絵を描くのが好き — Epoche A2
場面設定: フィレンツェ・ウフィツィ美術館近くのカフェ、午後。意欲満々で自画自賛のアマチュア画家ジュリアと、静かなマルコ(祖母が画家)。 マルコ、見て。来月の、市のコンテスト、出す絵。タイトルは「夏の窓辺」。 ……へえ。窓、花瓶、青い布、ですね。 構図、自信あるの。完全に、私の、オリジナル。一ヶ月、この席で、描いた。 ジュリア、後ろ、見てみて。 (振り返る)……壁の、絵? 同じ、窓、同じ、花瓶、同じ、青い布。 ……嘘でしょ。毎日、見てた、けど、意識、してなかった。 あれ、僕の、祖母が、五十年前に、描いた絵。カフェのオーナーは、祖母の弟。 ……コンテスト、取り下げる。 取り下げなくて、いい。「祖母への、オマージュ」と、一言、添えて、出して。 解説: 「完全オリジナル」と言い切った絵が、毎日見ていた祖母の絵の無意識の模倣だった意外な共通点。「オマージュ」と添えれば作品になる、マルコの粋な助言。