Man'yōshū, Volume 6 — Ōtomo no Yakamochi and others, compiled
万葉集/第六巻 ← 第五巻 第七巻 → 万葉集 第六巻 第六巻 [歌番号] 06/0907 [題詞]雜歌 / 養老七年癸亥夏五月幸于芳野離宮時笠朝臣金村作歌一首[并短歌] [原文]瀧上之 御舟乃山尓 水枝指 四時尓<生>有 刀我乃樹能 弥継嗣尓 萬代 如是二<二>知三 三芳野之 蜻蛉乃宮者 神柄香 貴将有 國柄鹿 見欲将有 山川乎 清々 諾之神代従 定家良思母 [訓読]瀧の上の 三船の山に 瑞枝さし 繁に生ひたる 栂の木の いや継ぎ継ぎに 万代に かくし知らさむ み吉野の 秋津の宮は 神からか 貴くあるらむ 国からか 見が欲しからむ 山川を 清みさやけみ うべし神代ゆ 定めけらしも [仮名]たきのうへの みふねのやまに みづえさし しじにおひたる とがのきの いやつぎつぎに よろづよに かくししらさむ みよしのの あきづのみやは かむからか たふとくあるらむ くにからか みがほしくあらむ やまかはを きよみさやけみ うべしかむよゆ さだめけらしも [左注]なし [校異]歌 [西] 謌 / 作歌 [西] 作謌 [西(訂正)] 作歌 / 主 -> 生 [元][類][紀] / 三 -> 二 [元][類][古] [事項]雑歌 作者:笠金村 吉野 地名 行幸 従駕 宮廷讃美 離宮 養老7年5月 年紀 植物 枕詞 [訓異]たきのうへの[寛], みふねのやまに[寛], みづえさし,[寛]みつえさし, しじにおひたる,[寛]ししにおひたる, とがのきの,[寛]とかのきの, いやつぎつぎに,[寛]いやつきつきに, よろづよに,[寛]よろつよに, かくししらさむ,[寛]かくににしらみ, みよしのの[寛], あきづのみやは,[寛]あきつのみやは, かむからか,[寛]かみからか, たふとくあるらむ,[寛]たふとかるらむ, くにからか[寛], みがほしくあらむ,[寛]みまほしからむ, やまかはを[寛], きよみさやけみ,[寛]さやけくすめり, うべしかむよゆ,[寛]うへしかみよゆ, さだめけらしも,[寛]さためけらしも, [歌番号] 06/0908 [題詞](雑歌 / 養老七年癸亥夏五月幸于芳野離宮時笠朝臣金村作歌一首[并短歌])反歌二首 [原文]毎年 如是裳見<壮>鹿 三吉野乃 清河内之 多藝津白浪 [訓読]年のはにかくも見てしかみ吉野の清き河内のたぎつ白波 [仮名]としのはに かくもみてしか みよしのの きよきかふちの たぎつしらなみ [左注]なし [校異]歌 [西] 謌 / 牡 -> 壮 [元][金][類] [事項]雑歌 作者:笠金村 吉野 行幸 従駕 宮廷讃美 離宮 養老7年5月 年紀 地名 [訓異]としのはに[寛], かくもみてしか[寛], みよしのの[寛], きよきかふちの,[寛]きよきかうちの, たぎつしらなみ,[寛]たきつしらなみ, [歌番号] 06/0909 [題詞]((雑歌 / 養老七年癸亥夏五月幸于芳野離宮時笠朝臣金村作歌一首[并短歌])反歌二首) [原文]山高三 白木綿花 落多藝追 瀧之河内者 雖見不飽香聞 [訓読]山高み白木綿花におちたぎつ瀧の河内は見れど飽かぬかも [仮名]やまたかみ しらゆふばなに おちたぎつ たきのかふちは みれどあかぬかも [左注]なし [校異]なし [事項]雑歌 作者:笠金村 吉野 行幸 従駕 宮廷讃美 離宮 養老7年5月 年紀 [訓異]やまたかみ[寛], しらゆふばなに,[寛]しらゆふはなに, おちたぎつ,[寛]おちたきつ, たきのかふちは,[寛]たきのかわちは, みれどあかぬかも,[寛]みれとあかぬかも, [歌番号] 06/0910 [題詞](雑歌 / 養老七年癸亥夏五月幸于芳野離宮時笠朝臣金村作歌一首[并短歌])或本反<歌>曰 [原文]神柄加 見欲賀藍 三吉野乃 瀧<乃>河内者 雖見不飽鴨 [訓読]神からか見が欲しからむみ吉野の滝の河内は見れど飽かぬかも [仮名]かむからか みがほしからむ みよしのの たきのかふちは みれどあかぬかも [左注]なし [校異]謌歌 -> 歌 [西(訂正)] / <> -> 乃 [元][金][類][紀] [事項]雑歌 作者:笠金村 吉野 行幸 従駕 宮廷讃美 離宮 養老7年5月 年紀 或本歌 異伝 地名 [訓異]かむからか,[寛]かみからか, みがほしからむ,[寛]みまほしからむ, みよしのの[寛], たきのかふちは,[寛]たきつかうちは, みれどあかぬかも,[寛]みれとあかぬかも, [歌番号] 06/0911 [題詞]((雑歌 / 養老七年癸亥夏五月幸于芳野離宮時笠朝臣金村作歌一首[并短歌])或本反<歌>曰) [原文]三芳野之 秋津乃川之 万世尓 断事無 又還将見 [訓読]み吉野の秋津の川の万代に絶ゆることなくまたかへり見む [仮名]みよしのの あきづのかはの よろづよに たゆることなく またかへりみむ [左注]なし [校異]なし [事項]雑歌 作者:笠金村 吉野 行幸 従駕 宮廷讃美 離宮 養老7年5月 年紀 或本歌 異伝 地名 [訓異]みよしのの[寛], あきづのかはの,[寛]あきつのかはの, よろづよに,[寛]よろつよに, たゆることなく[寛], またかへりみむ[寛], [歌番号] 06/0912 [題詞]((雑歌 / 養老七年癸亥夏五月幸于芳野離宮時笠朝臣金村作歌一首[并短歌])或本反<歌>曰) [原文]泊瀬女 造木綿花 三吉野 瀧乃水沫 開来受屋 [訓読]泊瀬女の造る木綿花み吉野の滝の水沫に咲きにけらずや [仮名]はつせめの つくるゆふばな みよしのの たきのみなわに さきにけらずや [左注]なし [校異]なし [事項]雑歌 作者:笠金村 吉野 行幸 従駕 宮廷讃美 離宮 養老7年5月 年紀 或本歌 異伝 地名 [訓異]はつせめの[寛], つくるゆふばな,[寛]つくるゆふはな, みよしのの[寛], たきのみなわに,[寛]たきのみなはに, さきにけらずや,[寛]さききたらすや, [歌番号] 06/0913 [題詞]車持朝臣千年作歌一首[并短歌] [原文]味凍 綾丹乏敷 鳴神乃 音耳聞師 三芳野之 真木立山湯 見降者 川之瀬毎 開来者 朝霧立 夕去者 川津鳴奈<拝> 紐不解 客尓之有者 吾耳為而 清川原乎 見良久之惜蒙 [訓読]味凝り あやにともしく 鳴る神の 音のみ聞きし み吉野の 真木立つ山ゆ 見下ろせば 川の瀬ごとに 明け来れば 朝霧立ち 夕されば かはづ鳴くなへ 紐解かぬ 旅にしあれば 我のみして 清き川原を 見らくし惜しも [仮名]うまこり あやにともしく なるかみの おとのみききし みよしのの まきたつやまゆ みおろせば かはのせごとに あけくれば あさぎりたち ゆふされば かはづなくなへ ひもとかぬ たびにしあれば わのみして きよきかはらを みらくしをしも [左注](右年月不審 但以歌類載於此次焉 / 或本云 養老七年五月幸于芳野離宮之時作) [校異]歌 [西] 謌 [西(訂正)] 歌 / 短歌 [西] 短謌 [西(訂正)] 短歌 / 辨詳 -> 拝 [元][類][紀] [古](楓) 利 [事項]雑歌 作者:車持千年 吉野 行幸 従駕 宮廷讃美 羈旅 養老7年5月 年紀 動物 地名 枕詞 [訓異]うまこり,[寛]あちこりの, あやにともしく[寛], なるかみの[寛], おとのみききし[寛], みよしのの[寛], まきたつやまゆ[寛], みおろせば,[寛]みくたせは, かはのせごとに,[寛]かはのせことに, あけくれば,[寛]あけくれは, あさぎりたち,[寛]あさきりたちて, ゆふされば,[寛]ゆふされは, かはづなくなへ,[寛]かはつなきなへ, ひもとかぬ,[寛]ひもとかす, たびにしあれば,[寛]たひにしあるは, わのみして,[寛]われにして, きよきかはらを[寛], みらくしをしも[寛], [歌番号] 06/0914 [題詞](車持朝臣千年作歌一首[并短歌])反歌一首 [原文]瀧上乃 三船之山者 雖<畏> 思忘 時毛日毛無 [訓読]滝の上の三船の山は畏けど思ひ忘るる時も日もなし [仮名]たきのうへの みふねのやまは かしこけど おもひわするる ときもひもなし [左注](右年月不審 但以歌類載於此次焉 / 或本云 養老七年五月幸于芳野離宮之時作) [校異]歌 [西] 謌 [西(訂正)] 歌 / <> -> 畏 [西(右書)][元][金][類] [事項]雑歌 作者:車持千年 吉野 行幸 従駕 宮廷讃美 羈旅 養老7年5月 年紀 地名 [訓異]たきのうへの[寛], みふねのやまは[寛], かしこけど,[寛]かしこけと, おもひわするる[寛], ときもひもなし[寛], [歌番号] 06/0915 [題詞](車持朝臣千年作歌一首[并短歌])或本反歌曰 [原文]千鳥鳴 三吉野川之 <川音> 止時梨二 所思<公> [訓読]千鳥泣くみ吉野川の川音のやむ時なしに思ほゆる君 [仮名]ちどりなく みよしのかはの かはおとの やむときなしに おもほゆるきみ [左注](右年月不審 但以歌類載於此次焉 / 或本云 養老七年五月幸于芳野離宮之時作) [校異]歌 [西] 謌 [西(訂正)] 歌 / 音成 -> 川音 [金][紀] / 君 -> 公 [元][金][類] [事項]雑歌 作者:車持千年 吉野 行幸 従駕 宮廷讃美 羈旅 養老7年5月 年紀 或本歌 異伝 枕詞 動物 序詞 [訓異]ちどりなく,[寛]ちとりなく, みよしのかはの[寛], かはおとの,[寛]おとしなみ, やむときなしに[寛], おもほゆるきみ[寛], [歌番号] 06/0916 [題詞]((車持朝臣千年作歌一首[并短歌])或本反歌曰) [原文]茜刺 日不並二 吾戀 吉野之河乃 霧丹立乍 [訓読]あかねさす日並べなくに我が恋は吉野の川の霧に立ちつつ [仮名]あかねさす ひならべなくに あがこひは よしののかはの きりにたちつつ [左注]右年月不審 但以歌類載於此次焉 / 或本云 養老七年五月幸于芳野離宮之時作 [校異]歌 [西] 謌 [西(訂正)] 歌 / 五 [元][金][紀] 正 [事項]雑歌 作者:車持千年 吉野 行幸 従駕 讃美 羈旅 養老7年5月 年紀 或本歌 異伝 枕詞 恋情 地名 [訓異]あかねさす[寛], ひならべなくに,[寛]ひをもへなくに, あがこひは,[寛]わかこふる, よしののかはの[寛], きりにたちつつ[寛], [歌番号] 06/0917 [題詞]神龜元年甲子冬十月五日幸于紀伊國時山部宿祢赤人作歌一首[并短歌] [原文]安見知之 和期大王之 常宮等 仕奉流 左日鹿野由 背<匕>尓所見 奥嶋 清波瀲尓 風吹者 白浪左和伎 潮干者 玉藻苅管 神代従 然曽尊吉 玉津嶋夜麻 [訓読]やすみしし 我ご大君の 常宮と 仕へ奉れる 雑賀野ゆ そがひに見ゆる 沖つ島 清き渚に 風吹けば 白波騒き 潮干れば 玉藻刈りつつ 神代より しかぞ貴き 玉津島山 [仮名]やすみしし わごおほきみの とこみやと つかへまつれる さひかのゆ そがひにみゆる おきつしま きよきなぎさに かぜふけば しらなみさわき しほふれば たまもかりつつ かむよより しかぞたふとき たまつしまやま [左注](右年月不記 但称従駕玉津嶋也 因今檢注行幸年月以載之焉) [校異]歌 [西] 謌 [西(訂正)] 歌 / 短歌 [西] 短謌 [西(訂正)] 短歌 / 上 -> 匕 [西(右貼紙)][元][金] [事項]雑歌 作者:山部赤人 紀州 和歌山 行幸 神亀1年10月5日 年紀 土地讃美 羈旅 地名 枕詞 [訓異]やすみしし[寛], わごおほきみの,[寛]わかおほきみの, とこみやと[寛], つかへまつれる[寛], さひかのゆ[寛], そがひにみゆる,[寛]そかひにみゆる, おきつしま[寛], きよきなぎさに,[寛]きよきなきさに, かぜふけば,[寛]かせふけは, しらなみさわき[寛], しほふれば,[寛]しほひれは, たまもかりつつ[寛], かむよより,[寛]かみよより, しかぞたふとき,[寛]しかそたふとき, たまつしまやま[寛], [歌番号] 06/0918 [題詞](神龜元年甲子冬十月五日幸于紀伊國時山部宿祢赤人作歌一首[并短歌])反歌二首 [原文]奥嶋 荒礒之玉藻 潮干満 伊隠去者 所念武香聞 [訓読]沖つ島荒礒の玉藻潮干満ちい隠りゆかば思ほえむかも [仮名]おきつしま ありそのたまも しほひみち いかくりゆかば おもほえむかも [左注](右年月不記 但称従駕玉津嶋也 因今檢注行幸年月以載之焉) [校異]歌 [西] 謌 [西(訂正)] 歌 [事項]雑歌 作者:山部赤人 紀州 和歌山 行幸 神亀1年10月5日 年紀 土地讃美 羈旅 地名 [訓異]おきつしま[寛], ありそのたまも,[寛]あらいそのたまも, しほひみち,[寛]しほみちて, いかくりゆかば,[寛]いかくれゆかは, おもほえむかも,[寛]おもほへむかも, [歌番号] 06/0919 [題詞]((神龜元年甲子冬十月五日幸于紀伊國時山部宿祢赤人作歌一首[并短歌])反歌二首) [原文]若浦尓 塩満来者 滷乎無美 葦邊乎指天 多頭鳴渡 [訓読]若の浦に潮満ち来れば潟をなみ葦辺をさして鶴鳴き渡る [仮名]わかのうらに しほみちくれば かたをなみ あしへをさして たづなきわたる [左注]右年月不記 但称従駕玉津嶋也 因今檢注行幸年月以載之焉 [校異]なし [事項]雑歌 作者:山部赤人 紀州 和歌山 行幸 土地讃美 羈旅 地名 動物 神亀1年10月5日 年紀 [訓異]わかのうらに[寛], しほみちくれば,[寛]しほみちくれは, かたをなみ[寛], あしへをさして[寛], たづなきわたる,[寛]たつなきわたる, [歌番号] 06/0920 [題詞]神龜二年乙丑夏五月幸于芳野離宮時笠朝臣金村作歌一首[并短歌] [原文]足引之 御山毛清 落多藝都 芳野<河>之 河瀬乃 浄乎見者 上邊者 千鳥數鳴 下邊者 河津都麻喚 百礒城乃 大宮人毛 越乞尓 思自仁思有者 毎見 文丹乏 玉葛 絶事無 萬代尓 如是霜願跡 天地之 神乎曽祷 恐有等毛 [訓読]あしひきの み山もさやに 落ちたぎつ 吉野の川の 川の瀬の 清きを見れば 上辺には 千鳥しば鳴く 下辺には かはづ妻呼ぶ ももしきの 大宮人も をちこちに 繁にしあれば 見るごとに あやに乏しみ 玉葛 絶ゆることなく 万代に かくしもがもと 天地の 神をぞ祈る 畏くあれども [仮名]