Man'yōshū, Volume 2 — Ōtomo no Yakamochi et al., compiled
万葉集/第二巻 ← 第一巻 第三巻 → 万葉集 第二巻 第二巻 [歌番号] 02/0085 [題詞]相聞 / 難波高津宮御宇天皇代 [大鷦鷯天皇 謚曰仁徳天皇] / 磐姫皇后思天皇御作歌四首 [原文]君之行 氣長成奴 山多都祢 迎加将行 <待尓>可将待 [訓読]君が行き日長くなりぬ山尋ね迎へか行かむ待ちにか待たむ [仮名]きみがゆき けながくなりぬ やまたづね むかへかゆかむ まちにかまたむ [左注]右一首歌山上憶良臣類聚歌林載焉 [校異]尓待 -> 待尓 [西(訂正)][紀][金][温] [事項]相聞 仁徳天皇 作者:磐姫皇后 律令 情詩 閨房詩 大阪 伝承 仮託 恋情 女歌 [訓異]きみがゆき,[寛]きみかゆき, けながくなりぬ,[寛]けなかくなりぬ, やまたづね,[寛]やまたつね, むかへかゆかむ[寛], まちにかまたむ[寛], [歌番号] 02/0086 [題詞](相聞 / 難波高津宮御宇天皇代 [大鷦鷯天皇 謚曰仁徳天皇] / 磐姫皇后思天皇御作歌四首) [原文]如此許 戀乍不有者 高山之 磐根四巻手 死奈麻死物<呼> [訓読]かくばかり恋ひつつあらずは高山の磐根しまきて死なましものを [仮名]かくばかり こひつつあらずは たかやまの いはねしまきて しなましものを [左注]なし [校異]乎 -> 呼 [金] [事項]相聞 仁徳天皇 作者:磐姫皇后 律令 情詩 閨房詩 大阪 伝承 仮託 恋情 女歌 [訓異]かくばかり,[寛]かくはかり, こひつつあらずは,[寛]こひつつあらすは, たかやまの[寛], いはねしまきて[寛], しなましものを[寛], [歌番号] 02/0087 [題詞](相聞 / 難波高津宮御宇天皇代 [大鷦鷯天皇 謚曰仁徳天皇] / 磐姫皇后思天皇御作歌四首) [原文]在管裳 君乎者将待 打靡 吾黒髪尓 霜乃置萬代日 [訓読]ありつつも君をば待たむうち靡く我が黒髪に霜の置くまでに [仮名]ありつつも きみをばまたむ うちなびく わがくろかみに しものおくまでに [左注]なし [校異]なし [事項]相聞 仁徳天皇 作者:磐姫皇后 律令 情詩 閨房詩 大阪 伝承 仮託 恋情 女歌 [訓異]ありつつも[寛], きみをばまたむ,[寛]きみをはまたむ, うちなびく,[寛]うちなひき, わがくろかみに,[寛]わかくろかみに, しものおくまでに,[寛]しものおくまてに, [歌番号] 02/0088 [題詞](相聞 / 難波高津宮御宇天皇代 [大鷦鷯天皇 謚曰仁徳天皇] / 磐姫皇后思天皇御作歌四首) [原文]秋田之 穂上尓霧相 朝霞 何時邊乃方二 我戀将息 [訓読]秋の田の穂の上に霧らふ朝霞いつへの方に我が恋やまむ [仮名]あきのたの ほのへにきらふ あさかすみ いつへのかたに あがこひやまむ [左注]なし [校異]なし [事項]相聞 仁徳天皇 作者:磐姫皇后 律令 情詩 閨房詩 大阪 伝承 仮託 恋情 女歌 [訓異]あきのたの[寛], ほのへにきらふ,[寛]ほのうへにきりあふ, あさかすみ[寛], いつへのかたに[寛], あがこひやまむ,[寛]わかこひやまむ, [歌番号] 02/0089 [題詞](相聞 / 難波高津宮御宇天皇代 [大鷦鷯天皇 謚曰仁徳天皇] / 磐姫皇后思天皇御作歌四首)或本歌曰 [原文]居明而 君乎者将待 奴婆珠<能> 吾黒髪尓 霜者零騰文 [訓読]居明かして君をば待たむぬばたまの我が黒髪に霜は降るとも [仮名]ゐあかして きみをばまたむ ぬばたまの わがくろかみに しもはふるとも [左注]右一首古歌集中出 [校異]乃 -> 能 [金][紀] [事項]相聞 仁徳天皇 作者:磐姫皇后 律令 情詩 閨房詩 或本歌 古歌集 大阪 伝承 仮託 恋情 女歌 枕詞 [訓異]ゐあかして[寛], きみをばまたむ,[寛]きみをはまたむ, ぬばたまの,[寛]ぬはたまの, わがくろかみに,[寛]わかくろかみに, しもはふるとも[寛], [歌番号] 02/0090 [題詞]古事記曰 軽太子奸軽太郎女 故其太子流於伊豫湯也 此時衣通王 不堪戀<慕>而追徃時歌曰 [原文]君之行 氣長久成奴 山多豆乃 迎乎将徃 待尓者不待 [訓読]君が行き日長くなりぬ山たづの迎へを行かむ待つには待たじ [仮名]きみがゆき けながくなりぬ やまたづの むかへをゆかむ まつにはまたじ [左注]右一首歌古事記与類聚<歌林>所説不同歌主亦異焉 因檢日本紀曰難波高津宮御宇大鷦鷯天皇廿二年春正月天皇語皇后納八田皇女将為妃 時皇后不聴 爰天皇歌以乞於皇后云々 卅年秋九月乙卯朔乙丑皇后遊行紀伊國到熊野岬 取其處之御綱葉而還 於是天皇伺皇后不在而娶八田皇女納於宮中時皇后 到難波濟 聞天皇合八田皇女大恨之云々 亦曰 遠飛鳥宮御宇雄朝嬬稚子宿祢天皇廿三年春<三>月甲午朔庚子 木梨軽皇子為太子 容姿佳麗見者自感 同母妹軽太娘皇女亦艶妙也云々 遂竊通乃悒懐少息 廿四年夏六月御羮汁凝以作氷 天皇異之卜其所由 卜者曰 有内乱 盖親々相奸乎云々 仍移太娘皇女於伊<豫>者 今案二代二時不見此歌也 [校異]なし [事項]相聞 仁徳天皇 作者:磐姫皇后 律令 情詩 閨房詩 古事記 異伝 玉台新詠 軽皇女 大阪 伝承 仮託 恋情 女歌 植物 枕詞 伝誦 [訓異]きみがゆき,[寛]きみかゆき, けながくなりぬ,[寛]けなかくなりぬ, やまたづの,[寛]やまたつの, むかへをゆかむ[寛], まつにはまたじ,[寛]まちにはまたし, [歌番号] 02/0091 [題詞]近江大津宮御宇天皇代 [天命開別天皇 謚曰天智天皇] / 天皇賜鏡王女御歌一首 [原文]妹之家毛 継而見麻思乎 山跡有 大嶋嶺尓 家母有猿尾 [一云 妹之當継而毛見武尓] [一云 家居麻之乎] [訓読]妹が家も継ぎて見ましを大和なる大島の嶺に家もあらましを [一云 妹があたり継ぎても見むに] [一云 家居らましを] [仮名]いもがいへも つぎてみましを やまとなる おほしまのねに いへもあらましを [いもがあたり つぎてもみむに][いへをらましを] [左注]なし [校異]なし [事項]相聞 作者:天智天皇 鏡王女 見る 国見 異伝 贈答 歌垣 奈良 地名 [訓異]いもがいへも,[寛]いもかいへも, つぎてみましを,[寛]つきてみましを, やまとなる[寛], おほしまのねに,[寛]おほしまみねに, いへもあらましを[寛], [いもがあたり, つぎてもみむに], [いへをらましを], [歌番号] 02/0092 [題詞]鏡王女奉和御歌一首 [原文]秋山之 樹下隠 逝水乃 吾許曽益目 御念従者 [訓読]秋山の木の下隠り行く水の我れこそ益さめ御思ひよりは [仮名]あきやまの このしたがくり ゆくみづの われこそまさめ みおもひよりは [左注]なし [校異]なし [事項]相聞 作者:鏡王女 和 天智 贈答 歌垣 奈良 女歌 [訓異]あきやまの[寛], このしたがくり,[寛]このしたかくれ, ゆくみづの,[寛]ゆくみつの, われこそまさめ[寛], みおもひよりは[寛], [歌番号] 02/0093 [題詞]内大臣藤原卿娉鏡王女時鏡王女贈内大臣歌一首 [原文]玉匣 覆乎安美 開而行者 君名者雖有 吾名之惜<裳> [訓読]玉櫛笥覆ふを安み明けていなば君が名はあれど吾が名し惜しも [仮名]たまくしげ おほふをやすみ あけていなば きみがなはあれど わがなしをしも [左注]なし [校異]毛 -> 裳 [元][金][紀] [事項]相聞 恋愛 作者:鏡王女 藤原鎌足 娉 名前 贈答 歌垣 比喩 [訓異]たまくしげ,[寛]たまくしけ, おほふをやすみ,[寛]ををふをやすみ, あけていなば,[寛]あけてゆかは, きみがなはあれど,[寛]きみかなはあれと, わがなしをしも,[寛]わかなしをしも, [歌番号] 02/0094 [題詞]内大臣藤原卿報贈鏡王女歌一首 [原文]玉匣 将見圓山乃 狭名葛 佐不寐者遂尓 有勝麻之<自> [玉匣 三室戸山乃] [訓読]玉櫛笥みむろの山のさな葛さ寝ずはつひに有りかつましじ [玉くしげ三室戸山の] [仮名]たまくしげ みむろのやまの さなかづら さねずはつひに ありかつましじ [たまくしげ みむろとやまの] [左注]なし [校異]目 -> 自 [元][類] [事項]相聞 恋愛 作者:藤原鎌足 鏡王女 贈答 異伝 歌垣 枕詞 地名 植物 序詞 [訓異]たまくしげ,[寛]たまくしけ, みむろのやまの,[寛]みむまとやまの, さなかづら,[寛]さねかつら, さねずはつひに,[寛]さねすはつゐに, ありかつましじ,[寛]ありかてましも, [たまくしげ, みむろとやまの] [歌番号] 02/0095 [題詞]内大臣藤原卿娶釆女安見<兒>時作歌一首 [原文]吾者毛也 安見兒得有 皆人乃 得難尓為云 安見兒衣多利 [訓読]我れはもや安見児得たり皆人の得かてにすとふ安見児得たり [仮名]われはもや やすみこえたり みなひとの えかてにすとふ やすみこえたり [左注]なし [校異]なし [事項]相聞 作者:藤原鎌足 安見児 采女 娶 宴席 歌謡 即興的 口誦 [訓異]われはもや[寛], やすみこえたり[寛], みなひとの[寛], えかてにすとふ,[寛]えかてにすといふ, やすみこえたり[寛], [歌番号] 02/0096 [題詞]久米禅師娉石川郎女時歌五首 [原文]水薦苅 信濃乃真弓 吾引者 宇真人<佐>備而 不欲常将言可聞 [禅師] [訓読]み薦刈る信濃の真弓我が引かば貴人さびていなと言はむかも [禅師] [仮名]みこもかる しなぬのまゆみ わがひかば うまひとさびて いなといはむかも [左注]なし [校異]作 -> 佐 [元][金][類] [事項]相聞 作者:久米禅師 石川郎女 歌垣 求婚 掛醎合媿歌 枕詞 比喩 [訓異]みこもかる,[寛]みくさかる, しなぬのまゆみ,[寛]しなののまゆみ, わがひかば,[寛]わかひかは, うまひとさびて,[寛]うまひとさひて, いなといはむかも[寛], [歌番号] 02/0097 [題詞](久米禅師娉石川郎女時歌五首) [原文]三薦苅 信濃乃真弓 不引為而 強<佐>留行事乎 知跡言莫君二 [郎女] [訓読]み薦刈る信濃の真弓引かずして強ひさるわざを知ると言はなくに [郎女] [仮名]みこもかる しなぬのまゆみ ひかずして しひさるわざを しるといはなくに [左注]なし [校異]作 -> 佐 [元][金][類] [事項]相聞 作者:石川郎女 久米禅師 歌垣 拒否 掛醎合媿歌 比喩 枕詞 [訓異]みこもかる,[寛]みくさかる, しなぬのまゆみ,[寛]しなののまゆみ, ひかずして,[寛]ひかすして, しひさるわざを,[寛]しひさるわさを, しるといはなくに[寛], [歌番号] 02/0098 [題詞](久米禅師娉石川郎女時歌五首) [原文]梓弓 引者随意 依目友 後心乎 知勝奴鴨 [郎女] [訓読]梓弓引かばまにまに寄らめども後の心を知りかてぬかも [郎女] [仮名]あづさゆみ ひかばまにまに よらめども のちのこころを しりかてぬかも [左注]なし [校異]なし [事項]相聞 作者:石川郎女 久米禅師 歌垣 掛醎合媿歌 比喩 [訓異]あづさゆみ,[寛]あつさゆみ, ひかばまにまに,[寛]ひかはまにまに, よらめども,[寛]よらめとも, のちのこころを[寛], しりかてぬかも[寛], [歌番号] 02/0099 [題詞](久米禅師娉石川郎女時歌五首) [原文]梓弓 都良絃取波氣 引人者 後心乎 知人曽引 [禅師] [訓読]梓弓弦緒取りはけ引く人は後の心を知る人ぞ引く [禅師] [仮名]あづさゆみ つらをとりはけ ひくひとは のちのこころを しるひとぞひく [左注]なし [校異]なし [事項]相聞 作者:久米禅師 石川郎女 歌垣 掛醎合媿歌 比喩 [訓異]あづさゆみ,[寛]あつさゆみ, つらをとりはけ[寛], ひくひとは[寛], のちのこころを[寛], しるひとぞひく,[寛]しるひとそひく, [歌番号] 02/0100 [題詞](久米禅師娉石川郎女時歌五首) [原文]東人之 荷向篋乃 荷之緒尓毛 妹情尓 乗尓家留香問 [禅師] [訓読]東人の荷前の箱の荷の緒にも妹は心に乗りにけるかも [禅師] [仮名]あづまひとの のさきのはこの にのをにも いもはこころに のりにけるかも [左注]なし [校異]問 [元][類] 聞 [事項]相聞 作者:久米禅師 石川郎女 歌垣 掛醎合媿歌 序詞 [訓異]あづまひとの,[寛]あつまの, のさきのはこの[寛], にのをにも[寛], いもはこころに,[寛]いもかこころに, のりにけるかも[寛], [歌番号] 02/0101 [題詞]大伴宿祢娉巨勢郎女時歌一首 [大伴宿祢諱曰安麻呂也難波朝右大臣大紫大伴長徳卿之第六子平城朝任大納言兼大将軍薨也] [原文]玉葛 實不成樹尓波 千磐破 神曽著常云 不成樹別尓 [訓読]玉葛実ならぬ木にはちはやぶる神ぞつくといふならぬ木ごとに [仮名]たまかづら みならぬきには ちはやぶる かみぞつくといふ ならぬきごとに [左注]なし [校異]磐 [元][類] 盤 [事項]相聞 作者:大伴安麻呂 巨勢郎女 掛醎合媿歌 植物 比喩 [訓異]たまかづら,[寛]たまかつら, みならぬきには[寛], ちはやぶる,[寛]ちはやふる, かみぞつくといふ,[寛]かそつくとい, ならぬきごとに,[寛]ならぬきことに, [歌番号] 02/0102 [題詞]巨勢郎女報贈歌一首 [即近江朝大納言巨勢人卿之女也] [原文]玉葛 花耳開而 不成有者 誰戀尓有目 吾孤悲念乎 [訓読]玉葛花のみ咲きてならずあるは誰が恋にあらめ我れ恋ひ思ふを [仮名]たまかづら はなのみさきて ならずあるは たがこひにあらめ あはこひもふを [左注]なし [校異]なし [事項]相聞 作者:巨勢郎女 大伴安麻呂 掛醎合媿歌 植物 比喩 [訓異]たまかづら,[寛]たまかつら, はなのみさきて[寛], ならずあるは,[寛]ならすあるは, たがこひにあらめ,[寛]たかこひにあらめ, あはこひもふを,[寛]わかこひおもふを, [歌番号] 02/0103 [題詞]明日香清御原宮御宇天皇代 [天渟<中>原瀛真人天皇謚曰天武天皇] / 天皇賜藤原夫人御歌一首 [原文]吾里尓 大雪落有 大原乃 古尓之郷尓 落巻者後 [訓読]我が里に大雪降れり大原の古りにし里