文化祭の準備 — Epoche B1
場面設定: ナイロビ・ウェストランド地区の高校、放課後。原価表で冷静に赤字を可視化する会計係ジャネットと、強気宣言の実行委員長アモス。 ジャネット、うちのクラス、文化祭はタコス屋で正式決定だ。俺が実行委員長で、五百個売って予算一万シリング、余裕だから任せろよ。 委員長、了解。一つ確認させて、原価を計算してみたんだ。トルティーヤが一枚八シリング、ひき肉、チーズ、トマト、ソースを合計すると一個あたり二十二シリングで、五百個だと原価が一万一千シリング。予算一万に対して、もう千シリング赤字なんだよ。 ……え、ちゃんと計算してなかった。売値を三十シリングに強気設定すれば、黒字になるはずだろ。 売値三十は、隣町の屋台相場が二十五だから、すでに強気だよ。今年は他のクラスもホットドッグ二十、チャパティロール十五で出す予定だから、価格競争はかなり厳しいわけ。 ……三十だと売れない可能性あるか。 過去三年の文化祭の売上データを先生からお借りしてみた。タコスと似た価格帯の食品の平均は、上限が二百八十個。五百個完売は、三十円ではほぼ不可能ということになる。 ……数字は冷たいけど、説得力あるな。じゃあ二百八十個で予算はどうなる? 二百八十個なら原価が六千百六十、売値二十五で売上が七千、粗利八百四十。そこから広告のミニポスター印刷代二百を引くと、実質六百四十。利益を追うなら、チーズを省いて原価を十七まで下げる工夫が必要なようにする。 ……俺、委員長として強気だけで進めるわけにはいかないな。 今夜の委員会で、赤字シナリオと黒字シナリオの両方をスライドにして出して、クラスで決めるようにしましょう。委員長として強気で信頼を集めることと、数字で冷静に説得することは同じくらい大事だよ。仕入先の見積もりは三社分すでに取っておいたから、後で確認していただきたい。 解説: 「余裕」が原価表と過去三年データで粉砕される本音の漏れ+会計係が委員長を冷静に軌道修正する役割逆転。「強気と冷静な数字は同じくらい大事」――組織運営の基本を高校生が体得する瞬間。