Man'yōshū, Volume 9 — Ōtomo no Yakamochi and others
万葉集/第九巻 ← 第八巻 第十巻 → 万葉集 第九巻 第九巻 [歌番号] 09/1664 [題詞]雜歌 / 泊瀬朝倉宮御宇大泊瀬幼武天<皇>御製歌一首 [原文]暮去者 小椋山尓 臥鹿之 今夜者不鳴 寐家良霜 [訓読]夕されば小倉の山に伏す鹿の今夜は鳴かず寐ねにけらしも [仮名]ゆふされば をぐらのやまに ふすしかの こよひはなかず いねにけらしも [左注]右或本云崗本天皇御製 不審正指 因以累戴 [校異]歌 [西] 謌 / 皇天皇 -> 皇 [藍][壬][紀] / 歌 [西] 謌 [西(訂正)] 歌 [事項]雑歌 作者:雄略天皇 舒明天皇 斉明天皇 作者異伝 重出 地名 動物 [訓異]ゆふされば,[寛]ゆふされは, をぐらのやまに,[寛]をくらのやまに, ふすしかの[寛], こよひはなかず,[寛]こよひはなかす, いねにけらしも[寛], [歌番号] 09/1665 [題詞]崗本宮御宇天皇幸紀伊國時歌二首 [原文]為妹 吾玉拾 奥邊有 玉縁持来 奥津白浪 [訓読]妹がため我れ玉拾ふ沖辺なる玉寄せ持ち来沖つ白波 [仮名]いもがため われたまひりふ おきへなる たまよせもちこ おきつしらなみ [左注](右二首作者未詳) [校異]歌 [西] 謌 [西(訂正)] 歌 [事項]雑歌 作者:斉明天皇 行幸 羈旅 紀州 和歌山 地名 [訓異]いもがため,[寛]いもかため, われたまひりふ,[寛]われたまひろふ, おきへなる[寛], たまよせもちこ,[寛]たまよせもてこ, おきつしらなみ[寛], [歌番号] 09/1666 [題詞](崗本宮御宇天皇幸紀伊國時歌二首) [原文]朝霧尓 沾尓之衣 不干而 一哉君之 山道将越 [訓読]朝霧に濡れにし衣干さずしてひとりか君が山道越ゆらむ [仮名]あさぎりに ぬれにしころも ほさずして ひとりかきみが やまぢこゆらむ [左注]右二首作者未詳 [校異]なし [事項]雑歌 作者:斉明天皇 行幸 羈旅 紀州 和歌山 地名 留守 [訓異]あさぎりに,[寛]あさきりに, ぬれにしころも[寛], ほさずして,[寛]ほさすして, ひとりかきみが,[寛]ひとりやきみか, やまぢこゆらむ,[寛]やまちこゆらむ, [歌番号] 09/1667 [題詞]大寳元年辛丑冬十月太上天皇大行天皇幸紀伊國時歌十三首 [原文]為妹 我玉求 於伎邊有 白玉依来 於伎都白浪 [訓読]妹がため我れ玉求む沖辺なる白玉寄せ来沖つ白波 [仮名]いもがため あれたまもとむ おきへなる しらたまよせこ おきつしらなみ [左注]右一首上見既畢 但歌辞小換 年代相違 因以累戴 [校異]歌 [西] 謌 [西(訂正)] 歌 / 歌 [西] 謌 [事項]雑歌 持統天皇 文武天皇 行幸 羈旅 紀州 和歌山 重出 地名 大宝1年10月 年紀 [訓異]いもがため,[寛]いもかため, あれたまもとむ,[寛]われたまもとむ, おきへなる[寛], しらたまよせこ[寛], おきつしらなみ[寛], [歌番号] 09/1668 [題詞](大寳元年辛丑冬十月太上天皇大行天皇幸紀伊國時歌十三首) [原文]白埼者 幸在待 大船尓 真梶繁貫 又将顧 [訓読]白崎は幸くあり待て大船に真梶しじ貫きまたかへり見む [仮名]しらさきは さきくありまて おほぶねに まかぢしじぬき またかへりみむ [左注]なし [校異]なし [事項]雑歌 持統天皇 文武天皇 行幸 羈旅 紀州 和歌山 土地讃美 地名 大宝1年10月 年紀 [訓異]しらさきは[寛], さきくありまて[寛], おほぶねに,[寛]おほふねに, まかぢしじぬき,[寛]まかちししぬき, またかへりみむ[寛], [歌番号] 09/1669 [題詞](大寳元年辛丑冬十月太上天皇大行天皇幸紀伊國時歌十三首) [原文]三名部乃浦 塩莫満 鹿嶋在 釣為海人乎 見變来六 [訓読]南部の浦潮な満ちそね鹿島なる釣りする海人を見て帰り来む [仮名]みなべのうら しほなみちそね かしまなる つりするあまを みてかへりこむ [左注]なし [校異]なし [事項]雑歌 持統天皇 文武天皇 行幸 羈旅 紀州 和歌山 土地讃美 地名 大宝1年10月 年紀 [訓異]みなべのうら,[寛]みなへのうら, しほなみちそね,[寛]しほなみちそ, かしまなる[寛], つりするあまを[寛], みてかへりこむ[寛], [歌番号] 09/1670 [題詞](大寳元年辛丑冬十月太上天皇大行天皇幸紀伊國時歌十三首) [原文]朝開 滂出而我者 湯羅前 釣為海人乎 見<反>将来 [訓読]朝開き漕ぎ出て我れは由良の崎釣りする海人を見て帰り来む [仮名]あさびらき こぎでてわれは ゆらのさき つりするあまを みてかへりこむ [左注]なし [校異]變 -> 反 [藍][壬][類] [事項]雑歌 持統天皇 文武天皇 行幸 羈旅 紀州 和歌山 土地讃美 地名 大宝1年10月 年紀 [訓異]あさびらき,[寛]あさひらき, こぎでてわれは,[寛]こきいててわれは, ゆらのさき[寛], つりするあまを[寛], みてかへりこむ[寛], [歌番号] 09/1671 [題詞](大寳元年辛丑冬十月太上天皇大行天皇幸紀伊國時歌十三首) [原文]湯羅乃前 塩乾尓祁良志 白神之 礒浦箕乎 敢而滂動 [訓読]由良の崎潮干にけらし白神の礒の浦廻をあへて漕ぐなり [仮名]ゆらのさき しほひにけらし しらかみの いそのうらみを あへてこぐなり [左注]なし [校異]なし [事項]雑歌 持統天皇 文武天皇 行幸 羈旅 紀州 和歌山 地名 大宝1年10月 年紀 [訓異]ゆらのさき[寛], しほひにけらし[寛], しらかみの[寛], いそのうらみを[寛], あへてこぐなり,[寛]あへてこきとよむ, [歌番号] 09/1672 [題詞](大寳元年辛丑冬十月太上天皇大行天皇幸紀伊國時歌十三首) [原文]黒牛方 塩干乃浦乎 紅 玉裾須蘇延 徃者誰妻 [訓読]黒牛潟潮干の浦を紅の玉裳裾引き行くは誰が妻 [仮名]くろうしがた しほひのうらを くれなゐの たまもすそびき ゆくはたがつま [左注]なし [校異]なし [事項]雑歌 持統天皇 文武天皇 行幸 羈旅 紀州 和歌山 地名 恋情 大宝1年10月 年紀 [訓異]くろうしがた,[寛]くろうしかた, しほひのうらを[寛], くれなゐの[寛], たまもすそびき,[寛]たまもすそひき, ゆくはたがつま,[寛]ゆくはたかつま, [歌番号] 09/1673 [題詞](大寳元年辛丑冬十月太上天皇大行天皇幸紀伊國時歌十三首) [原文]風莫乃 濱之白浪 徒 於斯依久流 見人無 [一云 於斯依来藻] [訓読]風莫の浜の白波いたづらにここに寄せ来る見る人なしに [一云 ここに寄せ来も] [仮名]かざなしの はまのしらなみ いたづらに ここによせくる みるひとなしに [ここによせくも] [左注]右一首山上<臣>憶良類聚歌林曰 長忌寸意吉麻呂應詔作此歌 [校異]莫 (塙) 草 / 臣 [西(上書訂正)][藍][壬][紀] / 歌林 [西] 謌林 [西(訂正)] 歌林 / 此歌 [西] 此謌 [西(訂正)] 此歌 [事項]雑歌 長意吉麻呂 持統天皇 文武天皇 行幸 羈旅 紀州 和歌山 地名 大宝1年10月 年紀 異伝 推敲 [訓異]かざなしの,[寛]かさなきの, はまのしらなみ[寛], いたづらに,[寛]いたつらに, ここによせくる,[寛]ここによりくる, みるひとなしに[寛], [ここによせくも],[寛]ここによりくも, [歌番号] 09/1674 [題詞](大寳元年辛丑冬十月太上天皇大行天皇幸紀伊國時歌十三首) [原文]我背兒我 使将来歟跡 出立之 此松原乎 今日香過南 [訓読]我が背子が使来むかと出立のこの松原を今日か過ぎなむ [仮名]わがせこが つかひこむかと いでたちの このまつばらを けふかすぎなむ [左注]なし [校異]なし [事項]雑歌 持統天皇 文武天皇 行幸 羈旅 紀州 和歌山 地名 大宝1年10月 年紀 [訓異]わがせこが,[寛]わかせこか, つかひこむかと[寛], いでたちの,[寛]いてたちし, このまつばらを,[寛]このまつはらを, けふかすぎなむ,[寛]いふかすきなむ, [歌番号] 09/1675 [題詞](大寳元年辛丑冬十月太上天皇大行天皇幸紀伊國時歌十三首) [原文]藤白之 三坂乎越跡 白栲之 我衣乎者 所沾香裳 [訓読]藤白の御坂を越ゆと白栲の我が衣手は濡れにけるかも [仮名]ふぢしろの みさかをこゆと しろたへの わがころもでは ぬれにけるかも [左注]なし [校異]なし [事項]雑歌 持統天皇 文武天皇 行幸 羈旅 紀州 和歌山 地名 大宝1年10月 年紀 [訓異]ふぢしろの,[寛]ふちしろの, みさかをこゆと[寛], しろたへの[寛], わがころもでは,[寛]わかころもては, ぬれにけるかも[寛], [歌番号] 09/1676 [題詞](大寳元年辛丑冬十月太上天皇大行天皇幸紀伊國時歌十三首) [原文]勢能山尓 黄葉常敷 神岳之 山黄葉者 今日散濫 [訓読]背の山に黄葉常敷く神岳の山の黄葉は今日か散るらむ [仮名]せのやまに もみちつねしく かむをかの やまのもみちは けふかちるらむ [左注]なし [校異]なし [事項]雑歌 持統天皇 文武天皇 行幸 羈旅 紀州 和歌山 望郷 地名 大宝1年10月 年紀 [訓異]せのやまに[寛], もみちつねしく,[寛]もみちとこしく, かむをかの,[寛]みわやまの, やまのもみちは[寛], けふかちるらむ[寛], [歌番号] 09/1677 [題詞](大寳元年辛丑冬十月太上天皇大行天皇幸紀伊國時歌十三首) [原文]山跡庭 聞徃歟 大我野之 竹葉苅敷 廬為有跡者 [訓読]大和には聞こえも行くか大我野の竹葉刈り敷き廬りせりとは [仮名]やまとには きこえもゆくか おほがのの たかはかりしき いほりせりとは [左注]なし [校異]なし [事項]雑歌 持統天皇 文武天皇 行幸 羈旅 紀州 和歌山 地名 大宝1年10月 年紀 [訓異]やまとには[寛], きこえもゆくか[寛], おほがのの,[寛]おほかのの, たかはかりしき[寛], いほりせりとは[寛], [歌番号] 09/1678 [題詞](大寳元年辛丑冬十月太上天皇大行天皇幸紀伊國時歌十三首) [原文]木國之 昔弓雄之 響矢用 鹿取靡 坂上尓曽安留 [訓読]紀の国の昔弓雄の鳴り矢もち鹿取り靡けし坂の上にぞある [仮名]きのくにの むかしさつをの なりやもち かとりなびけし さかのうへにぞある [左注]なし [校異]なし [事項]雑歌 持統天皇 文武天皇 行幸 羈旅 紀州 和歌山 地名 大宝1年10月 年紀 [訓異]きのくにの[寛], むかしさつをの,[寛]むかしゆみをの, なりやもち,[寛]かふらもて, かとりなびけし,[寛]しかとりなひく, さかのうへにぞある,[寛]さかのへにそある, [歌番号] 09/1679 [題詞](大寳元年辛丑冬十月太上天皇大行天皇幸紀伊國時歌十三首) [原文]城國尓 不止将徃来 妻社 妻依来西尼 妻常言長柄 [一云 嬬賜尓毛 嬬云長<良>] [訓読]紀の国にやまず通はむ妻の杜妻寄しこせね妻といひながら [一云 妻賜はにも妻といひながら] [仮名]きのくにに やまずかよはむ つまのもり つまよしこせね つまといひながら [つまたまはにも つまといひながら] [左注]右一首或云坂上忌寸人長作 [校異]良 -> 柄 [藍][壬][類][紀] [事項]雑歌 持統天皇 文武天皇 行幸 羈旅 紀州 和歌山 地名 大宝1年10月 年紀 [訓異]きのくにに[寛], やまずかよはむ,[寛]やますかよはむ, つまのもり,[寛]つまもこそ, つまよしこせね,[寛]つまよりこさね, つまといひながら,[寛]つまといひなから, [つまたまはにも,[寛]つまたまのにも, つまといひながら],[寛]つまといひなから, [歌番号] 09/1680 [題詞]後人歌二首 [原文]朝裳吉 木方徃君我 信土山 越濫今日曽 雨莫零根 [訓読]あさもよし紀へ行く君が真土山越ゆらむ今日ぞ雨な降りそね [仮名]あさもよし きへゆくきみが まつちやま こゆらむけふぞ あめなふりそね [左注]なし [校異]歌 [西] 謌 [事項]雑歌 和歌山 餞別 留守 地名 [訓異]あさもよし,[寛]あさもよい, きへゆくきみが,[寛]きへゆくきみか, まつちやま[寛], こゆらむけふぞ,[寛]こゆらむけふそ, あめなふりそね[寛], [歌番号] 09/1681 [題詞](後人歌二首) [原文]後居而 吾戀居者 白雲 棚引山乎 今日香越濫 [訓読]後れ居て我が恋ひ居れば白雲のたなびく山を今日か越ゆらむ [仮名]おくれゐて あがこひをれば しらくもの たなびくやまを けふかこゆらむ [左注]なし [校異]なし [事項]雑歌 餞別 留守 [訓異]おくれゐて[寛], あがこひをれば,[寛]わかこひをれは, しらくもの[寛], たなびくやまを,[寛]たなひくやまを, けふかこゆらむ[寛], [歌番号] 09/1682 [題詞]獻忍壁皇子歌一首 [詠仙人形] [原文]常之<倍>尓 夏冬徃哉 裘 扇不放 山住人 [訓読]とこしへに夏冬行けや裘扇放たぬ山に住む人 [仮名]とこしへに なつふゆゆけや かはごろも あふぎはなたぬ やまにすむひと [左注](右柿本朝臣人麻呂之歌集所出) [校異]歌 [西] 謌 [西(訂正)] 歌 / 陪 -> 倍 [藍][壬][類][紀] [事項]雑歌 作者:柿本人麻呂歌集 献呈歌 詠物 忍壁皇子 非略体 [訓異]とこしへに[寛], なつふゆゆけや[寛], かはごろも,[寛]かはころも, あふぎはなたぬ,[寛]あふきはなたす, やまにすむひと[寛], [歌番号] 09/1683 [題詞]獻舎人皇子歌二首 [原文]妹手 取而引与治 捄手折 吾刺可 花開鴨 [訓読]妹が手を取りて引き攀ぢふさ手折り我がかざすべく花咲けるかも [仮名]いもがてを とりてひきよぢ ふさたをり わがかざすべく はなさけるかも [左注](右柿本朝臣人麻呂之歌集所出) [校異]歌 [西] 謌 [西(訂正)] 歌 [事項]雑歌 作者:柿本人麻呂歌集 献呈歌 舎人皇子 非略体 [訓異]いもがてを,[寛]いもかてを, とりてひきよぢ,[寛]とりてひきよち, ふさたをり,[寛]うつたをり, わがかざすべく,[寛]わか