Man'yōshū, Volume 16 — Ōtomo no Yakamochi
万葉集/第十六巻 ← 第十五巻 第十七巻 → 万葉集 第十六巻 第十六巻 [歌番号] 16/3786 [題詞]有由縁并雜歌 / 昔者有娘子 字曰櫻兒也 于時有二壮子 共誂此娘而捐生挌<競>貪死相敵 於是娘子戯欷曰 従古<来>今未聞未見一女之身徃適二門矣 方今壮子之意有難和平 不如妾死相害永息 尓乃尋入林中懸樹經死 其兩壮子不敢哀慟血泣漣襟 各陳心緒作歌二首 [原文]春去者 挿頭尓将為跡 我念之 櫻花者 散去流香聞 [其一] [訓読]春さらばかざしにせむと我が思ひし桜の花は散りにけるかも [其一] [仮名]はるさらば かざしにせむと わがもひし さくらのはなは ちりにけるかも [左注]なし [校異]并 [西(削除)] / 竟 -> 競 [尼][類][古] / 来于 -> 来 [尼][類][古] / 散去 [尼][類](塙) 去 [事項]雑歌 歌語り 櫻児 恋愛 二男一女 物語 悲嘆 譬喩 [訓異]はるさらば,[寛]はるさらは, かざしにせむと,[寛]かさしにせむと, わがもひし,[寛]わかおもひし, さくらのはなは[寛], ちりにけるかも[寛], [歌番号] 16/3787 [題詞](昔者有娘子 字曰櫻兒也 于時有二壮子 共誂此娘而捐生挌<競>貪死相敵 於是娘子戯欷曰 従古<来>今未聞未見一女之身徃適二門矣 方今壮子之意有難和平 不如妾死相害永息 尓乃尋入林中懸樹經死 其兩壮子不敢哀慟血泣漣襟 各陳心緒作歌二首) [原文]妹之名尓 繋有櫻 花開者 常哉将戀 弥年之羽尓 [其二] [訓読]妹が名に懸けたる桜花咲かば常にや恋ひむいや年のはに [其二] [仮名]いもがなに かけたるさくら はなさかば つねにやこひむ いやとしのはに [左注]なし [校異]開 [尼] 散 [事項]雑歌 歌語り 物語 恋愛 櫻児 二男一女 悲嘆 譬喩 [訓異]いもがなに,[寛]いもかなに, かけたるさくら[寛], はなさかば,[寛]はなちらは, つねにやこひむ[寛], いやとしのはに[寛], [歌番号] 16/3788 [題詞]或曰 <昔>有三男同娉一女也 娘子嘆息曰 一女之身易滅如露 三雄之志難平如石 遂乃彷徨池上沈没水底 於時其壮士等不勝哀頽之至 各陳所心作歌三首 [娘子字曰<イ>兒也] [原文]無耳之 池羊蹄恨之 吾妹兒之 来乍潜者 水波将涸 [一] [訓読]耳成の池し恨めし我妹子が来つつ潜かば水は涸れなむ [一] [仮名]みみなしの いけしうらめし わぎもこが きつつかづかば みづはかれなむ [左注]なし [校異]<> -> 昔 [尼][類][紀] / イ [西(上書訂正)][尼][類][古] [事項]雑歌 歌語り 物語 恋愛 三男一女 悲嘆 地名 奈良 橿原 [訓異]みみなしの[寛], いけしうらめし[寛], わぎもこが,[寛]わきもこか, きつつかづかば,[寛]きつつかくれは, みづはかれなむ,[寛]みつはかれなむ, [歌番号] 16/3789 [題詞](或曰 <昔>有三男同娉一女也 娘子嘆息曰 一女之身易滅如露 三雄之志難平如石 遂乃彷徨池上沈没水底 於時其壮士等不勝哀頽之至 各陳所心作歌三首 [娘子字曰<イ>兒也]) [原文]足曳之 山イ之兒 今日徃跡 吾尓告世婆 還来麻之乎 [二] [訓読]あしひきの山縵の子今日行くと我れに告げせば帰り来ましを [二] [仮名]あしひきの やまかづらのこ けふゆくと われにつげせば かへりきましを [左注]なし [校異]なし [事項]雑歌 枕詞 植物 歌物語 物語 三男一女 悲嘆 恋愛 [訓異]あしひきの[寛], やまかづらのこ,[寛]やまかつらのこ, けふゆくと[寛], われにつげせば,[寛]われにつけせは, かへりきましを,[寛]かへりこましを, [歌番号] 16/3790 [題詞](或曰 <昔>有三男同娉一女也 娘子嘆息曰 一女之身易滅如露 三雄之志難平如石 遂乃彷徨池上沈没水底 於時其壮士等不勝哀頽之至 各陳所心作歌三首 [娘子字曰<イ>兒也]) [原文]足曳之 玉イ之兒 如今日 何隈乎 見管来尓監 [三] [訓読]あしひきの玉縵の子今日のごといづれの隈を見つつ来にけむ [三] [仮名]あしひきの たまかづらのこ けふのごと いづれのくまを みつつきにけむ [左注]なし [校異]玉 [万葉集童蒙抄](塙)(楓) 山 [事項]雑歌 枕詞 植物 歌物語 物語 三男一女 悲嘆 恋愛 [訓異]あしひきの[寛], たまかづらのこ,[寛]たまかつらのこ, けふのごと,[寛]けふのこと, いづれのくまを,[寛]いつれのくまを, みつつきにけむ[寛], [歌番号] 16/3791 [題詞]昔有老翁 号曰竹取翁也 此翁季春之月登丘遠望 忽値煮羮之九箇女子也 百嬌無儔花容無止 于時娘子等呼老翁嗤曰 叔父来乎 吹此燭火也 於是翁曰唯<々> 漸趍徐行著接座上 良久娘子等皆共含咲相推譲之曰 阿誰呼此翁哉尓乃竹取翁謝之曰 非慮之外偶逢神仙 迷惑之心無敢所禁 近狎之罪希贖以歌 即作歌一首[并短歌] [原文]緑子之 若子蚊見庭 垂乳為 母所懐 褨襁 平<生>蚊見庭 結經方衣 水津裏丹縫服 頚著之 童子蚊見庭 結幡 袂著衣 服我矣 丹因 子等何四千庭 三名之綿 蚊黒為髪尾 信櫛持 於是蚊寸垂 取束 擧而裳纒見 解乱 童兒丹成見 羅丹津蚊經 色丹名著来 紫之 大綾之衣 墨江之 遠里小野之 真榛持 丹穂之為衣丹 狛錦 紐丹縫著 刺部重部 波累服 打十八為 麻續兒等 蟻衣之 寶之子等蚊 打栲者 經而織布 日曝之 朝手作尾 信巾裳成者之寸丹取為支屋所經 稲寸丁女蚊 妻問迹 我丹所来為 彼方之 二綾裏沓 飛鳥 飛鳥壮蚊 霖禁 縫為黒沓 刺佩而 庭立住 退莫立 禁尾迹女蚊 髣髴聞而 我丹所来為 水縹 絹帶尾 引帶成 韓帶丹取為 海神之 殿盖丹 飛翔 為軽如来 腰細丹 取餝氷 真十鏡 取雙懸而 己蚊果 還氷見乍 春避而 野邊尾廻者 面白見 我矣思經蚊 狭野津鳥 来鳴翔經 秋僻而 山邊尾徃者 名津蚊為迹 我矣思經蚊 天雲裳 行田菜引 還立 路尾所来者 打氷<刺> 宮尾見名 刺竹之 舎人壮裳 忍經等氷 還等氷見乍 誰子其迹哉 所思而在 如是 所為故為 古部 狭々寸為我哉 端寸八為 今日八方子等丹 五十狭邇迹哉 所思而在 如是 所為故為 古部之 賢人藻 後之世之 堅監将為迹 老人矣 送為車 持還来 <持還来> [訓読]みどり子の 若子髪には たらちし 母に抱かえ ひむつきの 稚児が髪には 木綿肩衣 純裏に縫ひ着 頚つきの 童髪には 結ひはたの 袖つけ衣 着し我れを 丹よれる 子らがよちには 蜷の腸 か黒し髪を ま櫛持ち ここにかき垂れ 取り束ね 上げても巻きみ 解き乱り 童になしみ さ丹つかふ 色になつける 紫の 大綾の衣 住吉の 遠里小野の ま榛持ち にほほし衣に 高麗錦 紐に縫ひつけ 刺部重部 なみ重ね着て 打麻やし 麻続の子ら あり衣の 財の子らが 打ちし栲 延へて織る布 日さらしの 麻手作りを 信巾裳成者之寸丹取為支屋所経 稲置娘子が 妻どふと 我れにおこせし 彼方の 二綾下沓 飛ぶ鳥 明日香壮士が 長雨禁へ 縫ひし黒沓 さし履きて 庭にたたずみ 退けな立ち 禁娘子が ほの聞きて 我れにおこせし 水縹の 絹の帯を 引き帯なす 韓帯に取らし わたつみの 殿の甍に 飛び翔ける すがるのごとき 腰細に 取り装ほひ まそ鏡 取り並め懸けて おのがなり かへらひ見つつ 春さりて 野辺を廻れば おもしろみ 我れを思へか さ野つ鳥 来鳴き翔らふ 秋さりて 山辺を行けば なつかしと 我れを思へか 天雲も 行きたなびく かへり立ち 道を来れば うちひさす 宮女 さす竹の 舎人壮士も 忍ぶらひ かへらひ見つつ 誰が子ぞとや 思はえてある かくのごと 所為故為 いにしへ ささきし我れや はしきやし 今日やも子らに いさとや 思はえてある かくのごと 所為故為 いにしへの 賢しき人も 後の世の 鑑にせむと 老人を 送りし車 持ち帰りけり 持ち帰りけり [仮名]みどりこの わかごかみには たらちし ははにむだかえ ひむつきの ちごがかみには ゆふかたぎぬ ひつらにぬひき うなつきの わらはかみには ゆひはたの そでつけごろも きしわれを によれる こらがよちには みなのわた かぐろしかみを まくしもち ここにかきたれ とりつかね あげてもまきみ ときみだり わらはになしみ さにつかふ いろになつける むらさきの おほあやのきぬ すみのえの とほさとをのの まはりもち にほほしきぬに こまにしき ひもにぬひつけ ***** なみかさねきて うちそやし をみのこら ありきぬの たからのこらが うちしたへ はへておるぬの ひさらしの あさてづくりを ***** ******* ***** いなきをとめが つまどふと われにおこせし をちかたの ふたあやしたぐつ とぶとり あすかをとこが ながめさへ ぬひしくろぐつ さしはきて にはにたたずみ そけなたち いさめをとめが ほのききて われにおこせし みはなだの きぬのおびを ひきおびなす からおびにとらし わたつみの とののいらかに とびかける すがるのごとき こしほそに とりよそほひ まそかがみ とりなめかけて おのがなり かへらひみつつ はるさりて のへをめぐれば おもしろみ われをおもへか さのつとり きなきかけらふ あきさりて やまへをゆけば なつかしと われをおもへか あまくもも ゆきたなびく かへりたち みちをくれば うちひさす みやをみな さすたけの とねりをとこも しのぶらひ かへらひみつつ たがこぞとや おもはえてある かくのごと ******* いにしへ ささきしわれや はしきやし けふやもこらに いさとや おもはえてある かくのごと ******* いにしへの さかしきひとも のちのよの かがみにせむと おいひとを おくりしくるま もちかへりけり もちかへりけり [左注]なし [校異]唯 -> 々 [類][矢][京] / 歌 [西] 謌 / 生之 -> 生 [紀][細] / 判 -> 刺 [尼][類][紀] / <> -> 持還来 [尼] [事項]雑歌 歌物語 物語 作者:竹取翁 神仙 枕詞 難訓 植物 地名 堺市 大阪 教訓 嘆老 [訓異]みどりこの,[寛]みとりこの, わかごかみには,[寛]わかこかみには, たらちし,[寛]たらちしの, ははにむだかえ,[寛]ははにいたかれ, ひむつきの,[寛]たまたすき, ちごがかみには,[寛]はふこかみには, ゆふかたぎぬ,[寛]むすふかたきぬ, ひつらにぬひき,[寛]ひつりにぬひき, うなつきの,[寛]たひつきの, わらはかみには,[寛]うなひこかみには, ゆひはたの,[寛]ゆふはたの, そでつけごろも,[寛]そてつきころも, きしわれを[寛], によれる[寛], こらがよちには,[寛]こらかよちには, みなのわた,[寛]みなしつらなる, かぐろしかみを,[寛]かくろなるかみを, まくしもち[寛], ここにかきたれ,[寛]ここにかきたる, とりつかね[寛], あげてもまきみ,[寛]あけてもまきみ, ときみだり,[寛]ときみたれ, わらはになしみ,[寛]うなひこになれる, さにつかふ,[寛]みつらにつかふる, いろになつける,[寛]いろになつけくる, むらさきの[寛], おほあやのきぬ,[寛]おほあやのころも, すみのえの[寛], とほさとをのの[寛], まはりもち,[寛]まはきもて, にほほしきぬに[寛], こまにしき[寛], ひもにぬひつけ[寛], * ****,[寛]さしへかさね, なみかさねきて,[寛]へなみかさねきて, うちそやし,[寛]うちそはし, をみのこら[寛], ありきぬの[寛], たからのこらが,[寛]たからのこらか, うちしたへ,[寛]うつたへは, はへておるぬの,[寛]へてをるぬのを, ひさらしの,[寛]ひにさらし, あさてづくりを,[寛]あさてつくらひ, * ****,[寛]しきもなせは, * ******,[寛]しきにとりしき, * ****,[寛]やとにへて, いなきをとめが,[寛]いねすをとめか, つまどふと,[寛]つまとふと, われにおこせし,[寛]われにそきにし, をちかたの[寛], ふたあやしたぐつ,[寛]ふたあやうらくつ, とぶとり,[寛]とふとりの, あすかをとこが,[寛]あすかをとこか, ながめさへ,[寛]なかめいみ, ぬひしくろぐつ,[寛]ぬひしくろくつ, さしはきて[寛], にはにたたずみ,[寛]にはにたたすみ, そけなたち,[寛]いてなたち, いさめをとめが,[寛]いさむをとめか, ほのききて[寛], われにおこせし,[寛]われにそこし, みはなだの,[寛]みはなたの, きぬのおびを,[寛]きぬのおひを, ひきおびなす,[寛]ひきおひなれる, からおびにとらし,[寛]からおひにとらし, わたつみの[寛], とののいらかに,[寛]とののみさかに, とびかける,[寛]とひかける, すがるのごとき,[寛]すかるのことき, こしほそに[寛], とりよそほひ,[寛]とりてかさらひ, まそかがみ,[寛]まそかかみ, とりなめかけて,[寛]とりなみかけて, おのがなり,[寛]おのかみの, かへらひみつつ[寛], はるさりて[寛], のへをめぐれば,[寛]のへをめくれは, おもしろみ[寛], われをおもへか,[寛]われをおもふか, さのつとり[寛], きなきかけらふ[寛], あきさりて,[寛]あきさけて, やまへをゆけば,[寛]やまへをゆけは, なつかしと[寛], われをおもへか,[寛]われをおもふか, あまくもも[寛], ゆきたなびく,[寛]ゆきたなひき, かへりたち[寛], みちをくれば,[寛]みちをくるには, うちひさす[寛], みやをみな,[寛]みやをみてもな, さすたけの[寛], とねりをとこも[寛], しのぶらひ,[寛]しのふらひ, かへらひみつつ[寛], たがこぞとや,[寛]たかこそとや, おもはえてある,[寛]おもひてあらむ, かくのごと,[寛]かく, * ******,[寛]そしこし, いにしへ,[寛]いにしへの, ささきしわれや[寛], はしきやし[寛], けふやもこらに,[寛]いふやもこらに, いさとや,[寛]いさにとや, おもはえてある,[寛]おもひてあらむ, かくのごと,[寛]かく, * ******,[寛]そしこし, いにしへの[寛], さかしき