悪質な契約について消費者センターに相談 — Epoche B2
場面設定: マドリード市内の消費者相談窓口、悪質契約被害の聴取現場。スペイン人相談員エレナと、48ヶ月分の英会話契約を抱えるカンボジア人留学生ソペアク。 ソペアクさん、本日は英会話スクール「ユーロリングア」との契約に関しまして、お話を伺います。契約書を拝見いたしますと、48ヶ月・12,800ユーロ、毎月分割払い型でございますね。 はい。2週間前、プラザ・マヨール近くで「留学生限定キャンペーン」と声をかけられ、カフェでの説明を受けました。「今日中に申し込めば50%オフ」と言われ、焦ってその場でサインしてしまいました。 まず、スペインの消費者保護法に関して申し上げますと、店舗外契約のクーリングオフ期間は14日間でございます。2週間前の契約ということは、期限を数日超過しているわけで、通常のクーリングオフでは対応いたしかねる可能性が高うございます。 ……もう手遅れということでございますか。家族への仕送りを切り詰めて月265ユーロを4年間払うのは、留学生活を破綻させるに十分でございます。 即断はいたしかねます。勧誘時の状況を詳しくお聞かせいただければ存じます。特に、ユーロリングアの担当者が何と申していたか、「留学生限定キャンペーン」の根拠、支払いに関する説明など、覚えておいでの限りで結構でございます。 実は、用心のため会話を全てスマートフォンで録音させていただいておりました。担当者は「他の生徒も皆このプランで、修了後はスペイン企業への就職支援も付く」「あなたはTOEFL不要で英語を使える職に就ける」と強調しておりました。 録音データがあるとは素晴らしいことでございます。今のお話を踏まえて申し上げますと、三つの重大な違法性が浮かび上がります。第一に「留学生限定キャンペーン」という誘引は、一般消費者にも適用されている実態を踏まえれば誤認勧誘に該当いたします。 一般向けにも同じキャンペーンが出されていたのでございますか。 本センターがユーロリングアに関して把握している事案数は過去12ヶ月で47件、うち38件が留学生被害でございます。同社のウェブサイトにも同一キャンペーン表示があり、スペイン競争当局CNMCにも照会済みでございます。第二に、就職支援の約束は契約書に記載されておらず、口頭での具体的な約束と書面の不整合は、民法典1265条の錯誤契約取消事由に該当しうるわけでございます。 それは非常に心強いお話でございます。第三の違法性はいかがでしょうか。 第三に、48ヶ月の長期分割に関しまして、本件は実質的に信用販売でございますが、契約書には消費者信用法で義務付けられたAPR表示、解約時清算条項、撤回権告知の記載がございません。これらの不備は、契約そのものを無効主張できる根拠でございます。 私は単独ではとても戦えないように思うのでございますが、本センターとしてはどのようにお手伝いいただけますでしょうか。 実は昨週、同社の他の被害者32名で集団訴訟の準備を進めております。単独交渉より圧倒的に有利でございます。本日中にソペアクさんを原告団に合流させる次第、録音データを証拠として共有していただき、集団代理人弁護士が一括交渉する流れでございます。過去の同種事案では、集団訴訟で契約解除+支払済金額の90%返金が成立しておりまして、数字を踏まえてご判断いただければと存じます。 解説: クーリングオフ期限超過で諦めかけた相談者に対し、勧誘録音と「留学生限定」表示の違法性を起点に集団訴訟合流を提示する予想外の返し。「孤立した被害は連帯化することで初めて武器になる」――消費者保護の核心。