陶芸、やってみたい — Epoche A2
場面設定: 京都・五条坂の陶芸教室、午後。陶芸歴四十年の山岸先生のもとへ、憧れて七海が体験を申し込みに来た。 先生、すみません、初めてなんですけど、陶芸、やってみたくて。インスタで先生のお茶碗を見て、どうしてもこちらに伺いたくて。 ああ、ようこそ。よく来てくれましたね。陶芸を始めるつもりなら、土に触ることから。難しく考えなくていいですよ。 緊張します……。インスタの作品があんなに洗練されてて、自分が作るとなると、絶対不格好になるんじゃないかって。 不格好で結構。陶芸は失敗が当たり前のなかで、土と仲良くなる作業です。最初の三ヶ月は、形を作るより、土を知ることから。 三ヶ月、土を知る、ですか……贅沢な時間ですね。じゃあ、どんな心構えで臨めばいいでしょうか。 始めるにあたって一つだけ。「失敗作は捨てるためのもの」と思わない。割れた茶碗にも、その時間が宿っています。 その言葉、響きました。職人さんって、最初から綺麗に作れたんでしょうね、って勝手に思ってましたが、違うんですね。 とんでもない。じゃあ、来週の体験会、申し込んでいきますか。同じ初心者の方も何人かいますから、安心して。 ぜひお願いします。先生の最初の作品、もしかして大事に取ってあるんですか? (笑)私の最初の作品はね、ろくろから降ろすときに割れてしまって、結局捨てたんですよ。だから今でも、降ろす瞬間、緊張する。 解説: 共同体の歓迎、段階的な指導、失敗の許容で初心者の心をほぐす。古参の「最初の作品は割れて捨てた」という告白が、職人の権威を等身大に戻す。