スーパーで買い物 — Epoche A1
場面設定: メキシコシティ・コンデサ地区のスーパー、夕方。早口で世話好きな店員ロサと、無愛想で焦った客ダニエル。娘の誕生日ケーキ用の卵を急ぐ。 すみません、牛乳と卵の売り場、どこですか? 牛乳、あそこの冷蔵棚。卵は、奥の、左側です。 ありがとう。急いでるので、助かります。 レジは、そこ、すぐです。他に、何か、探してますか? 卵、棚、空っぽ!もう、売り切れ? あら、ほんと?あ、あの女性、最後の一箱、カートに── ……今晩、卵、絶対、必要。娘の誕生日ケーキ。 しーっ。こっち、来て。休憩室に、私のお弁当用、半箱、あるから。 えっ、いいんですか?お金、払います! お金、いいえ。今度、娘さんに、お祝いの歌、歌ってあげて。 解説: 売り切れの絶望から店員の私物提供という意外な救済へ。「お金じゃなく、娘に歌を」というメキシコ的な人情が、商業空間の取引関係を一瞬で人と人の関係に変える。