お正月のおせちで揉める — Epoche B1
場面設定: 東京の実家の居間、お正月の食卓。伝統派の母ヨウコが作った重箱を前に、健康志向の娘ミキが「味が濃すぎる」と文句を言う。 ……お母さん、これ、塩分どれくらい入ってるの? ……普通のおせち。これが伝統。 ……伝統は伝統だけど、健康にはちょっと……。 ……毎年作ってる味。お父さんもおじいちゃんも、これでずっと元気だった。 ……でも、私の世代は、もう少し薄味でも……。 ……まあ食べてみて。本当に濃いと思う? ……(一口食べて)……あれ?これ、薄味だ。 ……今年は、あなたが去年送ってくれた減塩レシピで作ったの。 ……えっ、覚えててくれたの? ……あなたの言うこと、文句言いつつ、ちゃんと聞いてるよ。 解説: 「世代差の味付け論争」――伝統と健康の対立を予想させて、実は母が娘のレシピで作っていた、という肩透かし。「文句言いつつ、ちゃんと聞いてる」という最終ターンは、家族の世代を超えた愛情表現。ブリヤ=サヴァラン『美味礼讃』(1825)の通り、家庭料理は世代をつなぐ媒介――その小さな現代版。