マンション管理組合の会議 — Epoche C1
場面設定: 台北・信義区高層マンション集会室で、台湾人理事長と日本人・韓国人住民が大規模修繕計画を討議する3者会議。 皆様、本日のマンション管理組合臨時会議にお集まりいただきありがとうございます。築15年を迎えましての大規模修繕計画に関しまして、ご説明申し上げ、承認をお諮りいたします。外壁、屋上防水、給排水管の更新を含め、総額1億2千万台湾元の工事予算でございます。 陳理事長、詳細なご説明ありがとうございます。総額1億2千万元に関しまして、配付資料では永信建設のみの見積もりしか掲載されておりません。相見積もりは何社から取られたのでしょうか。 田村様、ご質問ありがとうございます。理事会では3社から見積もりを取得いたしました。永信建設が1.20億、大同建設が1.38億、興盛建設が1.42億でございまして、最安値の永信を推薦する次第でございます。 陳理事長、本件に関して一点伺わせてください。私は韓国で同規模マンションの大規模修繕経験がございますが、3社の見積もり幅が18%以内というのは台湾市場では珍しい範囲でございます。通常は最安と最高で30〜40%の差が出るのが一般的と承知しておりますが、いかがでしょうか。 キム様、ご指摘を踏まえ、率直にご説明いたします。3社とも信義区で実績のある中堅ゼネコンでございまして、仕様書も共通化しておりますので、見積もり幅が狭いものと承知しております。 もう一点ご質問させてください。永信建設は2年前の共用廊下補修工事、5年前の駐車場補修工事、そして昨年のエレベータ保守契約と、過去の主要工事を全て受注しておられます。これに関しまして、競争入札の透明性について住民側から懸念が出ているわけでございます。 ……率直に申し上げないわけにはまいりません。永信建設の副社長は私の義兄にあたる陳永福でございまして、家族関係にございます。過去の工事につきましては、見積もり比較の上で正当に選定したと理事会内で判断してまいりましたが、継続受注の事実を踏まえますと、外部から見て利益相反の疑いを持たれても致し方ない状況でございます。 陳理事長、率直にご開示いただきましたことに敬意を表します。ただ、1億2千万元の工事を家族経営企業に発注することは、今回は避けざるを得ないと存じます。韓国住宅法では、管理組合役員の家族3親等以内の企業は入札参加禁止でございます。台湾にも類似規定があると承知いたしておりますが。 台湾の公寓大廈管理条例にも同趣旨の規定がございます。第三者機関を介した入札が推奨されておりまして、私自身の理事長としての義務を十分果たせていなかったことを認めざるを得ません。本件に関しては、新たな進め方をご提案させてください。 ご提案を伺えれば幸いでございます。住民としましては、透明性を確保した上で最適な業者選定を希望いたしております。 第一に、永信建設を候補から除外いたします。第二に、台湾建築師公会の推薦する第三者コンサル会社に業者選定プロセス全体を委託し、コンサル費は管理組合負担で約60万元を別途計上いたします。第三に、6社以上からの競争入札を公募し、評価基準を事前に住民総会で議決する次第でございます。 極めて建設的なご提案でございます。コンサル費60万元は総工事費の0.5%にすぎず、透明性確保のコストとして合理的でございます。第3項の評価基準の住民総会議決について、具体的にはどのような項目を想定されておられますか。 価格40%、過去10年の同規模実績25%、工期遵守率20%、保証期間15%、計100点の加重評価方式を原案としております。次回の住民総会で承認いただき次第、コンサル会社と入札公募を6月開始、8月までに業者選定完了、9月工事着工というスケジュールでございます。 陳理事長のご決断に敬意を表します。利益相反を自ら率直に開示し、透明化プロセスを自ら主導される姿勢は、管理組合役員の模範と存じます。私と金様から他の住民の皆様に本日の議論を正確にお伝えし、次回総会での建設的議論を後押しさせていただきます。 解説: 本音の漏れ(理事長の義兄が業者副社長)が予想外の返し(理事長自ら家族企業排除と第三者コンサル導入を提案)で結ばれる。利益相反を糊塗せず透明化を主導する姿勢が信頼回復の核心。