結婚式の二次会で — Epoche B2
場面設定: カイロ・ザマレクの結婚式二次会会場、夜。酔ったエジプト人ハッサンが、五年前のイタリア人友人ジュリオの「君は将来何もできない」発言を蒸し返し、ジュリオは冷静に否定する。 ……ジュリオ、五年前、お前、僕に「お前は何もできない」って言ったよな? ……えっ?言ってないと思う。 ……言ったって。あの大学時代の集まりで。 ……ハッサン、酔ってるね。落ち着こう。 ……ずっと心に引っかかってた。今夜こそ、ハッキリさせる。 ……記憶ない。本当に。けど、もし傷つけたなら、今、謝る。 ……二人とも、何の話?「お前は何もできない」? ……(振り返って)……あれ。 ……それ、五年前、私が言った気がする。冗談で。 ……ハッサン、五年間、僕を恨んでた相手、間違えてたよ。 解説: 「五年越しの誤解」――酔った勢いで蒸し返した発言の真の発言者が、目の前の新郎の父だったという状況の急変。ハッサンの五年間の恨みが、宛先違いだったという滑稽な真相。タネン『男と女の話し方』(1990)が論じた、記憶の歪みは時間とともに人物まで取り違える――ということを、結婚式という賑やかな場で軽妙に演じた一場面。