範として七代集を集大成する目的で編まれ、新興文学である連歌・今様に侵蝕されつつあった短歌の世界を典雅な空間に復帰させようとした歌集。古今以来の伝統を引き継ぎ、かつ独自の美世界を現出した。「万葉」「古今」と並んで三大歌風の一である「新古今調」を作り、和歌のみならず後世の連歌・俳諧・謡曲に大きな影響を残した。— ウィキペディア日本語版「新古今和歌集」より。 巻第一 春歌 上 巻第二 春歌 下 巻第三 夏歌 巻第四 秋歌 上 巻第五 秋歌 下 巻第六 冬歌 巻第七 賀歌 巻第八 哀傷歌 巻第九 離別歌 巻第十 羈旅歌 巻第十一 恋歌 一 巻第十二 恋歌 二 巻第十三 恋歌 三 巻第十四 恋歌 四 巻第十五 恋歌 五 巻第十六 雑歌 上 巻第十七 雑歌 中 巻第十八 雑歌 下 巻第十九 神祇歌 巻第二十 釈教歌 巻第一 巻第二 → 新古今和歌集 巻第一 巻一:春上 00001 [詞書]はるたつこゝろをよみ侍りける 摂政太政大臣 みよしのは山もかすみてしらゆきのふりにしさとに春はきにけり みよしのは-やまもかすみて-しらゆきの-ふりにしさとに-はるはきにけり 00002 [詞書]はるのはしめのうた 太上天皇 ほの 〳 〵 とはるこそゝらにきにけらしあまのかく山かすみたなひく ほのほのと-はるこそそらに-きにけらし-あまのかくやま-かすみたなひく 00003 [詞書]百首哥たてまつりし時はるのうた 式子内親王 山ふかみ春ともしらぬ松のとにたえ 〳 〵 かゝる雪のたまみつ やまふかみ-はるともしらぬ-まつのとに-たえたえかかる-ゆきのたまみつ 00004 [詞書]五十首哥たてまつりし時 宮内卿 かきくらしなをふるさとのゆきのうちにあとこそ見えね春はきにけり かきくらし-なほふるさとの-ゆきのうちに-あとこそみえね-はるはきにけり 00005 [詞書]入道前関白太政大臣右大臣に侍ける時百首哥よませ侍けるに立春の心を 皇太后宮大夫俊成 けふといへはもろこしまてもゆく春をみやこにのみとおもひけるかな けふといへは-もろこしまても-ゆくはるを-みやこにのみと-おもひけるかな 00006 [詞書]題しらす 俊恵法師 春といへはかすみにけりなきのふまてなみまに見えしあはちしま山 はるといへは-かすみにけりな-きのふまて-なみまにみえし-あはちしまやま 00007 西行法師 いはまとちしこほりもけさはとけそめてこけのしたみつみちもとむらん いはまとちし-こほりもけさは-とけそめて-こけのしたみつ-みちもとむらむ 00008 よみ人しらす 風ませに雪はふりつゝしかすかに霞たなひき春はきにけり かせませに-ゆきはふりつつ-しかすかに-かすみたなひき-はるはきにけり 00009 ときはいま春になりぬとみゆきふるとをき山へにかすみたなひく ときはいま-はるになりぬと-みゆきふる-とほきやまへに-かすみたなひく 00010 [詞書]堀河院御時百首哥たてまつりけるにのこりのゆきのこゝろをよみ侍りける 権中納言国信 かすかのゝしたもえわたるくさのうへにつれなくみゆる春のあは雪 かすかのの-したもえわたる-くさのうへに-つれなくみゆる-はるのあはゆき 00011 [詞書]題しらす 山辺赤人 あすからはわかなつまむとしめしのにきのふもけふも雪はふりつゝ あすからは-わかなつまむと-しめしのに-きのふもけふも-ゆきはふりつつ 00012 [詞書]天暦御時屏風哥 壬生忠見 かすかのゝくさはみとりになりにけりわかなつまむとたれかしめけん かすかのの-くさはみとりに-なりにけり-わかなつまむと-たれかしめけむ 00013 [詞書]崇徳院に百首哥たてまつりける時はるのうた 前参議教長 わかなつむそてとそ見ゆるかすかのゝとふひのゝへの雪のむらきえ わかなつむ-そてとそみゆる-かすかのの-とふひののへの-ゆきのむらきえ 00014 [詞書]延喜御時の屏風に 紀貫之 ゆきて見ぬ人もしのへとはるの野のかたみにつめるわかなゝりけり ゆきてみぬ-ひともしのへと-はるののの-かたみにつめる-わかななりけり 00015 [詞書]述懐百首哥よみ侍けるにわかな 皇太后宮大夫俊成 さはにおふるわかなならねといたつらにとしをつむにもそてはぬれけり さはにおふる-わかなならねと-いたつらに-としをつむにも-そてはぬれけり 00016 [詞書]日吉社によみてたてまつりける子日の哥 さゝなみやしかのはまゝつふりにけりたかよにひけるねの日なるらん ささなみや-しかのはままつ-ふりにけり-たかよにひける-ねのひなるらむ 00017 [詞書]百首たてまつりし時 藤原家隆朝臣 たにかはのうちいつるなみもこゑたてつ鴬さそへはるの山かせ たにかはの-うちいつるなみも-こゑたてつ-うくひすさそへ-はるのやまかせ 00018 [詞書]和哥所にて関路鴬といふことを 太上天皇 鴬のなけともいまたふるゆきにすきの葉しろきあふさかの山 うくひすの-なけともいまた-ふるゆきに-すきのはしろき-あふさかのやま 00019 [詞書]堀河院に百首哥たてまつりける時のこりのゆきのこゝろをよみ侍ける 藤原仲実朝臣 春きては花とも見よとかたをかの松のうは葉にあは雪そふる はるきては-はなともみよと-かたをかの-まつのうははに-あはゆきそふる 00020 [詞書]題しらす 中納言家持 まきもくのひはらのいまたくもらねはこまつかはらにあは雪そふる まきもくの-ひはらのいまた-くもらねは-こまつかはらに-あはゆきそふる 00021 よみ人しらす いまさらにゆきふらめやもかけろふのもゆるはるひとなりにしものを いまさらに-ゆきふらめやも-かけろふの-もゆるはるひと-なりにしものを 00022 凡河内躬恒 いつれをか花とはわかむふるさとのかすかのはらにまたきえぬ雪 いつれをか-はなともわかむ-ふるさとの-かすかのはらに-またきえぬゆき 00023 [詞書]家百首哥合に余寒の心を 摂政太政大臣 そらはなをかすみもやらす風さえて雪けにくもる春のよの月 そらはなほ-かすみもやらす-かせさえて-ゆきけにくもる-はるのよのつき 00024 [詞書]和哥所にて春山月といふ心をよめる 越前 やまふかみなをかけさむし春の月そらかきくもり雪はふりつゝ やまふかみ-なほかけさむし-はるのつき-そらかきくもり-ゆきはふりつつ 00025 [詞書]詩をつくらせて哥にあはせ侍しに水郷春望といふことを 左衛門督通光 みしまえやしもゝまたひぬあしの葉につのくむほとの春風そ吹 みしまえや-しももまたひぬ-あしのはに-つのくむほとの-はるかせそふく 00026 藤原秀能 ゆふつくよしほみちくらしなにはえのあしのわか葉にこゆるしらなみ ゆふつくよ-しほみちくらし-なにはえの-あしのわかはに-こゆるしらなみ 00027 [詞書]春哥とて 西行法師 ふりつみしたかねのみゆきとけにけりきよたき河の水のしらなみ ふりつみし-たかねのみゆき-とけにけり-きよたきかはの-みつのしらなみ 00028 源重之 むめかえにものうきほとにちるゆきを花ともいはし春のなたてに うめかえに-ものうきほとに-ちるゆきを-はなともいはし-はるのなたてに 00029 山辺赤人 あつさゆみはる山ちかくいゑゐしてたえすきゝつる鴬のこゑ あつさゆみ-はるやまちかく-いへゐして-たえすききつる-うくひすのこゑ 00030 読人しらす むめかえになきてうつろふうくひすのはねしろたへにあはゆきそふる うめかえに-なきてうつろふ-うくひすの-はねしろたへに-あはゆきそふる 00031 [詞書]百首哥たてまつりし時 惟明親王 鴬のなみたのつらゝうちとけてふるすなからや春をしるらん うくひすの-なみたのつらら-うちとけて-ふるすなからや-はるをしるらむ 00032 [詞書]題しらす 志貴皇子 いはそゝくたるみのうへのさわらひのもえいつる春になりにけるかな いはそそく-たるみのうへの-さわらひの-もえいつるはるに-なりにけるかな 00033 [詞書]百首哥たてまつりし時 前大僧正慈円 あまのはらふしのけふりの春の色のかすみになひくあけほのゝそら あまのはら-ふしのけふりの-はるのいろの-かすみになひく-あけほののそら 00034 [詞書]崇徳院に百首哥たてまつりける時 藤原清輔朝臣 あさかすみふかく見ゆるやけふりたつむろのやしまのわたりなるらん あさかすみ-ふかくみゆるや-けふりたつ-むろのやしまの-わたりなるらむ 00035 [詞書]晩霞といふことをよめる 後徳大寺左大臣 なこのうみのかすみのまよりなかむれはいる日をあらふおきつしらなみ なこのうみの-かすみのまより-なかむれは-いりひをあらふ-おきつしらなみ 00036 [詞書]をのことも詩をつくりて哥にあはせ侍しに水郷春望といふことを 太上天皇 見わたせは山もとかすむみなせかはゆふへはあきとなにおもひけん みわたせは-やまもとかすむ-みなせかは-ゆふへはあきと-なにおもひけむ 00037 [詞書]摂政太政大臣家百首哥合に春のあけほのといふ心をよみ侍ける 藤原家隆朝臣 かすみたつすゑの松山ほの 〳 〵 となみにはなるゝよこ雲のそら かすみたつ-すゑのまつやま-ほのほのと-なみにはなるる-よこくものそら 00038 [詞書]守覚法親王五十首哥よませ侍けるに 藤原定家朝臣 春のよの夢のうきはしとたえしてみねにわかるゝよこ雲のそら はるのよの-ゆめのうきはし-とたえして-みねにわかるる-よこくものそら 00039 [詞書]きさらきまてむめのはなさき侍らさりけるとしよみ侍ける 中務 しるらめやかすみのそらをなかめつゝ花もにほはぬ春をなけくと しるらめや-かすみのそらを-なかめつつ-はなもにほはぬ-はるをなけくと 00040 [詞書]守覚法親王家五十首哥に 藤原定家朝臣 おほそらはむめのにほひにかすみつゝくもりもはてぬ春のよの月 おほそらは-うめのにほひに-かすみつつ-くもりもはてぬ-はるのよのつき 00041 [詞書]題しらす 宇治前関白太政大臣 おられけりくれなゐにほふむめのはなけさしろたへに雪はふれゝと をられけり-くれなゐにほふ-うめのはな-けさしろたへに-ゆきはふりつつ 00042 [詞書]かきねのむめをよみ侍りける 藤原敦家朝臣 あるしをはたれともわかす春はたゝかきねのむめをたつねてそみる あるしをは-たれともわかす-はるはたた-かきねのうめを-たつねてそみる 00043 [詞書]梅花遠薫といへる心をよみ侍ける 源俊頼朝臣 心あらはとはましものをむめかゝにたか袖よりかにほひきつらん こころあらは-とはましものを-うめかかに-たかさとよりか-にほひきつらむ 00044 [詞書]百首哥たてまつりし時 藤原定家朝臣 むめの花にほひをうつす袖のうへにのきもる月のかけそあらそふ うめのはな-にほひをうつす-そてのうへに-のきもるつきの-かけそあらそふ 00045 藤原家隆朝臣 むめかゝにむかしをとへは春の月こたへぬかけそ袖にうつれる うめかかに-むかしをとへは-はるのつき-こたへぬかけそ-そてにうつれる 00046 [詞書]千五百番の哥合に 右衛門督通具 むめの花たか袖ふれしにほひそと春やむかしの月にとはゝや うめのはな-たかそてふれし-にほひそと-はるやむかしの-つきにとははや 00047 皇太后宮大夫俊成女 むめの花あかぬ色香もむかしにておなしかたみの春のよの月 うめのはな-あかぬいろかも-むかしにて-おなしかたみの-はるのよのつき 00048 [詞書]梅花にそへて大弐三位につかはしける 権中納言定頼 見ぬ人によそへて見つるむめの花ちりなんのちのなくさめそなき みぬひとに-よそへてみつる-うめのはな-ちりなむのちの-なくさめそなき 00049 [詞書]返し 大弐三位 春ことに心をしむる花のえにたかなをさりの袖かふれつる はることに-こころをしむる-はなのえに-たかなほさりの-そてかふれつる 00050 [詞書]二月雪落衣といふことをよみ侍ける 康資王母 むめちらす風もこえてやふきつらんかほれる雪のそてにみたるゝ うめちらす-かせもこえてや-ふきつらむ-かをれるゆきの-そてにみたるる 00051 [詞書]題しらす 西行法師 とめこかしむめさかりなるわかやとをうときも人はおりにこそよれ とめこかし-うめさかりなる-わかやとを-うときもひとは-をりにこそよれ 00052 [詞書]百首哥たてまつりしに春哥 式子内親王 なかめつるけふはむかしになりぬとものきはのむめはわれをわするな なかめつる-けふはむかしに-なりぬとも-のきはのうめは-われをわするな 00053 [詞書]土御門内大臣の家に梅香留袖といふ事をよみ侍けるに 藤原有家朝臣 ちりぬれはにほひはかりをむめの花ありとや袖に春風のふく ちりぬれは-にほひはかりを-うめのはな-ありとやそてに-はるかせのふく 00054 [詞書]題しらす 八条院高倉 ひとりのみなかめてちりぬむめの花しるはかりなる人はとひこす ひとりのみ-なかめてちりぬ-うめのはな-しるはかりなる-ひとはとひこす 00055 [詞書]文集嘉陵春夜詩不明不暗朧々月といへることをよみ侍りける 大江千里 てりもせすくもりもはてぬはるのよのおほろ月よにしく物そなき てりもせす-くもりもはてぬ-はるのよの-おほろつきよに-しくものそなき 00056 [詞書]祐子内親王ふちつほにすみ侍けるに女房うへ人なとさるへきかきりものかたりして春秋のあはれいつれにかこゝろひくなとあらそひ侍けるに人 〳 〵 おほく秋に心をよせ侍けれは 菅原孝標女 あさみとり花もひとつにかすみつゝおほろに見ゆる春のよの月 あさみとり-はなもひとつに-かすみつつ-おほろにみゆる-はるのよのつき 00057 [詞書]百首哥たてまつりし時 源具親 なにはかたかすまぬなみもかすみけりうつるもくもるおほろ月よに なにはかた-かすまぬなみも-かすみけり-うつるもくもる-おほろつきよに 00058 [詞書]摂政太